米「黒人歴史月間」にチキン&スイカを提供

社会考察

米CNNの報道ですが、ニューヨークの中学校と食品販売業者が「黒人歴史月間」の2月初日の給食でチキンとワッフル、スイカを提供したことについて謝罪した。

「なぜこんな日にチキンとスイカを出したのか?」ということなんですが、食品販売会社アラマークが非難されています。人種差別論争に巻き込まれた形になりますが、人種差別論争は、ニューヨーク州ラクランド郡のナイアック中学校の生徒たちに2月1日、給食としてチキン、ワッフル、スイカが提供されたことから起こりました。

米国の2月は「黒人歴史月間」。米国の歴史学者カーター・ウッドソンが1926年に黒人の闘争と業績を称えるために2月の第2週を「黒人歴史週間」に指定したことに由来する。ここで公共機関で提供される食には、批判が集まることがあります。

CNNによると、学校のウェブサイトにはランチメニューとしてチーズステーキとブロッコリー、果物などが出ると公示されたが、学校側とアラマーク側はいずれもランチメニューが変更された理由と時期について明らかにしていないという。

ナイアック中学校長は給食が提供された翌日、公式書簡により保護者に「黒人歴史月間の初日、該当メニューを提供したことについて謝罪する」とし「アラマークの関係者に連絡し、昨日の過ちを繰り返さないという約束を受けた」と述べた。

アラマーク側も、意図した訳ではなかったが、不適切なランチメニューだったことを認めると謝罪した。アラマークがこのようなミスを犯したのは今回が初めてではない。

2018年にもニューヨーク大学の食堂に黒人歴史の月の特別ランチメニューとしてカルビ、カーラドグリーン、トウモロコシパン、マカロニ・アンド・チーズ、スイカ味のジュースなどを提供し、黒人に不快感を与えるメニューを提供したという批判を受けた。その後、職員2人が解雇され、ニューヨーク大学はアラマークと再契約しなかった。

日本ではフライドチキンと言えばケンタッキーフライドチキンだし、カーネル・サンダースは白人です。黒人の食べものというイメージは湧きません。基本的に白人と黒人の問題ですから、過度に気にする必要はないかと思います。が、都合よく英語を和製英語として日常に取り込んでいるため、その中で差別的なニュアンスが含まれることが多々あるようで、「ブラックジョーク」っていう言葉も差別用語ですが、日本では一般的になってしまっています。

フランドチキンは黒人の食べもの

実際にはそんな事ありませんが、映画「グリーンブック」では白人運転手がチキンを食べたことない黒人音楽家とのやり取りがあります。黒人と白人の関係性を表現するアイテム的存在でもあります。

歴史的には20世紀中ごろまで、アメリカでフライドチキンは「南部の黒人奴隷の食べ物」として偏見の目で見られ、白人富裕層は食べることはなかった。 黒人のステレオタイプで、好物がフライドチキンとされるのはそこに由来します。

チキンは「過去に綿花農場の地主が黒人奴隷に安いからと提供した食べ物ということに由来している」という説が提起された。

スイカも黒人を表現する食材

日本では、夏の季節の果物として、どちらかというとポジティブな食材かと思われますが、米国では黒人差別に繋がる恐れがるものだそうです。

スイカは所得水準が高くない黒人の低所得層がよく食べる「安い果物」だった、そのため「黒人はスイカに目がない」「黒人はスイカが嫌いなふりをしながら隠れてスイカを食べる」のような人種差別的固定観念が存在する。

アイスティーも黒人を表現する飲み物

アイスティーも南部の黒人が好んだ飲み物と言われます。かつて黒人が奴隷として雇われていた時代は、大規模なプランテーション農業の労働力として紅茶や砂糖、そして綿花の生産に酷使されていました。黒人奴隷は”綿花を摘んだ量が少ないと罰を受けたり、劣悪をつけられる基準にもなっていたのです。

ジョーダン・ピール監督の「ゲットアウト」でも黒人奴隷を表現として出てくるように、使用度が高いアイテムです。

コカ・コーラとペプシコーラも、以前は黒人がペプシを好み、コカ・コーラは白人が好む、ようなことをいわれていたようですが、これはマーケティングが関係していたようです。あまり関係性はないようです。

ソウルフードも差別的は言葉?

これも微妙らしいです。日本では「お好み焼き」「たこ焼き」を関西のソウルフード的に言い表すことが多いですが、アメリカでは、人種差別的なニュアンスも含む場合もあるそうなので、注意が必要かもしれません。

英語でsoul foodといった場合にはそれは黒人文化に根ざした黒人の料理を指します。英語で書いてしまうと黒人の伝統的な家庭料理として受け止められてしまう可能性が高いからです。

歴史をたどればアメリカ南部の奴隷制度の中で生まれた料理で、あまりよい部分とされないホルモンや内臓系などを中心に構成されたような料理です。チキン、豚肉、黒目豆などがあり、わりと高カロリーです。基本的には家庭料理ですが、それを提供するレストランも南部の州やニューヨークなどの都会にも存在しています。

今では健康的な料理とは言いがたいけど、特に悪いニュアンスではなく差別的な意味はない「伝統の黒人料理」といった感じだそうですが、日本でソウルフードの意味合いには、その歴史的な背景がほとんど考慮されていません。郷土料理、地方で愛されているローカル料理に使われることが多いですが、どちかというと埋もれている無名の料理が、全国区になるときに使われる傾向があるかと思います。B級グルメが流行ったときの「町おこし的」な宣伝文句です。

安価で庶民が普段から食べられる、常食にしているようなもの、B級グルメに分類されるの言葉がないため、ソウルフードを広告代理店のような人間があてはめた感じです。

「signature Food」「comfort food」といった言葉を使ったほうが無難です。自慢料理、特製料理、田舎を思いだす料理。

 

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