新井田傳・幸楽苑HD復帰 迷走から修正できる?

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一線を退いたはずの創業者、50年以上経営に携わってきた新井田傳・相談役が再び、会長兼社長に復帰する。「思いつき経営」と揶揄され、社長だった息子は退任となる。

2021年4月に息子に禅譲し相談役に退きましたが、2023年3月期の連結損益が28.5億円の赤字に転落したためですが、裏から操ることができなかったのか?

3代目息子の新井田昇・社長は、結果を残せなかったであることは確かで、評判は良くはないと報道されています。創業者で父親の傳会長が第一線から退き、昇社長のワンマン経営が一段と強まる。社長の周囲にいるのはイエスマンばかり、と。

表に出たい性分なのかわかりませんが、高齢でありながら、息子の尻拭いと迷走経営が修正する必要があると判断したようです。

「思いつき経営」と非難されたことがらは、息子の3代目が成長戦略の柱に置いたのが「いきなり!ステーキ」への転換。2017年、運営会社のペッパーフードサービスとフランチャイズ(FC)契約を結び、ラーメン店をステーキ店に転換、16店舗を出店します。

マスコミに持て囃され、瞬間的に勢いがあった「いきなり!ステーキ」は失速し、閉店ラッシュに。存続自体危ぶまれる状態に。そんなところを頼ったわけですから、極度の不振に陥ります。

さらに拍車をかけて、2019年10月、台風9号で甚大な被害を被ります。工場が冠水してしまい、東北を中心に全店舗のほぼ半数にあたる240店が休業に追い込まれる。さらにコロナ禍が追い打ち、2019年3月末に498店あったラーメン店は2021年3月末に411店に減少。「いきなり!ステーキ」は16店から同4店に減らした。

迷走を極めます。焼肉店「焼肉ライク」(2021年時10店舗)、からあげ店「からやま」(2021年時7店舗)、名古屋名物の辛さが売りの鍋料理店「赤から」(2021年時5店舗)などをFC展開します。ブームに乗って勢いがある外食店のFC展開を進め、収益を高める促成事業に染まります。ブームは去れば経営は傾きます。

本業のメニューを強化することで、コロナ禍からの回復を図っている「餃子の王将」「日高屋」とは明らかに違います。同じラーメンチェーン「一風堂」は海外事業が好調に推移、売上の40%を占める。国内では高価格帯での地位を確立しており、幸楽苑のような格安帯からの高単価路線の移行を簡単には許してはくれません。

消費者がチェーン店に支払う価値変更、受け入れてくれるには、それなりのアプローチが必要にもかかわらず、異業種の軒を借りて、ステーキ、焼肉への業態転換、それもババを掴まされた感じで結果を残せず、かなりの無能ぶりです。

解任された、新井田昇・社長は創業家の3代目。慶應義塾大学を卒業後、三菱商事に入社。2003年、幸楽苑HDに入社して海外事業を担当。2018年11月、父の後を継いで社長になった。

幸楽苑の海外事業を任された人物です。一風堂のように海外では成功しておらず、進出したタイでは失敗、短期間で撤退しています。

2011年に、タイで5店舗を展開してきましたが、赤字額は2014年12月期が2600万バーツ(約8300万円)、2015年12月期が6700万バーツ(約2億1300万円)。最初っから躓きます。

一号店に選んだのが、バンコクのBTSエカマイ駅近くにオープンしたショッピングモール・GATEWAY(ゲートウェイ)。GATEWAYがオープンする前は、バンコクには日本食ブームで、日本食店が多く入ることで期待値は上がっていました。

このショッピングセンターは「日本のライフスタイル」をコンセプトに開業、駅と直結しており、テナントもすべて日本企業です。が、オープン当初テナントが集まらず、フードフロア以外営業することができなかったため苦戦を強いられます。

現在はフロアは日系企業のテナントで埋まっていますが、タイの中では30位のショッピングセンターとして、それほど盛り上がりを見せてはいません。

タイの人を顧客としているのか?長期滞在している日本人なのか?戦略が全くはっきりせずに赤字のまま撤退をしています。

タイで成功を収めている日本のラーメンチェーンは「8番らーめん」。北陸3県で114店(2022年10月)、長野県飯田市に1店舗、名古屋市中村区に1店舗、岡山県倉敷市に5店舗。500店舗を超えていた幸楽苑と比べると規模の小さいラーメンチェーンです。

が、タイには149店舗、香港、ベトナムにも進出しています。タイの人に合わせ、温度を下げたり、辛さを調節したりと、大成功を収めています。

パンティッププラザで有名なTCCグループが運営するショッピングモール。タイの新興財閥で華僑資本です。

なんとなく会社をだめにした「大塚家具の無能姫」と同じ感じですし、跡継ぎが無能だと大手企業でも末路は見えてきます、賢明な判断かもしれません。

幸楽苑は「290円ラーメン」の看板商品で急成長・拡大をしました。が、2015年に高単価路線へ転換の勝負に打って出ます。

看板商品だった290円の「中華そば」の販売を中止し、2015年4月から520円の新しょうゆラーメンに主力商品を切り替えます。当時、これは「ハイボールテクニック」と呼ばれる交渉術と、解説する人が結構いました。テレ東などの番組で。

商品を最大レベルにまで値上げ提示して、安い提案をするというものですが、幸楽苑の場合、塩ラーメン、味噌ラーメンが値上げせず、390円で提供していましたから、そちらへの誘導が目的と言われていました。ライバル日高屋の価格を意識したものでした。

現在は醤油、味噌、塩ともに490円設定で、季節商品や野菜たっぷりの健康志向などもありますが、差別化を図れるようなメニューは一つもありません。

日高屋、餃子の王将のようにファンがいるわけでもなく、今さら低価格に戻そうにも、回転寿司などでもハイクオリティの低価格ラーメンが提供されています。高齢の経営者になにができるのかな?

 

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