陸田真志 コンクリSMクラブ下克上殺人事件

人物

慶応大卒のエリートがSMクラブを経営し、従業員との対立で殺されてしまった事件。その後、店をしばらく経営し、経営は順調に推移していたという。

連日マスコミに大きく取り上げられた事件でもある。風俗店で起きた事件ですが、部下や従業員を抱える人にとっては、少しだけ参考になる?教訓めいたこともあるかもしれません。

事件が起きたのは1995年12月21日。バブル崩壊の余韻がのこり、阪神大震災、地下鉄サリン事件が発生した激動の年です。

陸田真志・元死刑囚

殺害されることになる経営者は橋口聖司さん32歳。のちに殺害を実行する従業員は、25歳の陸田真志。

陸田真志は、前年の1994年9月にアメリカから帰国し、スポーツ新聞の求人広告を見て応募、10月から従業員として働き始めた。

留学目的はデザインの勉強ですが、金銭的要因の暴力事件を繰り返し、逮捕されてしまう。保釈され帰国する。暴力的素養と金銭的執着があったようです。

品川区東五反田の風俗エリア。SMクラブ「パラダイス」

経営者の橋口聖司さんは、1993年から東五反田のマンションで一室で、SMクラブの営業を始める。

彼は大手不動産企業に就職も1年で退社、自ら不動産事業を立ち上げるも失敗。その後、風俗コンサルタントと知り合い、セミナーに参加し風俗経営のノウハウを学び、独立という流れ。

当時のワイドショーを見ると裏表が激しく拝金主義というのが伺えます。

陸田真志は、創業メンバーではないが、経営が軌道に乗って複数の店舗に拡大する前に入ったことになります。おそらく店の売上げを伸ばし、拡大したのは自分という自負があったと。

当初、従業員も少なく、店の売り上げが伸び悩んだため、売り上げの5%を報奨として出すことを約束します。さらに「店が増えたらその店を任せる」などの口約束があったといいます。

従業員がやる気を出させるためのよくあるニンジンですが、これが反故されたうえに、辞めるように仕向けられたことが殺害の要因となってしまう。

金へ執着が強かった陸田真志は、俄然やる気をだします。

経営センスはあったようで、1か月で月の売り上げを600万円から1000万円以上にまで伸ばした。そして店は増えていきます。店といってもマンションの一室を借りプレイルームとし、SM嬢を派遣するもの。

約束された賃金アップは、わずかなものでごまかされ、さらに店を任せるという約束も裏切られます。

新しく平賀聖浩さん(33歳)を店長として雇い入れ、陸田真志と従業員の立場は下に。経緯が、よくわからない。が、経営者の橋口聖司さんの思惑があったことは確かなようです。

(確か当時の報道では、摘発のための逮捕要因としてとか、従順ではない独立志向の従業員を排除するためとか‥実際のところよくわからない。)

特別に風俗店の経営手腕があったわけではなく、常連客として店に通っていた人物らしい。身長182㎝、体重110㌔の大柄で、用心棒的な意味合いも報道されていた。

無能かつ使えないあとから入った店長、仕事はできないとくると負担は従業員に。さらに、経営方針をめぐり対立していきます。グレーゾーン風俗ですから

「違法なサービスを積極的に行うか、摘発をされないように法令遵守するか」

新しい店長・平賀聖浩さんは傷を問わないタイプのようで、オプションを懐に入れていたといいます。皮肉な話ですが、殺害をすることになる陸田真志は法令遵守だった。

(むかしの風俗では、本番行為などの裏オプションはよくある話で、売り上げに計上されないことから関係者の懐に収まっていました。)

経営者の橋口聖司さんに、現状を訴えますが、逆に陸田を解雇に向けて動き出します。

ここまでですと搾取的な経営者、能力もないうえに自分より多くの給料を得ている上司、さらに私腹を肥やしている形跡が。態度も横柄にのさばっている。仕方ない部分が伺えるかもしれませんが、そこは風俗業界、まともな人は働かない世界。

信頼を損なう事件を起こします。1995年7月頃、他の従業員とその友人と共謀して3人で狂言強盗を行い、店の売上金約90万円を奪っている。さらに、8月くらいか双子の兄を従業員として雇い入れてしまいます。

こうなってしまうと、経営者としては、高賃金を要求し、独立をもとめているグループは危険視せざるを得ない。兄弟が目障りだったのは明らかです。

辞めさせるための布石としての新しい店長だったのか?今となってはわかりかねますが、排除されることを察知した陸田兄弟たちは凶悪な行為に走ってしまいます。

1995年12月21日、店長・平賀聖浩さんが殺害されます。

勤務明け、仮眠をとっているところ、バタフライナイフと斧で殺害。しかし、兄が殺害行為のショックのため気分を悪くしてしまう。

翌日、12月22日に「女の子が面接に来ている」と嘘で呼び出し、経営者の橋口聖司さんを殺害します。体調を崩した兄は殺害に参加できず、他の従業員とともにおこなう。

関わったのは、陸田兄弟と従業員2人、それと暴力団3人とつながりがある無職の男となります。

暴力団関係者2人は、コンクリート詰めにした木箱に入れて、茨城県鹿島港に遺棄した。のちに遺体は1996年9月に見つかっている。

殺害後、無職の男がキャッシュカードを使って、4000万円の預金を引き出した。2人を殺害した後、SMクラブを乗っ取って営業、1億3000万円の売上げを上げたといわれている。

経営者の橋口聖司の両親から警察に捜索願いが出され、その捜索により預金を引き出したことが発覚、詐欺の容疑で逮捕された。家宅捜索の結果、争った跡や血痕が見つかる。

さらに死体遺棄をした暴力団関係者から拳銃と覚醒剤が見つかり、逮捕される。これにより逃げられないと悟り、陸田兄弟は自ら警察に出頭して殺人などの容疑で逮捕されている。

主犯陸田真志(当時25歳)双子の弟 死刑:2008年6月17日執行(37歳没)
共犯陸田賢志(当時25歳)双子の兄 無期懲役
共犯従業員     (経営者殺害幇助) 懲役15年

陸田兄弟は、山口県出身で、船員の父のもと育っている。

地元の高校を卒業後、主犯の弟、陸田真志は専修大中退、アメリカ留学で問題を起こし帰国、兄の陸田賢志は、工業系の大学に通っていた。裕福ではないにしろ貧困でもない環境で育ったと思われる。

東京地裁で1998年6月5日、求刑通り死刑判決が下された。

弁護側は量刑が重いとして控訴したが、東京高裁で2001年9月11日に棄却、2005年10月17日に最高裁で上告が棄却され死刑が確定した。

2008年6月17日、鳩山邦夫法務大臣の発した死刑執行命令により東京拘置所において執行。鳩山邦夫法務大臣は、1年間の任期中に13件の死刑執行を行っている。

同じ日に埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤が死刑執行されたため、話題にはならなかった。

 

 

 

 

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