マーティン・シュクレリ 金の亡者、嫌われCEO

人物

アルバニアとクロアチアからの移住を両親に持つシュクレリのキャリアは、興味深いものだ。最初に米証券取引委員会(SEC)から調査を受けたのは、16歳だった2000年。うまく空売りを続けていたことが疑わしいとされたためだったが、このときは罪に問われることはなかった。

ニューヨーク市立大学バルーク校で経営学の学位を取得した2004年には、ヘッジファンドMSMBキャピタル・マネジメントを共同創業。SNSでバイオテクノロジー企業をからかうような発言を繰り返しながら、関連企業の株の空売りを続けた。

それからの数年間、シュクレリの仕事ぶりは常に議論を巻き起こし続けた。ウェブサイト上でバイオ技術関連企業を酷評したり、投資している企業の評判を悪くするため、米食品医薬品局(FDA)に対して苦情を申し立てたりするといった行動を取り、それらの企業の株を空売りした。

シュクレリ自身やその経営する企業も複数回にわたって訴えられたが、米国民が本当に怒りを爆発させたのは、シュクレリが最初に立ち上げたバイオ製薬会社レトロフィンが慢性肝疾患などの治療薬「チオラ(Thiola)」の販売権を買収。価格を1錠当たり1.50ドルから30ドルにつり上げたことに対してだ。また希少疾患シスチン尿症治療薬サイオラの販売権を獲得。患者は1日10から15錠服用しなければならないが、シュクレリ在籍中のレトロフィンはサイオラの価格を1錠1.5ドルから30ドルに吊り上げた。

2015年には、別に創業した製薬会社チューリング・ファーマシューティカルズが特にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者に必要とされる寄生虫感染症の治療薬「ダラプリム(Daraprim)」の製造・販売権を獲得し、価格を1錠13.50ドルから750に引き上げた。患者の中には年間の薬代が数十万ドルにまで上昇した人たちもおり、破産、なくなった人がたくさんと思われる。

「もし自転車1台分の金額でアストンマーティンを売っている会社があったとしたら、我々はその会社を買収してトヨタの金額で売ろうとするだろう。それが犯罪だとは思わない」と語った。2015年9月『ブルームバーグ・マーケット』誌

ニューヨーク東部地区連邦地方検事局の発表文によれば、検察側はシュクレリについて長年にわたり、証券詐欺罪の疑いで調査を続けていた。リチャード・ドナヒュー連邦検事は、「シュレリは何年もの間、いくつものうそにうそを重ね、投資家たちの金を盗み、株式市場を操作し、自分の利益を増やしてきた」と指摘。

「投資家や従業員、国民に対し、信頼を繰り返し裏切ったことへの代償を支払わなければならない。検察局は今後も警察などと協力して、シュクレリのような犯罪者を特定し、捜査し、裁判にかけること最優先事項としていく」と説明した。

シュクレリが問われたのは、薬価を釣り上げたことではない。詐欺行為で、富裕層から金を盗んだ事によるもの。

病気で苦しむ人から金をむしり取ることは、なんの問題もない。政治評論家ロバート・B・ライシュはコラムにおいて、「シュクレリが犯した間違いは、他の多くの人たちがウォール街や社内の重役室でやっているのと同じことを堂々とやってしまったことだ」と記した。

この人の攻撃性

薬のつり上げを知った高校生らは、ダラプリムを自分たちでつくり出そうとの思いに駆られたという。高校生の1人、ジェームズ・ウッド(James Wood)さんによると、ウッドさんと友人たちは、シドニー大学(University of Sydney)の化学者たちの助言を得ながら、わずか20ドル(約2300円)の費用で実験を開始し、何千ドルもの価値に相当する結果を出した。

だが、シュクレリ氏は活性成分ピリメタミンの生成に成功した生徒たちについて、ツイッター(Twitter)で皮肉を連発。「人件費や設備費用は?」「物理化学者をただで働かせられるなんて知らなかった」「薬をつくるなら高校生を使うべきだな」とツイートしたほか、「研究室の設備を無料で使えるのなら、なぜ自分は設備を購入しなければならなかったんだろうな」「先生たちが命令すれば、彼らはただで働いてくれるんだな」とからかった。

詐欺罪で禁錮7年。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)治療薬の薬価をつり上げたことで「米国で最も憎まれる男」と呼ばれたマーティン・シュクレリ(Martin Shkreli)被告に対し、米ニューヨークの連邦裁判所は、証券詐欺の罪で禁錮7年の量刑を言い渡した。

製薬会社とヘッジファンドを経営していたシュクレリ被告は、2015年にHIV感染者の治療に使われる医薬品「ダラプリム(Daraprim)」の価格を1錠13ドル50セント(約1440円)から750ドル(約8万円)へと50倍に引き上げ、物議を醸した。

裁判は薬価つり上げ問題とは無関係の証券詐欺事件に関するものだが、被告の評判があまりにも悪かったため、裁判開始に当たっては、公平な陪審員が見つからないトラブルもあった。シュクレリ被告に対しては2017年8月、証券詐欺共謀1件と証券詐欺2件で有罪とする評決が下された。

弁護人を務める著名弁護士のベン・ブラフマン(Ben Brafman)氏はキヨ・マツモト(Kiyo Matsumoto)判事に対し、被告には軽度の自閉症があるとして、量刑を1年6月以内にとどめるよう求めていた。一方の検察は、シュクレリ被告が自らの行為に何ら後悔の念を示さず、ソーシャルメディアに挑発的で異様な投稿を行ったことを挙げて、禁錮15年を求刑していた。

2015年、米下院の公聴会に出席した元ヘッジファンドと製薬会社の最高経営責任者(CEO)だったマーティン・シュクレリは、米国憲法修正第5条に基づく黙秘権を盾に証言を拒否、薄ら笑いを浮かべるだけで済ませた。だが、3月9日にニューヨークの連邦裁判所に出廷したシュクレリ被告(34)の顔からは、その薄ら笑いは消えていた。それどころか、何度かすすり泣き、寛大な裁きを判事に懇願した。だが、判事は証券詐欺罪で禁錮7年の量刑を言い渡した。

金に物を言わせ、音楽ファンからも嫌われている。
2015年11月24日にオークション会社パドル8を通じてウータン・クランの世界で1組しかないアルバム『Once Upon a Time in Shaolin 』を「アメリカの個人の収集家」が落札したことになっていたが、シュクレリが200万ドルで落札したことが明らかになった。『ブルームバーグ ビジネスウィーク』誌はシュクレリが購入者であると特定した。

2016年2月、シュクレリは1千万ドルでカニエ・ウェストのアルバム『The Life of Pablo 』の単独所有者となることを申し出ていると発表した。

 

HIVの薬をめぐって、映画も作られています。

マシュー・マコノヒーが、エイズ患者を演じるため21キロにおよぶ減量を達成して役作りに挑み、第86回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した実録ドラマ。1985年、テキサス生まれの電気技師ロン・ウッドルーフはHIV陽性と診断され、余命30日と宣告される。米国には認可された治療薬が少ないことを知り、納得のできないロンは代替薬を求めてメキシコへ渡る。そこで米国への薬の密輸を思いついたロンは、無認可の薬やサプリメントを売る「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立。会員たちは安い月額料金で新しい薬を手にすることができ、クラブはアングラ組織として勢いづく。しかし、そんなロンに司法の手が迫り……。ロンの相棒となるエイズ患者でトランスセクシャルのレイヨンを演じたジャレッド・レトも、アカデミー助演男優賞を受賞した。

 

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