アパレル2極化 SHEIN攻勢、UNIQLOは安泰?

社会考察

2022年の年末、世界の富豪番付が発表された。テスラのイーロン・マスクを抜き、フランスの高級ブランド、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを率いるベルナール・アルノーがツイッターのオーナー、イーロン・マスクを抜き、世界一の富豪の座に就いた。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、アルノー(73)の資産は1708億ドル(約23兆1450億円)。

富豪番付で首位となったのは初めて。フランスのみならず、欧州全体でも、世界一の富豪の座に上り詰めた人物はこれまでいなかった。イーロン・マスク、世界一の富豪の座から陥落-Twitterの買収などで、1月以降で資産13.5兆円目減りした。

LVMHの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるアルノー氏は長らく富豪番付の常連だったが、マスク氏や他の成り上がりの資産家とは異なり、公の場に姿を現すことは極めてまれで、ツイッターなどソーシャルメディアの個人的利用にも積極的ではない。

LVMHはシャンパンの「ドン・ペリニヨン」や「クリスチャン・ディオール」、「ティファニー」など75のブランドを保有する高級ブランド企業。ただ、アルノー氏は富をひけらかすことがひんしゅくを買うフランスで、控えめに振る舞うよう努めている。

市場の低迷はアルノー氏の資産にも打撃を与え、2022年の同氏の資産は約72億ドル減少したものの、世界の富豪番付で権勢を振るうテクノロジー業界の資産家よりも健闘している。新型コロナウイルス危機が和らぐ中、高級品の需要が底堅く推移している。

LVMHの昨年の売上高は640億ユーロで、20年のコロナ禍の落ち込みから急回復。年次報告書によると、アルノー氏と同氏の一族はLVMHの株式を約48%保有しているほか、議決権64%を握っている。

LVMHの時価総額は3657億ユーロと欧州最大。同社は今年に入り、CEOの年齢上限を引き上げた。これにより、アルノー氏は80歳まで続投が可能となり、CEOとしてより長く指揮を執る意向であることが示された。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、アルノー氏の資産の大半はクリスチャン・ディオールの株式で、同社株97.5%を保有している。同指数が12年に開始されて以降、世界の富豪番付首位となったのはアルノー氏で5人目。その他はメキシコの資産家カルロス・スリム氏とビル・ゲイツ氏、ジェフ・ベゾス氏、マスク氏だった。

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ディオールやルイ・ヴィトンなどLVMHを通じて多くの高級ファッションブランドを手中に収めていることから「フランス・ファッション界の帝王」「ファッションの法王」などの異名を持つ一方で、その冷徹かつ攻撃的な経営姿勢や買収を決断した企業・ブランドをことごとく手中に収めるさまから「カシミヤを着た狼」「ターミネーター」などの異名も持つ。

フランス北部のルーベ生まれ。エコール・ポリテクニーク出身。妻と5人の子供がいる。不動産業の家に生まれ、父から事業を受け継いだが、高級ブランド業界とは全く無縁だった。フランソワ・ミッテラン大統領の社会主義政策を嫌って渡米。現地のタクシー運転手が何気ない会話の中で「(フランスのことは全く知らないが)ディオールだけは知っている」と語ったのをきっかけに、ブランドビジネスに開眼した。

帰国後の1984年、クリスチャン・ディオールを当時保有していたマルセル・ブサック・グループごと、自身の不動産業を担保にした資金で買収したのを皮切りに、次々とブランドを買収して世界有数のグループに育て上げた。

カルフールの10%の株式を所有し、13%を所有するアレー家に次ぐ第2位の大株主でもあり、中国国内でダライ・ラマ14世を支援しているとの噂が飛び交ったこともある。このため中国ではカルフールボイコット運動が起こったが、アルノー本人が否定し、「北京オリンピックをボイコットすべきでない」と述べた。

2012年8月にベルギー国籍を申請。これは、この年就任したフランソワ・オランド新大統領が打ち出した75%の富裕税回避のためだと非難が集中し、結果翌2013年4月に申請を取り下げる事態となった。彼以外にも資本家の海外逃避が急増したことなどもあり、この富裕税は2015年をもって廃止された。

新タイプのお金持ちは、服にお金をかけない

日本では、女性はともかく、金持ちアピールのアイテムとなり下がっている。若くして大きな金額を手にしたものたち、YouTuberや芸能人。自己顕示欲の道具でしかありません。おじさんで着ているのは、詐欺師、マルチ関係者くらいなもんです。

新・旧お金持ちの「服装」は決定的に違う!

一般的に富裕層というと、高級ブランド品など豪華な洋服で着飾っているというイメージがあるかもしれませんが、それはもう過去の話になりつつあります。

旧タイプのお金持ちの中には、高級ブランドを好む人も少なくありませんが、それは自己顕示欲や自己アピールのためです。かつてはブランド品を身に着けることが成功の証しであり、周囲からの尊敬と羨望の眼差しを集めることができました。

また、洋服や服飾品には自我拡張作用があります。高級な品を身に着けると気分が高揚したり、自信が持てたり、それにふさわしい言動をするようになったりするといった効果があります。これは実感したことがある人も多いと思います。実際「勝負服」という言葉もあるくらいですから。

新タイプのお金持ちは、服にお金をかけない

新タイプの富裕層の多くは、ファッションにあまり興味がないし、重きを置かない。普段の服装は、どこでも手に入るカジュアルスタイルで、見た目は一般人と区別がつきません。

彼らにとって重要なのは、パフォーマンスを高め成果を出すことです。しかしスーツでは動きにくく、夏は暑い。だからTシャツにジーンズといった服装を好む傾向があります。

特に男性の場合、ユニクロが大好きで、飲み会などでも「ほぼユニクロで買う」という会話が飛び交います。つい先日も彼らとのSNSで、「全身ユニクロを着て、ユニクロに買い物に行った」というコメントで盛り上がったのですが、「僕も」「俺も」という人が結構多くて、改めてユニクロ人気の高さを感じました。

次に、彼らは他人からどう思われるかをあまり気にしない点が挙げられます。カッコよく思われたいとか、こんな格好では恥ずかしいといった感覚がありません。自分に自信を持っているから、服装で見栄を張る必要がないのです。

むろん自分のブランドイメージのために、あえて見た目にお金をかけている人もいますが、それは戦略にすぎません。

どんな服を着るか選ぶ時間も、新しい服を買いに行く時間ももったいないし、その判断が無駄だという人もいます。たとえば、アップルの故スティーブ・ジョブズ氏は常に黒のタートルネックにジーンズ、足元はスニーカーというスタイルだったことで有名です。

フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏も、「僕は社会への貢献に関係しない決断はできるだけしないようにしている。何を食べるか、何を着るかなど、たとえ小さな決断でも、繰り返し行っているとエネルギーを消費してしまうんだ」と答えています。

彼らの口から揃って出てくる「決断の数を減らす」という言葉。小さな決断でもその数を重ねることでエネルギーを消耗し、より大きく重要な決断の精度が落ちてしまうから、徹底的に決断の数を減らし、シンプルに生きる。 それによって自分がやるべきことに集中することができ、目的の達成に近づくということなんでしょう。

ファストファッションからリアルタイムファッションに?

ファストファッションとは、流行を採り入れつつ低価格に抑えた衣料品を大量生産し、短いサイクルで販売するファッションブランドやその業態のことを指す。 安くて早い「ファストフード」になぞらえた造語であり、2000年代半ば頃から呼ばれるようになった。

この究極系が中国で生まれ、世界を席巻しつつあります。

瞬く間にユニクロ越え、中国発激安ブランドSHEIN

実店舗ゼロでもSNSで人気拡散 「SHEIN(シーイン)」急成長の理由

中国発アパレルECのSHEIN(シーイン)はZ世代を中心に注目を集め、世界で急成長している。米ブルームバーグの報道によると、直近の資金調達ラウンドでSHEINの価値は1,000億ドル(約12兆3000億円)とされ、ZARAとH&Mの時価総額を足しても、その価値には及ばないほど、高く評価されている。

売上は、6年連続100%以上の伸び率を維持。米国、欧州、中東、東南アジアなど海外市場を中心に成長を遂げ、2020年には日本市場上陸を果たした。

SHEINはメディアの取材に対して慎重な態度を取っており、中国現地メディアの取材もほとんど拒否している。

アメリカやヨーロッパなどの市場では、その存在を知らない人がいないのと対照的に、中国国内では投資家やアパレル業界の人を除き、一般の消費者の間ではSHEINの知名度はほぼゼロだと言える。

一般論ではあるが、スタートアップの事業展開として、国内市場で事業を一定の規模に成長させた後、やっと海外市場へ進出するのが通常だ。世界に名を轟かすアリババや、テンセントのような中国大手ITもこの順番で国際市場に進出している。

それゆえ、言語、ローカライズなど様々な課題からSHEINのように最初から越境ECを通して海外市場を目指す企業はそう多くないのである。

SHEINは2008年に南京で創業。その後、生地を世界最大規模で扱う広州に本部を移した。2015年から事業が成長の軌道に乗り、売上の伸び率は6年連続100%を超えた。

2020年の売上は、前年比308%増加の653億元(約1兆3,000億円)。この売上規模はユニクロの運営会社であるファーストリテイリングの2020年通期売上の64%、ZARAの親会社Inditexの2020年通期売上の46%にのぼり、この勢いはアパレル業界に衝撃を与えた。

SHEINは豊富な商品数、超低価格という2大特徴がある。従来のファストファッションよりも早いサイクルで新商品を出すことから「リアルタイムファッション」と呼ばれている。

SHEINのサイトでは、販売中の商品は60万を超え、毎日6,000をリリースするなど、驚くほどスピーディーに新商品を公開している。

ファッショントレンドをコピーして素早く商品化するという強みを持つZARAは、年間約1.2万点の商品を発売。一方でSHEINはそのZARAを超過する圧倒的なスピードで年間約15万点の商品を販売しているのである。

SHEINは中国アパレルDX企業の成功例だと言える。創業者である許仰天氏は1984年生まれの38歳で、大学卒業後SEO関連の仕事に従事。この経験もSHEINにおける、後のDX推進に大きく影響したと言えるだろう。商品企画から、工場への発注、売上データの分析による追加生産数の算出など、業務の隅々でデジタル化を進めている。

このブランドが産声を上げて、まだ約10年にすぎないが、すでに世界の150カ国・地域以上で展開している。非上場企業だが、中国メディアの報道によれば、今年上半期の売上高は、前年比5割増しの160億ドル(約2兆2000億円)。ユニクロの今年8月期決算が、年間売上高2兆3011億円だから、早くもユニクロの2倍の規模に達した。

実店舗はなし、購入はすべてアプリを通じて

世界のファッション業界に、様々な「革命」を起こしている。最大の革命は、実店舗を持たないことだ。スマホでアプリをダウンロードして、電子決済で買うと、商品は自宅に送られてくる。2000円以上買えば、送料無料。

ダウンロード数は、すでに世界で2億近い。ユニクロの服ももちろん、スマホから買うことはできるが、「実店舗のないユニクロ」というのは想像できない。

SHEINは、これまで「実店舗無視」だったが、大阪・心斎橋に「期間限定の実店舗」をオープンさせた。「ユニクロ跡地」というところが象徴的だが、オープン当日には、4000人以上もの行列ができた。

2990円で販売され、圧倒的価格パフォーマンスです。

中国発のファストファッション「Shein」が圧勝。世界のソーシャルメディアを席巻

世界の大手ソーシャルメディア(Instagram・TikTok・YouTube)で話題になったブランドのランキングが発表された。中国発のファストファッション「シーイン(Shein)」が圧倒的な存在感を見せつけた。

知名度の向上を求めないブランドはない。そして、今日より多くの人にブランドを認知してもらう最良の手段はソーシャルメディアだ。

一般ユーザーの何気ないメンションから、スポンサー契約にもとづくインフルエンサーの投稿まで、ブランドは消費者にアピールしようと、インスタグラム(Instagram)やティックトック(TikTok)などのソーシャルメディアを活用している。

 

全体を通じて最も話題を集めたのは、中国発のファストファッションブランド「Shein」だった。インスタでは4位、3万人超のインフルエンサーが13万6000回以上メンションした。TikTokとYouTubeでは1位を獲得した。

ファストファッションはソーシャルに強い

ハイプオーディターのデータおよびランキングからはほかにも、シーインに限らずファストファッションブランドがインフルエンサーの間で相当な人気になっていることがわかった。例えば、「Fashion Nova」は、インスタ、TikTok、YouTubeいずれもトップ10入りしている。

ユニクロやZARAなど、ファストファッションの人気はいまだ衰える様子がありません。しかし、この業界においても大きな問題が立ちはだかっています。それを解決したという中国発の激安ファストファッション。日本にとっては脅威になりかねませんが、このシステムが今後のファストファッションの定番になっていくかもしれないようです。

問屋なし、店舗なしの激安ファッション。すごい中国発『SHEIN』の世界戦略

Tシャツ500~2,000円、パンツ1,000~3,000円、セーター1,500~4,000円、ジャケット1,500~6,000円、ブーツ2,000~7,000円、サンダル1,500~4,000円、ショルダーバッグ500~2,000円、財布200~1,500円。2,000円以上購入すれば、送料無料。

ユニクロやジーユーではなく、中国のネット通販「SHEIN」の激安ファストファッションです。驚きの安さで人気が出て、現在220の国と地域に、1億2,000万人のユーザーがいます。

興味深いのは、本国中国では事業を展開せず、欧米や東南アジアを中心に販売していること。

なぜ、巨大な市場規模である中国で販売していないのでしょうか?質の悪い中国製品の中に紛れ込んでは、その差異を主張することは難しく、ブランド力を高めることができない。また、中国人は富裕層が増えたため、海外のブランドものに目がいって、国産の安いものは売れないと判断したのかもしれません。

世界的な不況を考えると、収入の減っている欧米や東南アジアの人にアピールする方が得策です。この会社は、広東省にある繊維街の中の工場と契約し、商品を作ってもらっています。市場の流れでもある多品種少量生産を実現するために、商品ごとに発注する工場を分けてもいます。トラブル時のリスク回避ともなるためです。

各工場で作られた商品は、同じく広東省にある巨大物流センターに集められ、一括管理しています。ここから世界各国に配送しているのです。各国の配送センターを作るのではなく、生産地から直接、お客さまに届けています。つまり、「D2C」。Direct to Consumerと言われる売り方をしているのです。

「問屋」もなく「店舗」もありません。中間流通業者を通さず、製造から販売までを中国国内で一貫して行うことで、人件費や固定費を大幅カットしています。その結果が、“激安”に繋がっているのです。

中国から発送するため、日本に届くには5~10日ほど掛かりますが、価格を考えれば、文句を言う人はいないでしょう。1日2日で届けてもらう必然性もありません。

さらに、この会社のシステムは、いまファストファッション業界が抱えている、大きな問題を解決することもできます。大量在庫の大量廃棄問題です。

安く売るためには、多く作らなければなりません。大量発注で、単価を下げるのです。流行ものであるファッションでは、当然のように在庫が増え、メーカーは泣く泣く廃棄しているのです。

SDGs社会では、これを放置することはできません。

そこで、この会社は考えました。生産地に拠点を置くことで、お客さまが欲しいと思うものを、欲しい時に、欲しいだけ、生産することができるのではないかと。

この多品種少量生産なら、余剰在庫が削減できるので、無駄がなくなります。こうした無駄を取り除くことができたので、激安が実現したのです。

毎日3,000~5,000の新アイテムが投入されており、驚くほどの低価格。新着情報は、インフルエンサーによって、アプリ内の動画で紹介されています。ポイントやクーポンの付与も多く、リピーターになりやすい仕組みとなっています。ファッション業界は、今後、こうした販売方法が主流となるでしょう。

社会問題を解決しながらも、確実な儲けに繋がる、優れたビジネスモデルだと言えます。

しかし、実態はバッタ屋に近い?

「残反や売れ残りの中から、売れ筋と似た商品を見つけて転売している。ビジネスモデルは古典的な『バッタ屋』に近い」という。スタートアップ企業の中でもひときは輝いているが、SNSには積極的に活用しているが、既存のマスメディアには一線を引いて、謎のD2C企業となっている。

破壊的安さを実現するシーインの驚異のサプライチェーンと、恐ろしく効率的なマーケティングが融合したそのビジネスモデルと言われる。中国企業であることを消したSNS戦略をとり、ステルス・マーケティングを行い、中国以外の国のZ世代の定番ブランドとなっている。

いずれトータルの売上で世界一になるだろうとエコノミストは声を揃える。「大量生産時代」「ファッション高回転時代」だからこそ産み落とされたSHEIN。持続可能なのんでしょうか?

2~3日で生産する「ウルトラ・ファストファッション」の真実

ウェブサイトに掲載されている商品画像を、中国製スマホのAI画像検知にかける。すると、同一商品と同一モデルが、タオバオをはじめ、あちこちの中国ECサイトで別ブランドとして掲載・販売されている。

つまり、シーインは、工場で余った残反や余った商品(余剰在庫)をタダ同然で買い取り、ブランドネームを変えて販売しているだけなのだ。

余った商品の中から売れ筋をピックアップして販売するから、3日で3000SKU(ストック・キーピング・ユニット、在庫最小管理単位)を新規投入するという、膨大な品揃えが可能になる。

2~3日で生産する「ウルトラ・ファストファッション」と主張している専門家もいるが、そんなことは不可能だ。数千種類もの布帛(ふはく)やニット原糸などの「素材」を半日から1日で集め、残り2日で修正もせずにパターンを引いて、3000SKUもの商品を作れるはずがない。

このビジネスモデルは珍しいものではない。

日本でも大阪のshoichiという会社が、米国では「オフプライスストア」という業態で、同様のことをやっている。いわゆる「バッタ屋」なのだ。SHEINの急成長の原動力である超低価格は、世界中のアパレルが同社のために商品コストを立て替えてくれている、という構造で成り立っているのである。

単なる安売屋とは違うSHEINの強さは、データ活用による世界中の「流行分析」と、SNSマーケティングにある。我々が普段使っているレベルを遙かに超える、いわゆる「ウルトラ・ビッグデータ」といっても良い、巨大データ分析によって、世界中で今売れる商品を探し出す。

その売れ筋情報をもとに、AIが、中国・広州の3000を超える工場がクラウドに上げた残反・残品情報の中から、商品をピックアップ。MDを組み上げ、世界中にクーリエ(国際宅配)便を使って個配(個別配送)し、売上を最大化させている。SHEINはもともとデジタルマーケティング会社から発展したため、この程度の芸当は朝飯前なのだ。

中国に出荷子会社を作り、輸出税を無税に

世界のアパレルの生産工場が集まる中国広州を拠点に、商品集荷から出荷、ラストワンマイルまでのシンプルなサプライチェーン体制を築いていることだ。中でも恐るべきことは、中国の輸出、および、米国の輸入関税を無税化している点である。

実は、世界で繊維製品に関税をかけていない国はない。輸入関税は徐々に撤廃されているが、繊維、アパレル産業は国の発展の初期段階における重要産業であり、普通は関税で保護されている。

しかし、「税金の抜け道」は存在する。例えば、中国のような共産主義国では一般的に外貨が国から出て行くことを嫌がるので、独自の関税制度を設けている。そのため、外資系企業が中国市場で販売する場合には通常、税金がかかる。そこで、その税金を回避するため、外資系企業では中国に製品の輸出出荷子会社を作ることが多い。

製造段階で中国の工場へ素材を販売し、その製品が再び中国から輸出されるという「裏付け」を作るためだ。そのようにして、商品の付加価値分だけの外貨が中国子会社に残るようにして、関税を回避しているのだ。これを委託加工貿易と呼ぶ。

「個人輸入」として米国の関税を回避

当然、SHEINもそうした仕組みによって、税金を回避している。さらに、米国でかかる輸入税についても、SHEINは巧妙に回避している。店頭への大口配送でなく、国際郵便(EMS)やFedEx(世界大手の物流企業)などの宅配便を使い、一般消費者に個別配送している。

つまり「消費者が個人輸入する」のと同じである。

ブルームバーグ誌によると、こうした個配には関税がかからないという抜け穴が存在するという。ちなみに、ZARAは店舗ごとに大口配送をしており、高額な輸入税をかけられている。だが、SHEINは無店舗で、小口配送しているため、無税となっているのだ。

SHEINはオンラインによる2C(対個人)ビジネスによって、中国から輸出する時の税、米国に輸入する時の税を逃れ、極めて安価なコスト構造と販管費を実現しているわけだ。ある米国の学者は、こうしたシーインのコスト負担の少なさには「誰も追いつくことができない」といっている。

低コストと効率的なマーケティングの融合

洗練されたデザインでかつ膨大な品揃えを実現しながら、原材料がタダ同然で、貿易関税が無税という低コスト構造。インスタなどSNSを利用し、Z世代に爆発的な支持を受けるも、オジさん世代は存在すら知らないという、ターゲティングが明確化された効率的なマーケティング。

河合拓『知らなきゃいけないアパレルの話』(ダイヤモンド社)

Sheinの創業者は元SEO のエンジニア

許は1984年、中国黒龍江省生まれ。大学では情報工学を専攻し、卒業後は就職先のIT企業でSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)の業務に携わった。ここでGoogleの技術力の高さとその発想に強い影響を受け、「情報の最適化」を競争力にしたビジネスを志すようになった。

許はこれまで一度も公式にメディアの取材に応じたことがなく、本人の写真すら世に出回っているものは学生時代の記念写真など2~3点しかない。許自身や同社の履歴には明らかでない部分が多い。

2008年、許は現在のSheinの運営企業である「南京希音電子商務公司」を江蘇省南京市で創業。最初は当時、価格が高かったウェディングドレスに着目、海外市場での販売を目指すが失敗。その後、レディスカジュアル全般にターゲットを変更した。2010年から「SheInside」というブランド名でスペインやフランス、ロシア、ドイツ、イタリアなどで順次ウェブ上に店を開き、中国からの直送モデルでビジネスを始める。徐々にではあるが事業は拡大し、2014年の段階で年間販売数量は500万着に達した。

2015年、名称を現在の「Shein」に変更、中東諸国などに市場を拡大したことが成長の起爆剤となった。その後、米国市場で人気に火が付き、2015~2020年の6年連続で売上高が2倍以上の伸びという驚異的な成長を記録、Sheinは自社の売上高を公開していないが、2020年時点で1兆4000億円程度に達しているとみられる。

日本のアパレル。ユニクロ以外は、いきのこれないかも。

1990年代、世界のアパレルの頂点は「レナウン」でした。世界一の売り上げを誇っていました。

2020年、138億円の負債を抱え、創業から118年目、レナウンの名前を使用99年目にして、破産、廃業、解体となった。アパレルの名門企業でした。2010年に中国企業に買収されていますから、アパレル業界の苦境は今に始まったことではありません。コロナがとどめを刺すかたちで、業界全体が苦境に陥っています。

そこへ圧倒的なデジタル化で、スピード経営とSNSを駆使した中国企業の台頭です。もはや勝負になりません。ユニクロは戦えるでしょうが、あとは細々と頑張るしかないのかも知れません。

社会考察
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