宅見組 大阪・難波の千日前本部解体

大阪・難波の千日前。歓楽街の狭い路地沿いに立つ4階建てビル。数年前から使用されてはなかったようですが、2023年4月、売買契約が結ばれ解体となった。

拠点がどこに移ったのか不明ですが、宅見組は1980～90年代のバブル期、不動産や株取引で資産を作って勢力を拡大した。最盛期には1000人以上の組員、準構成員、協力者などを合わせると3000人を超えていた巨大組織。

宅見勝・初代組長は山口組若頭。当時の山口組トップの出身組織、神戸の山健組とともに関西で有数の暴力団でした。

宅見組に関する出来事は、たくさんあると思いますが、山口組が関東に進出するきっかけとなった「八王子抗争」が思い出されます。

関東の組織と「多摩川は超えず」という暗黙の協定のようなものあり、実際には活動はしていたと思われますが、大っぴらな活動は控えていました。

1990年2月15日から25日までに、東京都八王子市で宅見組と二率会との間で発生した八王子抗争事件。

二率会（にびきかい）は「地獄に落ちるわよ！」の決め台詞でメディアで活躍して占い師が、組長の姉御で取り仕切っていたことで知られています。

東京都新宿区を本拠とし、小金井一家、八王子一家、親之助一家等から構成され、甲州街道筋を中心として、川崎、横浜市東部にわたっていた。歌舞伎町も小金井一家が有しており、住吉会などに貸しジマとして提供しており、結びつきは強い。

抗争は、二率会系八王子一家内西山組と山口組系宅見組内幸田組という三次団体間の抗争。関西では山口組が寡占状況となり、バブル経済で好景気の利権を求め、宅見組が仕掛けたものと思われています。

1990年2月14日、八王子市中町のスナック「風浪恋」で宅見組組員2人の態度を注意したことがきっかけに。

注意されたことに激昂した宅見組組員らは、二率会の事務所に押しかけますが、2人は刺殺されてしまう。ここから10日間の抗争に。

宅見組の動員力と物量作戦により二率会は圧倒され、一方的な展開となります。1990年2月17日から20日まで3日間の集中的な攻撃、準備していたとはいえ、短期間でおよそ150人30班の部隊を八王子周辺に送り込み、八王子だけではなく北海道から東京・神奈川にわたり、20回を超える銃撃、2tトラックによる突っ込みをおこなう。

北海道旭川市二条通りの路上で、二率会系藤田組幹部が至近距離から腹や胸などに銃弾6発を受け死亡。1990年2月22日、警視庁は機動隊を含めて1200人の警察官を動員。二率会のトップが謝罪することで終結に。

川崎に住んでいますが、このときはかなり物々しい雰囲気でした。警戒中の警察車両にも銃弾が打ち込まれたため、二率会の関連施設には、完全防備でジェラルミンの縦を持った警察官であふれています。何よりひどかったのが、手当り次第の検問、職質、中学生ながら迷惑だった記憶があります。

川崎は二率会の縄張りでしたが、東京から多摩川を越えて山川一家が進出し共存していました。山川一家は隣接する蒲田で愚連隊として結成され、朝鮮系の取り込むかたちで、力をつけた組織です。抗争があった1990年頃には、山川一家のほうが圧倒的に強かったのは確かですが、なんとなく軽薄さがあり、ヤクザといえば二率会という印象です。

現在に話を戻すと、宅見組は存続自体、危ぶまれているようです。

2015年8月26日、六代目山口組を離脱。共に離脱した13団体と神戸山口組を結成し、山健組に次ぐ主要組織として活動を始めます。2022年9月21日、神戸山口組を脱退し独立組織となる。現在は組員は10人台と推測されています。

神戸山口組をから離脱した要因は様々出ていますが、トップの井上邦雄と宅見組・入江禎の口論が原因と言われています。離脱した組織を連合体の形で再編しようとした入江組長ですが、井上組長がいうことを聞かず、愛想をつかした形と言われます。

神戸山口組は、独立したはいいものの分裂・離脱を繰り返し、わけがわからないくらい状態、暴力団、とくに山口組の内部情報は、関係者が亡くなって明らかになることが多いため、現状ではなんともいえません、が、トップの井上邦雄・組長の資質、力量に？つくことは確かなようです。

山口組が神戸山口組と分裂したときに、宅見組も離脱するの？

宅見組をつくった宅見勝は、山健組中野会に暗殺され、それが原因で名古屋の弘道会に政権が移ったと言われています（本当のところはわかりませんが）。親の仇と一緒に出る必要性があった？ということでしょうが、うまく立ち振る舞って山口組から離脱しなかったとしたら….結果は一緒なのかな。