中国の通信機器大手ファーウェイ、2022年の売上高が12兆5000億円というニュース。
米国に制裁を受けても10兆以上の売り上げ。日本企業でいうと10位くらいの売上高規模の会社である。てっきり死に体となって新たな企業が出てくるのか、と思っていただけに中華企業の底力はすざまじい。
「最先端ではない部品で、最先端の製品を作る」
そんななか、ファーウェイは生き残りをかけた自己変革に全力を注いできた。その1つが、あえて最先端ではない部品を使い、最先端の製品を開発するというチャレンジ。
2021年8月、ファーウェイ創業者でCEO(最高経営者)の任正非氏は、「アメリカの制裁が2年にわたり続くなか、最高の部品を使って最高の製品を開発することにこだわらなくなった」と発言。さらにこう続けた。
「科学的かつ合理的な方法で機能のバランスを取り、リーズナブルな(品質の)部品を用いて高品質な製品を作り出せば、利益率を大幅に高めることができる」
ファーウェイがなぜ制裁?
簡単に言うと、中国政府は、監視の目を光らせています。法律でインターネット安全法というものがあり、ネット接続業者・IT企業には、協力を強制しています。これを口実に米国は、安全保障の驚異として通信機器インフラで世界シェア1位、スマホ事業2位のファーウェイを狙い撃ち。
疑いは数多く報道されましたが、具体的な事案は出てきませんでした。実際にはやっていそうですが、疑わしいグレーなものは、容赦なく排除する米国です。
言いがかりをつけて、制裁を加え、マスコミを動員して印象操作をするやり方は、2009年の「トヨタショック」でもみられました。急発進・急加速で問題になりましたが、これは完全に言いがかりで、追い詰められたGMのトヨタ潰しでした。
米国と中国の対立が表面化して、(取引制限リスト)名指しされて、制裁を受けたが巨大な売上高を確保している。米国の制裁はあまり効果はない、ということを示してしまった。これまで全体の5割超を占めていたスマホなど消費者向け事業が前年比49・6%減の2434億元とほぼ半減した。
スマホ事業に関しては、再構築図るため、低価格帯スマホ部門「Honor(オナー)」を152億ドルでデジタル・チャイナに売却。デジタルチャイナが15%、その他、複数の企業が10%程度保有する。この複数の企業というのが、間接的にファーウェイと関係を持っており完全に手放すことはしていない。
高性能スマホは依然として手放していないため、米政権の変化を待っている感じである。ファーウェイ幹部もスマホ事業を完全には手放すことはないと話している。
他の国では制裁は緩いものの、最先端のチップが供給されず、GoogleのOS・アプリが使えない状況の中では、中国以外から締め出されたようなもの。
中国国内だとGoogleが使えないことも多いので、問題がないと思うが・・2019年に世界シェアは、アップルを抜いて2位だった。サムソンを追い抜く勢いだったが、2021年には9位に転落している。
米国による半導体の規制も本格的になっていることから、簡単には改善はされないという意見が大勢を占めるが、中国はこれを気に独自の半導体を作り出すかもしれない。
国家ぐるみで、ありとあらゆる手段を使えば、最先端技術なんて盗み出せるだろうし、それをさらに進化させることなんて、西側とは道徳の基準が違うためやりかねない。10年後には、サムスンを超える半導体企業が誕生しているかも知れません。
ファーウェイは面白い経営体制を敷いています。CEO3人が「輪番制」を取っていて、半年でどんどんCEOを変えていく。戦略的にあえて株式市場に上場せず、非上場を貫いている。
研究開発に旺盛で、売上高の10%以上を継続して研究開発に投資するなど、先端技術開発に貪欲です。全従業員数の45%にあたる約79,000人の従業員がR&D(研究開発)に従事しており、2015年のR&Dへの投資額は約1兆1,057億985万円にのぼった。
これは、売上高全体の15.1%にあたり、過去10年間のR&Dへの投資額は、累計で約4兆4,520億円を超えている。
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