ロイ・マーカス・コーン(1927年2月20日 – 1986年8月2日)
トランプに帝王学を授けた男、“悪魔”と取引した弁護士ともいわれ悪名高い人物、同性愛者としても知られる。
以前は「ローゼンバーグ事件」で名が出てくる人物だったが、最近はドナルド・トランプに悪どい生き方をを教え込んだ人物としても注目を集めている。
トランプと仕事をしていたのは、ホワイトハウスで失脚し、弁護士として活動を始めてから。
「赤狩り」の急先鋒にたち、民主党員でありながら共和党出身の大統領の大半を支持し、「名前ばかりの民主党員」と呼ばれた。
ロイ・コーンはこのとき、大学卒業後にマンハッタンの連邦地方検事局に勤務している。検事として共産党関係の重要な事件を多く扱い、熱烈な反共主義者として有名に。
商務省に勤務していた共産党員ウィリアム・レミントンが党籍に絡んで起した偽証事件や、悪名高いスミス法に基づく共産党幹部11人の扇動罪での告訴、アルジャー・ヒス事件などを担当した。
「赤狩り」は反ユダヤ主義的側面もあり、ユダヤ系のロイ・コーンは都合が良かったとも。赤狩りの標的になったのは、リベラル志向を持つユダヤ人が多かった。(説としてあるようです)
有名なのは、1951年におきたソ連によるスパイ事件「ローゼンバーグ事件」での役割。この事件は、原爆製造などの機密情報を受け取り、ソ連に提供したというもの。
ローゼンバーグ夫妻の親戚(義弟)デイヴィッド・グリーングラスに頼み、機密情報をソ連に流す。グリーングラスは、マンハッタン計画に関わり、ロスアラモス研究所で勤務していた経験があった。
ロイ・コーンは、グリーングラスに司法取引を持ちかけ、ローゼンバーグ夫妻の不利な証言をもたらすことに成功する。
のちに、反対尋問は偽証だったことが判明し、ローゼンバーグ夫妻の冤罪が左翼メディアを中心に行われきたが、1995年に開示された機密文書により二人とも旧ソ連のスパイであったことが判明した。
この功績により、マッカーシー上院議員の右腕的存在となるが、ホワイトハウスのキャリアとしてはここまでで、すぐに失脚する。
1954年に同性愛の間柄といわれるデヴィッド・シャインが軍に徴兵されることを違法に回避、特別な待遇を要求しようとしたことで上院政府活動委員会常設調査小委員会において陸軍と対立した。
その後、違法な行為がばれだし、マッカーシーとともに失脚する。
弁護士に転身、リチャード・ニクソンやロナルド・レーガンの非公式顧問ともいわれ、マフィアのジョン・ゴッティも顧客に名を連ね仕事には困らなかった。
共和党のロビイスト・ロジャー・ストーンとも知り合いだった。この人はトランプの政治顧問で、ヒラリー・クリントンのメールを暴露し、ニクソン時代にはウォーターゲート事件の公聴会で妨害などもしている悪名高い人物。
同性愛であること否定し続けていたが、1986年にAIDSによる免疫不全でなくなる(59歳)
長期間、FBIを支配していたフーバー長官も同性愛でありながら弾圧していた。ロイ・コーンも同様に、同性愛者であったが、表向きは否定し権利拡大に強く反対する。
「同性愛者は教職に就くべきでない」と語ったこともある。証人や被告人に対しては、「同性愛者であることを暴露されたくなければ法廷で検察に有利な証言をせよ」と圧力を行使することもあった。
ロイ・コーンを生涯を題材にした作品は多い。
2003年にテレビ映画化された『エンジェルス・イン・アメリカ』ではアル・パチーノが演じています。1980年代のニューヨークを舞台に、エイズに冒された同性愛者たちと、その周りの人間模様を描いた作品。
第56回エミー賞のミニシリーズ・テレビ映画部門で作品賞など11部門、第61回ゴールデングローブ賞のミニシリーズ・テレビ映画作品賞など5部門を受賞した。
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