アメリカでは、一時期はマクドより全世界で店舗が多かったが、フランチャイズの搾取が問題になったり、健康志向を謳っていながら食品素材偽装が指摘されたり、ネガティブな報道が続いた。
店舗が次々と閉鎖になってマクドナルドに抜きかえされる。さらに、CMで起用しサブウェイの顔とも言える男性が、児童ポルノで逮捕されたりもして、悪い連鎖が続いていた。
食品偽装問題「サブウェイのツナはツナではない」マグロではなかった。
2021年2月にサブウェイが、「サブウェイのツナは実際にはツナを原料としたものではない」と訴えられたことに関連し、ニューヨークタイムズが行った追試験で、「サブウェイのツナからは、ツナの原料であるマグロのDNAが検出できなかった」との結果が出たと報じられています。
サブウェイは、同社のサンドイッチに入っているツナの真偽を巡る訴訟について取材したニューヨークタイムズに対し、「訴状の内容は事実無根です。当社は100%マグロのツナを調理済みの状態で店舗に納品し、そこでマヨネーズとあえてから、できたてのサンドイッチを作ってお客様に提供しています。
サブウェイのツナは、当社で最も人気のある商品の1つであり、このような根拠のない告発はサブウェイのブランドと信用に対する無謀で不適切な攻撃です」と回答し、嫌疑を真っ向から否定しました。
そこで、ニューヨークタイムズの記者であるジュリア・カーメル氏は、実際にサブウェイで購入したサンドイッチからツナを取り出して、冷凍した上で食品検査会社に送付し、それが本当にマグロの肉なのかを検査するよう依頼しました。なお、食品検査会社側が「アメリカ最大のサンドイッチチェーンと取引する機会を失いたくない」としたため、具体的にどの検査会社が分析を行ったのかは伏せられています。
そして、1カ月後に検査会社からカーメル氏の元に「サンプルにはPCR検査ができるような増幅可能なマグロのDNAは含まれておらず、DNAの副産物も得られませんでした。従って、サンプルのツナが、検査対象としている5種のマグロのどれだったかについても同定できません」との回答が届きました。
研究所によると、サブウェイのツナからマグロのDNAが検出できなかった理由は2つ考えられるとのこと。1つは、「調理が進みすぎていてDNAが抽出できなかった」というケースで、もう1つは「そもそもマグロではなかった」というケースです。
とはいえ、この検査結果からただちに「サブウェイのツナはツナではない」とすることはできないと、カーメル氏は強調しています。なぜなら、検査会社が指摘しているように、マグロの肉を加熱するとDNAが変性してしまうため、何の肉かDNA検査では分からない可能性があるからです。
また、原告のダノワ氏とアミン氏は、南カリフォルニアにあるサブウェイの20店舗からツナのサンプルを収集し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校生態学および進化生物学部のバーバーラボに持ち込み、検査を依頼したとのこと。
その結果、20個のサンプル中19個には検出可能なマグロのDNA配列が含まれていなかったと原告側は報告しています。また、20個のサンプルすべてに「鶏のDNAで検出可能な配列」が含まれており、11個のサンプルにはブタの、7個のサンプルには牛のDNAが含まれていたそうです。
一方、アメリカのドキュメンタリー番組であるInside Editionが、ニューヨークにある3つのサブウェイの店舗からツナのサンプルを採取してDNA検査した際には、検査会社により「確かにマグロの肉である」と確認されています。
フランチャイズの多さの問題。既存店同士のつぶしあい。
サブウェイは急速に拡大した。既存店舗の改善よりも、店舗数に集中した。その結果、同じ地域に複数の店舗がオープンし、サブウェイ同士の競争を生むことになった。
サブウェイの創業者の1人、デルーカ氏は「店舗数1位にこだわり、それを達成した」という。「四方八方でサブウェイがオープンしていた。あれは間違いなく問題だった」。2014年、サブウェイの売り上げが3%減少する。
移民からの搾取
海外からの移民を大量に使用し搾取しながら店舗を拡大したと告発された。フランチャイジーの一部が、移民労働者に対し賃金を過小に支払ったとされ、さらに休憩時間も与えなかったとされた。
あれだけの数のフランチャイジーゆえに本部が完全にコントロールできなかった側面があるとしても、ダメージは小さくなかったようだ。
2015年 サブウェイ顔とも言える ジャレド・フォーグル 未成年淫行と児童ポルノ所持容疑で逮捕。
映画『ジャックとジル』やバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』への出演でも知られている。サブウェイのターキーサンドイッチを毎日食べ続け、1年で110kgの減量に成功したことで知られるようになり、それが縁で同社の広報担当を務めていた。
小児肥満症への認知度を高め、子供たちへの健康的な食事を支援するためにNPO「ジャレッド財団」を設立したが、未成年淫行と児童ポルノ所持容疑で逮捕され、約16年の有罪判決を受けた。
2000年、サブウェイは同社のサンドイッチを食べることでかつて425ポンド(約193キロ)あった体重を大きく減らしたというジャレド・フォーグル氏をアメリカで起用した。
フォーグル氏がかつて履いていたパンツを持ち、どれほど体重が減ったかを見せるコマーシャルがしばしば放送された。キャンペーンは大成功で、最初のコマーシャルが放送された後、売り上げは20%伸びた。
サブウェイはすぐに同氏とのつながりを断ち、公式サイトやソーシャルメディアのアカウントからフォーグル氏に関する言及を全て削除した。
2016年、サブウェイは初めて、アメリカで閉店した店の数がオープンした店の数を上回った。売り上げは約113億ドルと、2015年の115億ドルから約2億ドル減った。これを受け、不採算店を閉店、全世界で359店舗にのぼった。
このトレンドは2018年に入っても続き、サブウェイはアメリカで1108店舗を閉店した。2018年初めには、同社は年内に500店舗を閉店する見込みだとしていたが、最終的にその数は1000を超えた。
2019年の売り上げは、前年から2億1000万ドル減の102億ドルだった。さらに1000店舗を閉店した。2020年、アメリカに2万2262店舗ある。
他のチェーン店同様、サブウェイも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が始まってから客足が減っていて、サービスのあり方は変わらざるを得なくなっている。アメリカでは250以上の店舗で食料品を売り始めた。
競合他社に比べて、ドライブスルーの数が少ない。マクドナルドが1万3000カ所あるのに対し、サブウェイは600カ所しかないため、ソーシャル・ディスタンスを重視する客にサービスを提供するのも難しい。
サブウェイは創業以来、拡大志向を続けてきた。小規模の個人フランチャイズチェーン方式。1-2店舗ほどを運営する小規模なフランチャイジーが数千とある。成功した小規模資本のオーナーはさらにサブウェイの店舗を増やしていった。
さらにオープン費用はほかのファストフードチェーンよりも3分の1ほどに抑えられていたという。店内でパンを焼き、具材はお客が選べる。いまではオンデマンドともいうべき、お客の嗜好やそのときの気分に合わせられる組み合わせは画期的だった。
サブウェイの身売り観測報道
今回の身売報道は、アドバルーン記事と指摘されている。M&Aにはつきものであるが、あえて買収の噂を流すと、市場反応が反応する。サブウェイは非上場企業ゆえに、ファンドの動向を探る感じかな。
2023年1月13日までに『ウォール・ストリート・ジャーナル』など複数の欧米メディアが報じた。会社側はこの件についてコメントしておらず、売却が実現しない可能性もあるが、予想される企業価値は100億ドル≒1兆3000億円とされている。2020年に、米外食大手インスパイア・ブランズが「ダンキン・ドーナツ」と「バスキン・ロビンス」の運営会社を113億ドル(約1兆1800億円)で買収している。同規模のなると予想されています。
本格的な景気後退の懸念が生じています。IT企業は20年ぶりの人員削減に動いており、リセッションに対する事前的対応を強めています。
FRBはインフレを抑えるために、急激に利上げを行っており、企業にとって借入金の返済コストも上昇する。成長企業以外は、これから企業価値はピークを迎える可能性が高い。
サブウェイという、いまだに最強のブランドを買収しシナジーを目指す買い手が多く現れるかもしれない。サブウェイよりも順調に伸びていても、だからこそテコ入れをするなら今だと買収に動くライバル会社も現れるかもしれない。
日本では、独自のビジネスモデルを武器に日本でも400店以上のネットワークに拡大した時期もあったが、フランチャイズ契約を結んでいたサントリーが撤退してからは、ごたごたが続いている。
2019年1月には、フランチャイジーであるエージー・コーポレーションが破産、東京地裁から破産開始決定を受けたと発表した。負債総額は約11億6400万円(2018年3月期決算時点)。170店までに減少している。
新規オープンもしているようです。
アメリカでは、無茶苦茶な事件も発生しています。
「マヨネーズ多すぎ」客の男が店員に発砲2人死傷 (2022年6月28日)。
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