セブン・シスターズ Seven Sisters

社会考察

米国の映画を観ていると時折、出てくるワード「セブンシスターズ」。ほとんどは「石油メジャー」と「米東部の名門女子大7校」のことを指します。

国際石油資本7社・石油メジャー(オイル・メジャー)

石油市場において、第二次世界大戦後から1960年代に石油輸出国機構(OPEC)が主導権を握るまでほぼ独占状態で支配していた。石油メジャーとも。

1975年にアンソニー・サンプソンの著書で知られるようになった。サンプソンは経済系のジャーナリストだが、英国の社会民主党の創立メンバーで、南アフリカのアパルトヘイト問題を平和的に解決をして評価を得ている。(英国がやってきたことをを考慮すると褒められたことではないと思うが)

石油の採掘・生産・輸送・精製・販売までの全段階を垂直統合で行い、シェアの大部分を寡占する石油系巨大企業複合体。寡占体制となるまでの歴史においてはシュルンベルジェが地球規模で油田探査に活躍し、影の石油メジャーと呼ばれている。

シュルンベルジェ(SLB)とは、国際資本の油田探索企業。フランス企業だったが、戦後、米国に移り、ニューヨークを経てヒューストンに本社がある。

  • スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(後のエッソ石油)
    ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ60%、英国40% )
    アングロペルシャ石油会社(後のBP)
    スタンダード・オイル・オブ・ニューヨーク(後のモービル)
    スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(後のシェブロン)
    ガルフ石油(後のシェブロン、一部はBP)
    テキサコ(後のシェブロン)

セブン・シスターズのうち、5社がアメリカ資本で、残りの2社が、イギリス資本系のBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)と、イギリスとオランダ資本系のロイヤル・ダッチ・シェルである。また、フランス石油(トタルエナジーズ)を加えて、エイト・メジャーズと言われることも。

資源ナショナリズムにより石油輸出国機構(OPEC)が主導権を握るまで、世界の石油のほぼ全てを支配していた。

エクソン、モービル、シェブロンは、ロックフェラーが創業し、1911年に独占禁止法が適用され34社に分割されたスタンダード・オイルが母体。

功績としては、1960年代まで価格が安定して取引が行われたこと。寡占による国際カルテルに違いないので、弊害のほうが多い。価格を自分たちで決め、利益の大半をもらっていく。やや改善されアタ終盤期には、産油国との配分は50%程度と言われる。

1950年代入ると、サウジアラビアやイランで大規模な油田開発が続き、原油の供給過剰が慢性化し、それに伴いメジャーは公定価格を段階的に引き下げた。これに産油国が不満を持ち、1960年にOPECが結成される。

1970年代に入ると、資源ナショナリズムと呼ばれる、反欧米の風潮が産油国に広まる。メジャー支配脱却を狙っていた産油国は、次々と石油開発への経営参加、国有化を推進した。

1972年には、アルジェリアの油田がフランス資本から国有化。リビアもBPが所有していた油田を国有化した。1976年、サウジアラビアでの原油採掘を独占してきた、アラムコの大株主であった、エクソン、モービル、テキサコ、シェブロンの4社はサウジアラビア政府に株式を譲渡。セブン・シスターズによる石油支配は終焉する。

嫌な感じで表現される感じが多い。石油メジャーをセブンシスターズと表現する時、「7人の魔女」と表現しているニュースを見たことがあります。(TBSで放送していたダン・ラザーの60ミニッツだったかな?)

 

「米東部の名門女子大7校」

米国名門女子大の代表であるセブンシスターズ。アメリカ東部にある名門女子大学のことです。 アイビーリーグが、コーネル大学以外、男子校だったため、女性のための大学として「セブンシスターズ」と呼ばれるようになりました。

日本の女子大が、良妻賢母を育てる目的としてあったのに対して、米国の女子大は男性に劣らず、社会に出てリーダーシップを取れる女性の育成を目指していました。 アイビーリーグが共学化することで、一部の女子大学が統合したり、共学化したりしていますが、残る5校は女子大学として運営され、「セブンシスターズ」の名称もそのまま使われています。

バーナード大学 Barnard College

1889年創立のリベラルアーツ・カレッジ。ニューヨーク州のマンハッタンにあり、アイビーリーグのコロンビア大学の敷地内にあります。コロンビア大学の付属ではないものの、コロンビア大学の授業を受けたり、施設を利用することもできる。

ブリンマー大学 Bryn Mawr College

1885年創立。国際的な評価も高いリベラルアーツ・カレッジで、大学院を初めて設けたジョンズ・ホプキンス大学の影響を受けて設立された。女子大の中で初めて、大学院教育を始めた学校。 津田梅子が学んだ学校としても知られ、津田塾大学と姉妹校になっている。

スミス大学 Smith College

1875年創立、マサチューセッツ州ノーサンプトンにあり、生徒数は最大の女子大学。 徹底した少人数制を導入しており、専攻科目以外は必修科目を設けていないが、厳しいカリキュラムで卒業するのは困難を極める。

女子大学で初めて工学の学士を与えたことでも知られ、女子大として唯一、工学専攻を設ける。スポーツも盛んな大学として知られ、フェミニズム運動の学生拠点でもある。

マウント・ホリヨーク大学 Mount Holyoke College

1837年、米国で最初に女子大学として創立された大学。名門女子大として知られる。 マサチューセッツ州サウス・ホドリーにあり、アイビーリーグのダートマス大学と姉妹校になっています。

女子教育のパイオニア的存在で、伝統的なリベラルアーツ教育を維持しながらも、革新的な試みを数々行っている。主流のアルファベット(A、B、C、D、F)の成績評価を行った大学ともいわれている。

広大な敷地と美しいキャンパスは有名で米国の中でも指折り。乗馬が得意な生徒が多く、乗馬クラブでは米国でもトップクラス。

ヴァッサー大学 Vassar College

1861年、女子大学として創立。ニューヨーク州のポキプシーにある私立大学。イェール大学からの合併を断り、1969年に共学化を成功させた最初の女子大。

日本人女性が初めて卒業したアメリカの大学でもある。卒業したのは、大山捨松(大山巌公爵夫人)。「鹿鳴館の貴婦人」として名を馳せたが、親交のあった津田梅子のように、学校設立は儚わかった。日本文化を独自の視点から述べた『菊と刀』の著者ルース・ベネディクトも卒業生。

ウェルズリー大学 Wellesley College

1870年創立、マサチューセッツ州ウェルズリーにある小規模な女子大。 留学生が多く、75か国以上から集まっています。 ゴシック建築の建物が美しく、米国で最も美しいキャンパスランキング10に入っています。オルブライト元国務長官、ヒラリークリントンが卒業したことで知られる。米国の名門リベラルアーツ・カレッジ。

 

映画『モナリザ・スマイル』2003年作品。ジュリア・ロバーツが主演しています。

1953年の秋、リベラル志向の美術教師キャサリン・ワトソンは、夢であった名門ウェルズリー大学へ新任した。しかし、米国一保守的といわれる大学で学ぶ学生たちはリベラルから程遠いものだった。キャサリンは絵を通して学生たちを変えようとする。

ラドクリフ大学 Radcliffe College

1879年にマサチューセッツ州ケンブリッジに創立された女子大学。 その後、1999年にハーバード大学と合併。 ヘレン・ケラーが卒業したことでも知られています。

アメリカの女子大学の多くに「伝統的なリベラルアーツ教育(全人教育)」というものがある。

  • リベラルアーツとは元来、人間を良い意味で束縛から解放するための知識や、生きるための力を身につけるための手法を指します。 古代ギリシアで生まれたこの概念は、やがて古代ローマに受け継がれ、言語系3学(文法・論理・修辞)と数学系4学(算術・幾何・天文・音楽)で構成される自由7科(セブンリベラルアーツ)に定義されました。

    リベラルアーツでは幅広い分野を学ぶことができ、それらの知識を自らの力でつなぎ合わせ問題解決に役立てられるという利点がある一方、幅広すぎて結局何を勉強したのか分からないという結果になりがちだ、という欠点も。

    日本では「一般教養」というイメージだが、根本的な違いがある。リベラルアーツカレッジと呼ばれる大学は小規模なことが特徴としてある。総合大学(リサーチ大学)と生徒数などでは規模が違う。学年500人程度で、2000人程度となっている。

    もう1つの大きな特徴として挙げられるのが、最初の2年間を使って、分野にかかわらず、自分の興味ある科目を専攻できるところにあります。

    必要最小限の必須科目はありますが、基本的に好きな科目をとれます。日本の大学のように、入学する前に専攻を決めなければならない、ということはありません。1年で自分の好きな科目を選び、2年が終わる頃に、専攻を決める。

ギリシア神話に登場するプレイアデス七姉妹

エリュー・ヴェッダーの1885年の絵画『プレイアデス』。メトロポリタン美術館所蔵。

プレアデス星団のギリシア神話のプレイアデス七姉妹に由来する。が、特に物語がない。長女、次女、三女が全能神・ゼウスの子を生み、四女と五女が海神・ポセイドーンを生む。

イタリアのサッカーセリエA(1999-2000シーズン)におけるビッグクラブの7チームもセブンシスターズと呼ばれた。ユヴェントス、ミラン、インテル、準ビッグクラブのローマ、新興勢力としてラツィオ、フィオレンティーナ、パルマが加わった。

イタリアのサッカーのように、7つ揃うとセブンシスターズと呼ばれる。日本でもバブル崩壊の不良債権処理をするときに、UFJ銀行の大口7大融資先をセブンシスターズとマスコミが呼ぶようなこともあった。ちょっと無理して使われることが見受けられた。

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