英国 お金を払って不法移民をルワンダに

社会考察

2024年4月22日、イギリス議会は、不法入国した移民をアフリカのルワンダに移送する法案を可決した。スナク首相は、3か月以内にでルワンダへの第1便が離陸すると発表した。

このルワンダ移送計画は、移民を収容する費用減、治安の悪化を招く恐れがある移民問題。それを解消するためにアフリカにお金を払い送るというもの。ルワンダにとっても大きな収入になる。

2022年4月に当時のボリス・ジョンソン政権が考え出したもので、急増する不法移民に対する抑止効果を狙った政策です。ジョンソン政権では、ルワンダと協定を結び、実行しようとしたが、欧州人権裁判所が差し止め処分を出したため、中止をした経緯がある。

イギリス国内でも反対があり、

2023年11月、最高裁判所も違法だとの判断を下した。ルワンダ移送後に出身国に強制送還される恐れがぬぐえないというもの。難民条約に違反している。

スナク政権は、移民を第三国に送還しないことを保証する条約をルワンダと結ぶ。それでも上院(貴族院)では5回差し戻されるが、最終的には、「下院の優越」が優先され、修正案も拒否、原案通りに可決される。

イギリスの議会は下院が選挙で選出され、対立や問題があるときは下院が優先され「下院の優越」と呼ばれる。上院は政治上形式的な存在で、議員はすべて貴族や宗教関係からの任命制となっており任期は終身である。

2019年から急激に増加

英仏海峡を小型ボートで渡る不法移民は、2018年には300人弱だったものが、2022年には約4万5000人になり、2023年も3万人と高止まり状態。アフガニスタン、イラン、トルコ、エリトリアなどからの移民が多い。小型ボートで渡ってくるため、死亡事故も起きている。

コスパがいいとは言えない。

試算によると1人当たり、6万ポンドの余計なコストが生じると計算されている。そうなるとお金の問題ではなく、これ以上、移民を受けれたくない思惑が見え隠れする。

意外なことにルワンダは、イギリス連邦に加盟している。2009年からと歴は浅いが、イギリスとは親密な関係を築いている。

1994年、映画にもなった「ホテルルワンダ」。民族間の内戦による大虐殺事件がある。しかしその後、政権を掌握したポール・カガメ大統領は、近代化を進め、驚異的な経済成長を遂げている。

経済成長に伴い、周辺国からの難民の受け入れに積極的で、イギリスはルワンダの難民政策に乗っかる形になる。この辺はちょっと胡散臭いものがあるが、表向きはそういうことになる。

ルワンダには虐殺の記憶があるため国連や人権団体は懸念するが、イタリアなども押し寄せる不法移民に苦慮しており、追随する可能性も高いと思われる。

移民政策は、アメリカ、トランプ政権時には厳しく締め出していたが、バイデン政権なると緩和され、700万人以上(正確な数字はわからない)流入したとされる。最近になって選挙対策から、トランプがつくった国境の壁の建設を再開している。日本もクルド人難民が問題となっているが、実数では中国から押し寄せていると。

ベラルーシのルカシェンコ政権の移民攻撃、2021年

ベラルーシ国内の反体制の人たちの亡命を受け入れたため関係が悪化します。ベラルーシはロシア共産圏、ポーランド、リトアニアはEU加盟、西側のため基本的にふだんから仲が悪い。

簡単に言うと、

人権に対するEUからの経済制裁の報復として選んだのが大量の難民を武器にした。アフガニスタンやトルコのクルド人などを勧誘してきて、ポーランドやリトアニアに大量に送り込むというもの。それもアフガニスタンやクルド人といったイスラムで過激なことをいとわない人たちを選んでいる。

人口270万人のリトアニアは、1日の越境者が1年分を上回る。ポーランドに至っては、右派ポピュリスト政党「法と正義」(PiS)の台頭を許すことに。EUの法律で、元の国への強制送還は人権侵害となってしまうためベラルーシと隣国への行ったり来たりの、わけのわからない事態に。死者も出ている。

ポーランド共和国地図

ロシアのウクライナ侵攻により、移民の大量送り込みは終了している。

これをまねて、アメリカ・テキサス州アボット知事は2022年9月、中南米から到着した100人以上の移民を、バスに乗せて首都ワシントンにあるハリス副大統領の公邸前に送った。バイデン政権に対して「不法移民に甘い」と抗議し、世論にも訴えかけようと、南部の州が移民をワシントンやニューヨークなどに送り込む動きおこった。

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