『デトロイト』1967年の暴動を描いた作品

1.5
映画

1967年に実際に起きたデトロイト暴動と、その最中に起きたアルジェ・モーテル事件を題材とした実話映画です。

アルジェ・モーテル事件は、実際に起きた事件であるが簡単に言うと「暴動で血が上った白人達が、モーテル内にいた黒人を監禁し一人ずつ殺していく」というもの。実際にあった事件で大切な描写なのであろうけど、それにしても暴力シーンが長い。ホラー映画並の残酷な描写が50分以上続く。

コンサートをしに来た黒人グループ「ドラマチックス」が主人公。デトロイトはモータウンがあったため、音楽的な最先端であった。白人の女の子も集まっていた。

外では暴動が起こっている。

治安維持のため殺気立った白人の警察官に向かって、黒人のグループは余所から来ており、ふざけて、陸上競技などで使われる競技用のピストルを警察官に発砲してしまう。発砲されてぶちぎれ状態のうえ、黒人男性と白人の女の子がいちゃついているのを目撃する。この時代には、許されないことでした。

キャストなかで、ひと際目を引くのが、悪役白人警官のフィリップ・クラウス役である、ウィル・ポールターである。彼は映画メイズ・ランナーのギャリー役など、とにかく「嫌な奴」なキャラの演技が上手い。今回もとにかく嫌な奴、というより凶悪な警官役を見事にこなし、視聴者に絶望を与える。

黒人達に対しては絶対的な権力を持っているかのよう傍若無人に振る舞うが、組織の中ではほんの一個人となり、焦りの表情を見せるのも実に上手い。主役を張るタイプではないが、演技力が高く素晴らしい役者である。

1967年7月23日、アフリカ系アメリカ人を中心とする群衆と警察との間で生じた小競り合いが瞬く間に拡大。数千人規模に膨れ上がった暴徒が市内の商店を襲撃、略奪放火を繰り返しながら警官隊を攻撃しだした。

ミシガン州知事のジョージ・ロムニーは、市内に州兵を出動させるとともに外出禁止令を出した。この日150人の逮捕者を出したが、暴動は拡大し続けた。同年7月25日にはリンドン・ジョンソン大統領が連邦軍の投入を決断、約1800人の落下傘降下兵が市内に投入されると、ようやく暴動は沈静化に向かった。

最終的に43人が死亡し、1189人が負傷した。デトロイトでは1943年にも暴動があったが、それを超える規模となった。この事件以降、コストパフォーマンスの高い日本車の影響もあり、自動車産業により栄えていたデトロイトも打撃を受け、白人の人口流出が増加していく。

デトロイトには2種類の労働者が、仕事を求めて流入してコミュニティ形成された。

アメリカの産業であった綿花農家は、インドに競争で負けてしまい崩壊する。そこで働いていた南部の黒人は、仕事を求めてデトロイトを目指します。もう1つは、ロシア、チェコのヨーロッパ北部の白人移民が大量に入ってきます。宗教的にはロシア正教やカトリック、アメリカの多数派を占めるプロテスタントから見るとマイノリティーになります。

最初は仲良く、コミュニティ文化を作っていましたが、次第に経済的格差が生まれ、水と油の存在となっていきます。白人は郊外に移り、街の中心部には黒人、住み分けと分断が生まれます。黒人が住む中心部は犯罪も多発して、アメリカで有数の危険なエリアとして知られるように。

治安をしている警察官の98%は白人。当然、中心部に住んでいないため、郊外から仕事しに通勤します。自分の街という感覚は皆無です。

 

 

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