ジェフ・ベゾス Amazon CEO 失敗が足りない。

人物

グローバルデータのアナリストは「アマゾンはもはや、実験をしたり、リターンを生まないあまりに多くの事業を進める余裕はない」と述べた。カリスマ、ベゾスがいるうちは挑戦を辞めることはないかもしれないが、失敗を恐れない企業風土は変化をするかもしれない。

ジョブズやザッカーバーグのように、そのライフストーリーが広く喧伝されることもない。ベゾスという人は一体何を考えているのか、実際ぼくらはあまり多くを知らない。そこにややもすると警戒感を催させる何かがあるのかもしれない。

ECのマーケットにおいて完全な覇者である。他に成功している分野は、クラウドではトップを走っている。Amazon Web Services(AWS)。33%のシェアを取り、22%のマイクロソフト、10%のグーグルに大差をつけている。

Amazonでは失敗が日常的だが、AmazonのCEO ジェフ・ベゾスに言わせれば、他社はまだまだ失敗が足りていないとのことだ。

彼はアマゾンの株主に向けた年次書簡において、「Amazonは世界一の失敗をする企業である」と言い放ち、失敗を糧として、去年はクラウドで73億ドルの収入を上げる成功に至ったその社風を誇った。またAmazonは来年の収入を約100億ドルと予測している。

失敗を恐れない。むしろ推奨する企業

Amazonには他の企業と似たようなところもあるが、他とは明らかに異なるところもある。

それの最たるものとは、失敗を尊ぶという点だ。

「我々が他より際立っているところは失敗についてだと思う。我々は世界一失敗している企業であるし、実例を挙げるとキリがない。失敗と発明は切っても切り離せないものだ。発明の為には実験が必要だが、何が正解かやる前から分かっているようなものなど実験とは言わない。大企業の多くは発明をありがたがるが、それを達成するために経験しなければならない一連の失敗で苦しみたいとは考えない。」

失敗を受け入れ、時には喜ぶという心構えは重要なものだと彼は続ける。これらの失敗は大きな見返りにつながる可能性があるからだ。

「大きな見返りとはしばしば従来の知恵の逆を行く事から得られるが、従来の知恵というものはたいてい正しいものだ。だがもし10%の確率で100倍の見返りがあるのだとすれば、10回のうち9回が外れるとしても、その博打に賭けてみるべきだ。」

「フェンス越えの打球を狙いに行けばストライクを取られる率も上がる事は誰でも知っている。それでも何本かのホームランは出るわけだ。だが野球とビジネスの違うところは、野球における見返りはある程度のところで頭打ちになる点だ。どんなに球を上手に打ち返したとしても、それで得られる得点は4点どまり。だがビジネスでは登板の度に毎回1000点を得る事も可能になる。この事があるから前に進む勇気を持つことは重要なのだ。そして大勝ちするプレイヤーは実験的な行為に多くをつぎ込む」

というわけでAWSは様々な実験をより早いペースで行っている。2015年にはAWSにS3やEC2、Autoraなどの70以上のクラウドサービスに722もの特徴的な機能が追加された。2014年と比べて40%の伸びだ。

だが彼らは何の考えも無く失敗しようとしているわけではない。

細分化するAmazon

ジェフ・ベゾスによれば、「AWSで作られるものの90-95%は顧客の要求によるものだ」という。重要な点は、顧客の利益の為ににそれらを作るため、Amazonはイノベーションを細分化できる形で行っている点だ。

「Amazonは一つの事だけに携わる小さなチームの集まりで出来ており、その為に急速イノベーションが可能になっている」とBezosは述べている。これらのチームは互いのコミュニケーションを数年前から強制されている「公開されたAPI」を通じて行っている。

  • チームはサービスインターフェイスを通じてその機能やデータを公開しなければならない

    チームのコミュニケーションはインターフェイスを通じて行われる

    インターフェイスを通じたもの以外のあらゆるプロセス間通信は許可されない。直接的にリンクする事、他のチームのデータを直接見ること、共有メモリモデルによるコミュニケーション、バックドアその他の手段すべてに対してこれは適用される。唯一許可されるコミュニケーションは、ネットワーク越しにインターフェイスを叩くことのみである。

    どの様なテクノロジーを使っていたとしてもこのルールは変わらない。

    どの様なサービスインターフェイスも例外なく公開されることを前提に根底からデザインされなければならない。つまりチームはインターフェイスを開発者に公開できるようプラン、設計を行わなければならない。例外は認められない。

そしてこれらを選択肢の1つだと考えているAmazonの従業員たちに対し、ベゾスはこう締めくくっている。「これを守れない社員はクビにする。では今日もいい日を」

Amazonがまた、あの呪われてたとしか思えないようなFire Phoneの様なものを作り出す可能性はある。Amazonは大なり小なり様々な賭けに出ることに前向きであり、失敗を悲劇と受け止めない。そうするなかで、Amazonは小売業、クラウド、デバイスビジネスを大きく発展させてきたのだ。数ある失敗があったにも関わらず、ではない。数ある失敗があったからこその話だ。

Amazon Alexa「巨大な失敗」損失は年間1兆4000億円

7000億円以上の営業損失を出したデバイス事業の見直しを進めているAmazonが手がける音声アシスタント「Alexa」は、2022年だけで100億ドル(1兆4000億円)を食いつぶす大きな失敗だったと。

Amazonは営業不振により最大で1万人を解雇する史上最大規模の人員整理を進めており、その中で最も大きな影響を受けているのが音声アシスタントであるAlexaの開発チームです。

伝えられるところによると、Alexa開発チームが所属する「Worldwide Digital」という部門は2022年の第1四半期だけで30億ドル(約4200億円)の損失を出しているとのこと。この部門はAmazon Primeビデオも担当していますが、損失の大部分はAlexaによるものだとされています。また、Alexa部門のハードウェアチームが出す損失は通年で100億ドルに達するペースで、これは他の部門の2倍の規模です。

レポートに証言を寄せたAmazonのハードウェアチームの現役および元従業員12人は、Alexa部門を「危機的状況にある部門」と評しています。また、Alexaに携わる社員の話によると、Alexaを収益化するAmazonの計画はほぼすべてが失敗しており、社員の中にはAlexaを「巨大な『想像力の欠如(failure of imagination)』」や「見逃されたチャンス」と呼んでいる人もいるとのこと。今回のAmazon史上最大規模の人員整理は、こうしたAlexaの赤字体質を改善させることができなかったツケだと位置づけられています。

ここまで酷評されているとAlexaを搭載したデバイスがまったく売れていないような印象を受けますが、実はAmazon EchoシリーズはAmazonで最も売れている製品の1つです。しかし、ほとんど原価と同じ価格で売られているため、ハードウェアの売り上げが利益につながっていないのが実情です。

頼みの綱はユーザーの家庭に普及したAlexaがお金を稼いでくれることですが、Alexaは宣伝をしないので広告費は得られず、またAlexa経由でAmazonに商品を注文する人もほとんどいませんでした。Alexaについて取り上げたレポートによると、Alexaでの消費動向を4年間追跡して得られた調査からは「Alexaは週に10億件もの会話を行っているものの、それらのほとんどは音楽の再生や天気の確認といったささいなコマンドだった」という結論が出ているとのことです。

音声アシスタントで苦労しているビッグテックはAmazonだけではありません。GoogleによるGoogleアシスタントの収益化も難航しており、2022年10月の決算発表ではGoogleがAmazonとほぼ同じ問題を抱えていることが露呈しました。そのため、GoogleはAmazonと同様にGoogleアシスタント部門に割くリソースを削減することで対応しています。

一方Appleは、Siriを搭載した初代HomePodに350ドル(約5万円)という野心的な価格を設定してハードウェアから利益を回収するモデルの構築に挑戦しましたが、消費者には受け入れられず、HomePodは2021年3月に生産終了を余儀なくされました。

Appleはその後、本体のサイズと価格を一回りダウンさせたスマートスピーカーの「HomePod mini」をリリースしつつ、大きなHomePodを復活させる道筋を模索しているとのことです。

アマゾン最大の失敗「ファイアフォン」が売れなかった理由

世界有数の巨大企業になっても、クラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)、アレクサ、アマゾンゴーなど次々と発明し、急成長を遂げてきた。しかし、派手な失敗もしている。創業者で元最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスが自ら注力して開発したのに全く売れなかったスマートフォン「ファイアフォン」。

シアトルとサニーベール、いずれもアレクサの開発チームと同じ建物で開発中のアマゾンのスマートフォンは、沈没しかけていた。その何年か前にスマートフォン市場が生まれ、すぐアップル、グーグル、サムスンの3社がその大半を占有してしまったが、なんとなく、やり方次第で新規参入も可能だという雰囲気も残っていた。

一方、アマゾンCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾスには、デジタルは今後必ず発展していく分野であり、そこにおける戦略的ポジションを他社に譲るつもりなどなかった。うまく立ち回れば大丈夫だと思っていればなおさらだ。だから、ブレインストーミングで、その辺に置き忘れた電話をワイヤレス充電器まで持っていくロボットを提案したりした(冗談だと思った社員もいたが、ちゃんと特許も申請されている)。

タッチスクリーンをタップせず、人の動きそのものに反応する3Dディスプレイを提案したこともある。実現すればユニークなスマートフォンになる。ベゾスはこのアイデアにほれ込み、これを元にファイアフォンの開発が行われることになった。

当初案は、四隅に赤外線カメラを用意し、ユーザーの視線を追跡したりスクリーンの表示を3Dであるかのように調整したりするというものだった。カメラは背面にもあるので、全部で5つあることになる。電話のどちら側からも「見る」ことができるので、コードネームはメンフクロウの学名「タイト」だ。なお、このカメラは日本メーカーの特注品で携帯端末1台あたり5ドルものコストがかかる。それでも、ベゾスは、最高の部品を使ったプレミアムなスマートフォンにするのだと譲らなかった。

ベゾスは、3年にわたり、タイトの開発陣と三日にあげず打ち合わせを持った(並行してアレクサの開発陣とも同じくらい頻繁に打ち合わせをしている)。彼は新しい技術や事業に熱を上げるタイプで、開発陣に思いつきをぶつけたり、進捗を確認したりするのが大好きだ。

アマゾンの事業では顧客からのフィードバックを極端と言えるほど重視するが、同時に、そこから画期的な製品が生まれることはないと考えており、クリエイティブな「さすらい」をしなければならない、それしか飛躍的な進歩をもたらす道はないというのが持論である。

これは、次のような年次書簡を後に株主に送っていることからも明らかだ。「顧客が存在さえ知らず、ゆえに求めることもないものこそが前進する力となります。顧客になりかわり、我々が発明しなければなりません。内省し、なにができるのか、自分たちの想像力に問わなければならないのです」

ベゾスと対立する開発陣、発売は遅れる

タイト開発陣側は、ベゾスが掲げるスマートフォンのビジョンに納得していなかった。3Dディスプレイなど電気ばかり食う小細工にすぎない、それ以上のものにはなりえないと。

「スマホのカレンダーなんて使う人、いるのか」とベゾスが聞くなど、スマートフォンが世間でどう使われているのか、ベゾスにわかるわけがないと思わされることもあった。開発陣の答えは「もちろん使いますよ」だ。ベゾスと違い、ふつうの人は何人ものパーソナルアシスタントがなにくれとなく世話を焼いてくれるなど考えられないのだから当たり前だ。

アレクサと同じくベゾスに無理筋の期限を切られ、タイトプロジェクトも人を増やした。しかし、技術系プロジェクトがうまく行かないからと人を増やすのは大失敗の素にしかならない。しかも、当時、キンドルは戦略的に重要な製品と位置づけられていたのでそちらから引き抜いてくることはできず、モトローラやアップル、ソニーなど社外からハードウェアエンジニアを集めてくるしかない。業界で評判の人を引き抜くのだ。もちろん、なにを開発するのかは、初出社の日まで秘密である。

発売予定日は6カ月先。その状態が続いた。

3Dディスプレイがなかなかうまくできず遅れに遅れたのだ。そうこうしているうちに最新鋭だった部品が時代遅れになってしまい、プロセッサーとカメラを新しいものに換えてプロジェクトをやり直すことになった。コードネームはフクロウつながりで「デューク」だ。

フクロウの一種、コノハズクを意味する「オータス」というコードネームで、基本機能に絞った安価な携帯端末の開発にも手を出して結局あきらめるという一幕もあった。製造は台湾の携帯電話メーカーHTC社で、アマゾン用にカスタマイズしたアンドロイドOSで動くはずだった。

アップルのiPadより安くて使えると評判上々のFireタブレットと同じシステムだ。オータス開発陣は奇抜な3Dディスプレイよりスマートフォンを安くかそれこそ無償で提供し、市場に波乱を起こすほうがアマゾンにとって利があると考えていたので、この開発中止に、みな、気落ちした。腹に据えかねた人もいて、反対であっても決まったことには従い、実現に向けて全力を尽くせというアマゾンのリーダーシップ原則第13条「反論と一意専心」が刻まれた軍用認識票をおそろいで買ったりした。

スティーブ・ジョブズのようなプレゼンで興味を引く作戦

2014年4月に公開された株主への年次書簡にベゾスは「発明はやっかいなもので、大きな賭けに負けることもあるのです」と書いている。まるで予言だ。直後の夏には携帯電話を発表することになっていたのだ。ベゾスの妻マッケンジーもリハーサルに参加し、なにくれとなく手を貸し、アドバイスもした。

そして2014年6月18日、シアトルのイベント会場フリーモントスタジオで、ベゾスがファイアフォンを発表。少し前に亡くなったスティーブ・ジョブズのカリスマ的魔法を再現し、3Dディスプレイやジェスチャー操作に注目を集めようとした。当時のPR担当バイスプレジデントクレイグ・バーマンはこう語っている。

「ベゾス本人は成功を信じていたと思います。いや、本当に。少なくとも、信じていないと開発チームに気取らせるつもりはなかったようです」

評価はさんざんだった。ファイアフォンの開発に費やした4年間でスマートフォンの市場は大きく変化し、成熟してしまった。その結果、画期的なものを創ろうとしたはずなのに、ユーザーのニーズとかけ離れた製品となってしまった。

グーグルが認証したバージョンのアンドロイドは使えないし、Gmailやユーチューブなどの人気アプリも使えない。次期iPhone6よりは安いが、実質本位として価格を抑えたアジアメーカーの端末に比べるとすごく高い。後者にいたっては、当時、2年縛りを条件に携帯キャリアから多額の報酬金が出ていたのだからなおさらだ。

「顧客が求めるものではなかったということですね」。このプロジェクトを率いたバイスプレジデント、イアン・フリードはこう指摘する。「これは私の失敗であり、ジェフの失敗であります。アマゾンというブランドにはすさまじい価値があるのに、ファイアフォンでは、それとうまくかみ合う形で価値を提供することができなかったわけです」

巨額の損失、それでも社員は罰せず

ベゾスからは「ファイアフォンで後悔の念を感じたりしないでくれ。眠れなくなることなどない。そう言ってくれ」と言われたそうだ。その夏、アマゾンがフェニックスに持つ物流拠点では、何千台ものファイアフォンがパレットに積まれたままほこりをかぶっていた。

10月、1億7000万ドル分の在庫を特別損失として計上し、プロジェクトは終了。アマゾン史上最大の失敗である。「関係者が口をそろえて警告していたとおりの理由で失敗したっていうのがなんともな点です」。プロジェクトに早い段階で参加し、当初から成功はおぼつかないと思っていたソフトウェアエンジニア、アイザック・ノーブルの言葉だ。

ファイアフォンの大失敗がアレクサのプロジェクトにとって吉兆となったのは僥倖(ぎょうこう)と言うべきだろう。スマートフォンの市場シェアを守る必要がなくなったので、アマゾンは、なにも心配せずスマートスピーカーという新領域の開拓に突き進むことができた。ファイアフォン開発陣の一部はグーグルやアップルに引き抜かれたが、ヒット商品ファイヤーTVのほか、アレクサの開発に異動したエンジニアも少なくない。なんと言っても大きかったのは、ファイアフォンの開発に携わったイアン・フリードら管理職をベゾスが罰さず、リスクを取れば評価される、少なくともベゾス自身のミスで失敗した場合はそうなるのだと社内にはっきりと示したことだ。

同時に、アマゾンが抱える問題もひとつ明らかになったと言える。ファイアフォンがうまく行くはずなどないと考えた関係者は多いのに、かたくななリーダーに立ち向かい、説得するだけの気概や力を持つ者がひとりもいなかったわけだ。

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