世界最大規模のスーパーマーケット・ウォルマートを所有するウォルトン家。
推定1,905億㌦(約25兆円)と言われる資産を、事業と投資でさらに増やす一方で、慈善活動などを通して社会還元にも努めている。2019年、ウォルマートの市場価値2952億㌦、国内に4769店舗 、世界で1万1766店舗となっている。
1918年にオクラホマで農場を営む家に生まれたサム・ウォルトンは、ミズーリ大学経済学部卒業後、会社勤務を経て軍隊に入隊。1945年の除隊後にアーカンソーの雑貨屋を購入し、チェーン展開を開始した(この店は1950年廃業)。
1954年には彼の弟バドとともにウォルマートの原型ともいえるディスカウントストアの「Walton’s」(ウォルトンの店)を開業し、アーカンソーとミズーリ、カンザスで16の雑貨店を所有した。
1962年に「Walton’s」の他にウォルマートを創業し、経営に乗り出した。当時の小売業界の主要出店方式の逆をいく大型店を中心とした田舎での出店や、現在では小売業の潮流ともいえるドミナント方式をいち早く導入するなど流通革命を先導し、物流、情報を最大限生かした効率的な経営でシアーズやKマートを抜く全米最大の小売業へ導いた。
Forbes誌は1985年から1988年までウォルトンを世界一の金持ちとして紹介し、奨学金制度の創設など慈善事業にも積極的に参加。1992年には大統領自由勲章を受章している。
サム・ウォルトンは、銃愛好家であることが知られており、銃器メーカーのレミントン・アームズ社はサム・ウォルトンの名にちなんだ猟銃の商品名を採用したこともある。
こうした嗜好は、彼のビジネスにも強く反映されており、全米のウォルマート店舗(2019年時点で4,750店)の半数近くで銃器を販売。長らくアメリカ国内の銃器販売をリードしてきた側面がある。
彼の死後、アメリカ国内で銃規制を求める声が高まり、2019年にウォルマート店舗内で銃を使用した犯罪(エルパソ銃乱射事件 )が相次ぐと、拳銃や殺傷力の高いライフル銃の弾丸の販売を中止を発表している。
アーカンソーの最初の店は地主に乗っ取られてしまう。
大学を卒業後、JCペニー社に1年半ほど勤務したのち兵役につきます。1945年に兵役を終え、義理の父親から借りた2万ドルと自己資金の5,000㌦を投じてアーカンソー州ニューポートにあったバラエティーストア「ベン・フランクリン」のフランチャイズ店を購入します。この店は繁盛とはいかなかったが、小規模ながら成功します。
近隣6州のベン・フランクリンの中でトップ、バラエティーストアとしてはアーカンソー州1位の規模に成長させました。その成功を横取りしようとしたのが店の地主です。結んだ店の借地契約には契約更新の権利が含まれておらず、地主は契約更新を拒否したのです。狙いは繁盛する店を自分たちのものにすること。
32歳で人口3000人足らずのアーカンソー州ベントンビルに移り、再起を図ります。店を売却して得た5万㌦でウォルマートの始まります。
ウォルトン帝国を繁栄させたのは3人の息子と娘。
サム・ウォルトンの長男。Forbes誌によれば2021年時点での純資産は595億㌦。創業者と区別するため、ロブ・ウォルトン(Rob Wolton)という名前で活動している。
1969年にコロンビア大学ロースクールを修了。父親が死ぬまでウォルマートを代表する法律事務所のメンバーだった。父親の死の2日後の1992年4月7日ウォルマート会長となり、2015年までその地位にあった。ロブソンの名前は母方に由来する。
2022年夏より、ウォルトン=ペナー・ファミリー・グループを率いてNFLデンバー・ブロンコスのオーナーとなっている。クラッシックカーの収集家としても有名。1962 Ferrari 250 GTO など1950~1960年代に製造された 、高級スポーツカーやレーシングカーの膨大なコレクションを保有している。
サム・ウォルトンの三男。アーベスト銀行のCEO。純資産は168億㌦でForbes誌によると世界で23番目の資産家。一族で最も裕福だと言われる。一族が所有するアーヴェスト銀行の44%の株を保有している。2016年に息子が後任となるまで、ウォルマートの取締役員も務めていた。
次男のジョン・ウォルトンは2005年、乗っていた1人乗り飛行機の墜落事故により死亡した。米ワイオミング州ジャクソンホールの空港を飛び立った直後に、墜落したという。原因はわかっていない。1992年にウォルマートの取締役に就任し、約1,200万株の自社株などを保有していた。
アリス・ウォルトン
サム・ウォルトンの娘。652億㌦(2020年)の資産を保有し、世界で12番目、女性としては一番の資産家となっている。
アート収集活動に熱心で、アンディ・ウォーホルやジョージア・オキーフのオリジナル作品を含む、膨大なプライベート・コレクションを所有しており、クリスタルブリッジという美術館を開設している。富裕層のアート収集は節税対策と言われています。
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