物価高の日本だが、企業物価が前年比9%台の上昇なのに対して、消費者物価は3%の上昇。かなり低水準で抑えられている。賃金が上昇していないため、企業は仕入れた上昇分を最終消費者に転嫁できずにいます。給料が低いままだと、ものが上がると誰も買わなくなってしまう。
賃金が物価上昇より上回らないと、値段に上乗せすることができない。今まで日本の企業は、内部留保に勤しんできたので、吐き出せばいいだが、それも限界があります。景気後退とインフレが同時に来ることをスタグフレーションと呼びます。
学生時代に習った言葉ですが、私が学生のときは、バブルはとっくに弾けていましたが、その余韻が残っていたため、あまり重要な言葉としては、扱われなかった気がします。
伊藤忠商事から講師を勤めていた先生は、スタグフレーションの危険性を時間を割いて、講義をしていた記憶を思い出します。日本の家電メーカーは、すべて潰れるようなこと予言していました。当時は聞き流していましたが、SONYやPanasonic、日立、三菱は生き残ってるとはいえ、遠からずあたっていることを思うと感慨深い思い出です。
スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(インフレ、物価上昇)が同時進行する現象のことをいいます。この名称は、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Inflation)」を組み合わせた合成語です。
通常、景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレ(物価下落)要因となりますが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがあります。これが、スタグフレーションです。景気後退で賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇する状況は、生活者にとって極めて厳しい経済状況といえます。わが国では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。
米国は、2022年に入り1月に7.5%だった消費者物価は6月には9.1%まで上昇しました。その後は少し下降していますが、9月で8.2%です。10月の数字は7.7%で、市場予想よりも幾分低めでした。FRBの物価目標は2%ですから、当面利上げは続くと思います。
日本と違うところは、企業の仕入れを表す企業物価は、9%前後の上昇。企業は仕入れ分に利益を乗せて販売しますから、卸売物価の上昇分はほぼ最終消費財に転嫁されています。
これが不思議なところですが、IT企業では20年ぶりの歴史的なリストラが行われているのに、雇用の状況が良く、賃金の上昇が続いている。労働人口の戻らないという問題もあります。コロナ禍で退職し、そのまま職探しもしなくなった人が多く「1億人が働いていない」と言われています。
インフレにはいくつかの種類があります。
コストプッシュ・インフレ
生産コストの上昇により起こるインフレのこと。 具体的には、原材料や資源価格の上昇による資源インフレ、賃金の高騰による賃金インフレなどがある。 いわゆる供給サイドの要因によるインフレであり、輸入物価の上昇などその原因が自国に収まらない場合は、対策が比較的難しいとされる。
ディマンドプル・インフレ
いわゆる供給サイドの要因によるインフレであり、輸入物価の上昇などその原因が自国に収まらない場合は、対策が比較的難しいとされる。 それに対して、好景気によりモノがよく売れることで需要が供給を超え、モノの値段が上がる需要サイドの要因によって生じるインフレはディマンドプルインフレと呼ばれる。賃金が上がって需要が高まって発生するタイプ。
日本も、企業物価の上昇は前年比9%です。それに対して消費者物価は3%の上昇。6%は消費者に転嫁できず、企業がかぶる形になっています。今まで賃金を上げず、溜め込んできたのですから、当然と言えば当然ですが、大企業以外は持たないかも知れません。
消費者は価格には敏感です。そう簡単には、価格転嫁はできません。
政府、連合、経団連などは賃上げを要求していますが、中小企業には体力が残されてなく、インフレ調整後の実質賃金はマイナスです。賃金が物価を超えない限り消耗が続きます。最悪、景気後退とインフレが同時に来る「スタグフレーション」となる可能性もあります。
1970年代のオイルショックが、再び経験することになりかねません。このとき、何故か「トイレットペーパー」がなくなるというデマが発生して、スーパーの棚から消えたそうです。後にわかりますが、まったく関係がありませんでした。父は車の免許を取ったばかりで、商売をしていた祖母から「捜して来て」と頼まれ、神奈川県の川崎から栃木まで、車で行ったそうです。石油ショックでガソリンは普通に買えたそうです。集団心理の怖さです。
コロナ禍のときもマスクがなくなり、騒動になりましたが、なんかありそうは気配です。
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