マックジョブ(McJob)
低地位・低賃金・単調・重労働(長時間労働、過剰な疲労を伴う労働)の職種を賎しめて言う語。 代表例として、ファーストフード店のように、独創性が無く、機械的な動作を繰り返すだけの職種を指す。「 マック」はハンバーガーショップのマクドナルドに因む。「マクドナルドの店員みたいな、くだらない仕事」として「マックジョブ」という語が使用される。
フォーディズム(Fordism)
ヘンリー・フォードが自社の自動車工場で行った生産手法や経営思想のこと。これからはじまり、複数の意味があるが、現代の資本主義を特徴付ける概念であり、経済学のレギュラシオン理論や、社会学、さらに経済地理学などで言及されることが多い。もともとは、イタリアの思想家アントニオ・グラムシの命名によるとされている。
マクドナルド化(McDonaldization)
社会学者のジョージ・リッツァが1993年の著書『マクドナルド化する社会』の中で展開した用語である。リッツァにとって「マクドナルド化」とは、社会がファストフード店の特徴を取り入れることである。
マクドナルド化のプロセスは、「グローバル化による文化の世界的な均質化に関する最近の(定量化)思想の中で、ファストフード店の原理がますます多くの分野を支配するようになること」として要約できる。
マクドナルド化は、合理化と科学的管理法の再概念化である。この社会が変化する方向性を表すために、マックス・ヴェーバーが官僚制のモデルを用いたのに対し、リッツァはファストフード店をより代表的な現代のパラダイムとして捉えている。
リッツァは、マクドナルド化の主要な要素は以下の4つであるとしている。
効率 (efficiency)
タスクを達成するための最適な方法。この文脈において、リッツァは「効率」という言葉を特定の意味で使用している。マクドナルドの顧客の例で言えば、「お腹が空いている状態からお腹いっぱいになるまでの最速の方法」である。マクドナルド化における効率とは、組織のあらゆる側面が時間の最小化に向けられていることを意味する。
計算可能性 (calculability)
目標は定性的なもの(味など)ではなく、定量的なもの(売上など)でなければならない。マクドナルド化では、「量は質に等しい」「短時間で大量の商品を顧客に届けることは高品質な商品と同じである」という考え方が発展した。
これにより、人々はどれだけの量を得ているのか、どれだけの金額を支払っているのかを数値化することができる。組織は、消費者に「大した金額ではないのに大量の製品を手に入れた」と思わせたいのである。このような組織の労働者は、仕事の質ではなく、どれだけ速く仕事ができるかで評価される。
予測可能性 (predictability)
サービスの標準化と均一化。予測可能性とは、マクドナルド化した組織でサービスを受けるとき、どの店のどの従業員であっても、毎回同じサービスを受け、同じ商品を受け取ることができることを意味する。これは、その組織で働く人たちにも当てはまる。彼らの仕事は反復的で、ルーティン的であり、予測可能である。
統制 (control)
標準化された均一な従業員。属人的な技術から非属人的な技術への置き換え。ファストフード業界のこの4つの原則は、狭い範囲では合理的な戦略であっても、結果的には有害であったり、非合理的であったりする。
これらのプロセスが社会の他の部分に広がってゆくと、現代社会の新しい社会的・文化的特性が生まれる。例えば、マクドナルドがある国に進出し、消費者のパターンが統一されると、文化のハイブリッド化が起こる。
反マクドナルド化
組織は、マクドナルド化の合理性を否定する努力をしている。それは、量よりも質を重視すること、サービスや製品の予測不可能性を甘受すること、外部からのコントロールを受けずに熟練した労働者を雇用することなどである。また、マクドナルド化のプロセスを遅らせ、地域性や伝統的な価値を守るために、国民国家では抗議行動が起きている。
いくつかの現地のケーススタディでは、マクドナルドの合理的モデルを現地の文化的嗜好に合わせて調整することで、結果的に本来のマクドナルドの商品が減少することが示されている。
現地の事情に合わせようとすると、アメリカ特有の商品の科学的計算の魅力が失われていく可能性がある。このことは、マクドナルドの画一的なアプローチを正当化するために使われる。マクドナルドの偏在性と画一性は、グローバル化の一因となっている。
ビックマック指数 Big Mac index
少しばかり乱暴な指数ではある。イギリスの経済専門誌『エコノミスト』によって1986年9月に考案されて以来、同誌で毎年報告されている。
各国の経済力を測るための指数。マクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較することで得られる。
ビッグマックはほぼ全世界でほぼ同一品質(実際には各国で多少異なる)のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすかった。これが基準となった主な理由とされる。
具体的には、たとえば日本でビッグマックが250円、アメリカで2ドルのときは、250/2=125となり、1ドル=125円 がビッグマック指数となる。もしこの時点で、為替レートが1ドル110円だとすると、為替相場はビッグマック指数に比べて円高であり、この後、125円に向けて円安が進むだろう、などと推理する。
各都市で、1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間を算出することにより、各都市の物価に比した賃金水準を推計出来る。
エコノミスト誌はビッグマック指数のほか、トール・ラテ指数(スターバックス指数、2004年から)やコカ・コーラマップなどの指数も発表している。
円についてはトール・ラテ指数の場合、ビッグマック指数とは逆に、さらに円安の余地があることになり、ビッグマック指数とは結果が大きく異なっている。オーストラリア・コモンウェルス銀行の株式仲買部門であるコモンウェルス証券(CommSec)は、iPod指数を提唱(2007年)している。
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