川崎で起こった連続殺人事件、最高裁を審判を仰ぐことなく、死刑が確定しました。
2014年、介護付き有料老人ホームで、入所者の高齢男女3人が転落死した事件。殺人罪に問われた施設職員・今井隼人・被告(30)が上告を取り下げ、死刑とした一、二審判決が確定した。
捜査段階や逮捕直後に3人の殺害を認めたが、その後否認に転じた。公判で弁護側は、3人が自ら転落した可能性もあるなどとして無罪を主張していた。
神奈川県川崎市幸区幸町2丁目の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で事件は起こります。
京急川崎駅か徒歩5分の距離、ビジネスエリアのソリッドスクエアの対面にあるところです。戸建住宅が密集していて、地元に住んでいても友人などがいない限りいかないかも知れません。子供の頃、熱帯魚を扱う店がこの付近にあって、何回か行ったことがある程度です。
この老人ホームは高級というわけではありませんが、それなりに費用がかかる老人ホームでした。
岡山大医学部の外科医だった橋本俊明が設立した「メッセージ」という会社が運営していました。2000年に介護保険制度が改正され、相部屋だったグループホームが補助対象から外れたことを機に、介護付有料老人ホーム「アミーユ」を展開、急成長します。
橋本俊明はカリスマ経営者としてマスコミに取り上げられます。2012年3月には、ジャパンケアサービスグループにTBO実施して子会社化。介護業界第3位となり存在感を示します。
2016年には損保ジャパンに買収され、現在も存続しますが、衝撃的な事件の影響で、運営会社の積和サポートシステムに介護報酬の請求を3カ月停止させる厳しい行政処分がくだります。
介護職員による入居者への虐待、介護職員の過酷な勤務状況などが大々的に報じられ、追い詰められての行政指導的な身売りとなりました。
判決によると、2014年11月、87歳男性を施設4階のベランダから投げ落として殺害。12月には86歳と96歳の女性を、4階と6階から同様に転落させて殺害したというもの。犯人の今井隼人は、2014年5月からの勤務ですから、わずか半年の出来事です。
事件があった当初、地元の川崎幸警察署は事故で処理をしました。しかし、事件発生から5ヶ月経過した2015年5月に、神奈川県警の捜査一課が本格的な捜査が開始されます。
事故で処理をしようとした川崎幸警察署は、事件性はないと判断、捜査の必要性も進言しなかったことから、批判されました。神奈川県警の捜査一課が動いたのは、他の職員からの内部告発や遺族からの疑問がマスコミを通じてあったとされます。
捜査が始まって、すぐに施設職員・今井隼人が窃盗容疑で逮捕されます。2015年9月24日に窃盗罪で懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決を受けます。
この施設では窃盗や虐待が、常態化していました。施設職員・今井隼人だけが犯罪的な素養があったのなら疑問は生まれませんが、他に3人、虐待の容疑で逮捕されています。
2015年12月11日、別の元職員3人が入居者に暴行を加えたとして暴行容疑で書類送検され、後に1人が在宅起訴、残る2人が不起訴・理由不明となった。この虐待が発覚したのは、入居者の家族が暴行の様子を隠しカメラで撮影した映像があったため。少なくとも4人が施設職員が虐待に及んでいた。
事件があった時間、勤務シフトなどから今井隼人・被告しかおらず、供述の中には犯人しか知り得ない情報があったといいます。神奈川県警察は介護のストレスから犯行に及んだとしています。
今井隼人・被告は、介護職員としては評価が高く、救命救急士の国家資格も所有している。しかし、同僚からは、施設で多発していた窃盗が、今井の犯行と疑われおり、虚勢や虚言も指摘されている。
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