ゴブリンモード(goblin mode)Oxford Word

社会考察
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』

2022年の英語圏の流行語、ゴブリンモード(goblin mode)怠惰な生活は、英語圏では「ゴブリン」と呼ばれるらしい。

2009年頃から“ある状態の人”を指すものとして使われている。英オックスフォード大によると、その定義は「社会の規範や期待を裏切るように、怠慢でだらしない自堕落的な行動や、欲望のままに行動するさま」。SNSで大きく広まったのは今年の2月だという。

元ネタは、当時交際中だったカニエ・ウェストとジュリア・フォックスが「ゴブリンモードに入ったことで破局した」というフェイクニュース。

オックスフォードの今年の言葉

オックスフォードの今年の言葉は、過去12ヶ月の間の精神、雰囲気(ムード)、関心事などを反映し、かつ長期的に文化的重要性を保持される可能性がある言葉(表現)とのこと。

オックスフォードの編集者は、年間を通じて、実際に使用されている言語データをもとに、使用頻度などの言語統計データを分析し、候補を追跡する。

こうした学術的・科学的プロセスが背景にあることからか、2020年は到底一つの単語に収束させることができない年であったことを理由に、今年の単語の選出はなく、2020年の世論を英単語の切り口から分析した『空前の年における言葉(Words of an Unprecedented Year)』と題した報告書を発表している。一方、昨年はワクチンを意味する俗語「vax」が選ばれている。

オックスフォード辞書で知られる出版局のオックスフォード・ランゲージズは2004年以来、「オックスフォードの今年の言葉(Oxford Word of the Year)」を編集部で選んで発表してきたが、今年は選考プロセスに一般投票が加わった。

2週間の投票期間に34万票以上が投じられた結果、今年の言葉には9割以上を得票した「ゴブリンモード」が選ばれた。ちなみに2位は「メタバース」、3位は特定の大義(コーズ)や団体、人物などの側について支持するという意思表示に使われる「#IStandWith」という結果になった。

今年の言葉から見る社会
ゴブリンモードは、社会規範や期待といったようないわゆる世間体を気にせず、自己中心的、怠惰、ずぼら、または貪欲な言動を堂々と行うといったような態度を指す俗語表現。

それはたとえば、夜中の2時にだらしない格好で体に悪そうな夜食を作って食べたりするといったことだ。ザ・カットでインターネットカルチャーに関する記事を執筆するミア・メルカド(Mia Mercado)は、ゴブリンモードは意図せずスマホの自撮りモードを起動してしまった時に写る自分の姿だと思えばいいと解説する。

オックスフォード・ランゲージズの解説によると、ゴブリンモードは2009年にツイッター上で登場した言葉だが、SNSで大きく広まったのは今年の2月だという。ゴブリンモードには、コロナの規制が緩和されて今までの生活に戻ることに反発する人々や、SNSにおける非現実的な「完璧さ」などに抵抗する人々のムードが反映されていると同社は分析する。

一方、権威ある別の辞書であるメリアム・ウェブスターは、今年閲覧数が急増したとして、「ガスライティング」を今年の言葉に選んだ。ガスライティングは、故意に、意図的に誤った情報を提示し続けるという種の嫌がらせや虐待を指す言葉。

ゴブリンモードもガスライティングも、どちらもSNS上の「リアリティ」に生きる人々のムードや言動を表している。ゴブリンモードという単語への支持は、暮らしに現実味を取り戻したいと願う人々の意思表示なのかもしれない。

日本のネット界には「心の内にロリが住んでいる」というミームがある。規範や期待に沿って行動するのも大切だが、心の健康のためにも、多少はゴブリンを養ってやるのも良いのかもしれない。

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