2023年6月12日に米フロリダ州で行われた元プロボクシング5階級王者のフロイド・メイウェザーと超大物マフィアのボスの孫、ゴッティ3世とのエキシビジョンマッチが行われ、途中で大乱闘になってしまった。
試合は、メイウェザーが一方的に翻弄する展開。6R途中、レフェリーがこの両者の非紳士的な行為に対し試合を止めた。ゴッティ3世がレフェリーの制止を振り切り、メイウェザーに殴りかかると、両陣営がリング上に雪崩れ込み、収集がつかない状態に。メイウェザーは乱闘が始まるとすぐに立ち去った。
フロリダ州のアスレチックコミッションは、乱闘を仕掛けた張本人はゴッティ3世だとして、6ヶ月の出場停止処分。メイウェザーは、処分はなかった。
メイウェザーは2018年に3度目の引退。王者の肩書を利用しながら、ショー的な試合で高額のファイトマネーを稼いでいる。これもそんな感じですが、気になるのはゴッティです。
最後のマフィアと言われるジョン・ゴッティの孫という触れ込みです。
ジョン・ゴッティは、2002年に獄中でなくなっていますが、映画化もされている人気にあるマフィアの親分だった。2018年、ジョン・トラボルタが演じている「ギャング・イン・ニューヨーク」。これは自伝映画ですが、コッポラの名作「ゴッドファーザー」の3作目、ジョーイ・ザザのモデルがゴッティと言われています。
気性の激しい性格で、賭博と女好き、だが、IQは140以上といわれ、残忍な暴力性と知力の両方持ち合わせた人物。自ら進んでメディアに出たり、派手に振舞うことから「現代のアル・カポネ」｢ダッパー・ドン(Dapper Don 粋な首領｣とも呼ばれた。
イタリア製の高級スーツに身を包み、整った髪形、マニキュアを欠かさなかった。高級車と大型クルーザーを乗り回すなど、ゴッティは映画スターのように目立つことがとても好きだった。「タイム」「ピープル」「ニューヨーク・タイムズ」の表紙を飾ったこともある。
脚光を浴びることを嫌った伝統的なマフィアと違い、ゴッティの時代は秘密結社の要素はなくなり、派手な私生活を露出することで存在を誇示していた。これはマフィア映画の人気の影響もあり、人々はそれを求め、求めに応じていた事になる。ゴッティだけではなく、フィラデルフィアのジョーイ・メルリーノなどもいました。
1966年に、ガンビーノ一家の構成員になる。
組織として禁止されていた麻薬ビジネスにも手を出すようになる。ボスのポール・カステラーノが麻薬の密売を“建前上”禁止していたが、無視し麻薬ビジネスを続けていた。
ポール・カステラーノは、ゴッティのことを評価していなかった。殺人、強盗、麻薬などの仕事しかできない小物と。1977年にゴッティの昇格人事に反対、このことで恨みを抱いていたという。
FBIの一斉摘発で、5大ファミリーのボスや幹部が一斉に捕まった。それに伴い禁止されていた麻薬取引がバレてしまう。
1985年12月16日、麻薬取引の粛清を受ける前にクーデターを起こす、ボス・カステラーノを暗殺。
一方的で自分のボスを暗殺してコミッションの怒りを買わないために、ニューヨークの他の四つのファミリーの幹部と連絡を取り、根回しを取り付けていた。
1986年、ガンビーノ一家の幹部たちで会議を開き、21人全員の推薦でボスになる、この時、45歳。一部からは、長くは持たないと予想されたが、古参を引退させて、組織の若返りに成功する。
5大ファミリーの1つ、ジェノヴェーゼ一家のボスのヴィンセント・ジガンテはこの簒奪劇を認めず、ルッケーゼ一家のボスヴィクター・アムーソ（Victor Amuso）と組んで1986年4月13日にアンダーボスに昇格したばかりのフランク・デチッコを殺害した。
ブルース・モウら率いるFBIに徐々に追い込まれ、1990年12月11日火曜日にゴッティは組織の本部のレイヴナイトクラブでロカシーオとグラヴァーノと一緒に逮捕される。
その後、アンダーボス（日本のヤクザ組織の若頭、NO.2のポジション）のグラヴァーノがFBIの証人保護プログラムに入りFBIに協力してしまった。1991年2月12日に裁判が始まり、グラヴァーノが法廷で組織のことを証言し、4月2日に有罪を受ける。13件の殺人への関与や不法賭博などの罪状で、起訴状にある14の訴因ですべて有罪を受け仮釈放のない終身刑を受けた。
当時全米最大のマフィア・ファミリーを率いているゴッティの失脚が、イタリア系犯罪組織没落の大きなきっかけになったと言われ「最後のマフィア」といわれる。
歴代マフィアのボスな中では、メディアに露出し異彩を放っているが、指導力があったかどうかは疑問な点が多い。カステラーノを暗殺することで、最強で最大のマフィアを引き継いだが、組織は弱体化して没落に導いた主要な人物とみなされる。
2002年にミズーリ州スプリングフィールドの刑務所内の病院で喉頭癌のために死去。
RICO法（組織犯罪対策法）に基づくFBIの主導による組織犯罪対策が開始され、その成果が出始めた1980年代から1990年代に組織の体制はほぼ壊滅状態にあり、隆盛を誇った1970年代半ばまでの面影はもはや存在しない。
現在の5大ファミリーの名前の由来は、ジョゼフ・ヴァラキが1963年に初めて沈黙の掟を破って証言したときのそれぞれのボスの名前であり、以来その名称を使用している。
ボナンノ一家 （旧マランツァーノ一家）
ジョゼフ・ボナンノ、カーマイン・ギャランテ
コロンボ一家 （旧プロファチ一家）
ジョゼフ・コロンボ、カーマイン・ペルシコ
ジェノヴェーゼ一家 （旧ルチアーノ一家）
フランク・コステロ、ヴィト・ジェノヴェーゼ、ヴィンセント・ジガンテ
ガンビーノ一家 （旧マンガーノ一家）
アルバート・アナスタシア、カルロ・ガンビーノ、ポール・カステラーノ、ジョン・ゴッティ
ルッケーゼ一家 （旧ガリアーノ一家）
トーマス・ルッケーゼ、アンソニー・コラーロ
各ファミリーの勢力は時代と共に変動しているが、ある資料では正式組員の数についてジェノヴェーゼ一家とガンビーノ一家が約300人、他の三つのファミリーは約100人前後としている。
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