ジャネット・イエレン janet-louise-yellen FRB

人物

トランプが大統領なった影響で、1期4年の任期だったが、非常に高い評価を得て退任した。退任に際しての状況は、経済が活況なうえ株式相場が過去最高値圏で推移しているなど、文句がつけ難い。失業率は16年ぶりの低水準であり、インフレは望む水準より低いが、物・サービスが安すぎる不満は聞こえてこない。

イエレンの任期最後の1年、金融政策により、素晴らしい実績を上げている。イエレンの任期は、前任者ベン・バーナンキが経験したような株式相場の急落を経験することもなく、穏やかであった。

いずれにしても当局の2大責務の一つである物価安定は消費者物価のインフレが基準であって、株価ではない。FOMCの政策はいずれどこかの段階で中立に戻るはずで、その過程を極めて匠に乗り切った、という評価である。

任期中、利上げをするような発言、雰囲気を出して、結局やらない、というパターンが多く、市場関係者は振り回された。

FRB議長(在任:2014年 – 2018年) インフレよりも失業に関心があり、金利を安易に上げないような「ハト派」。ユダヤ系である。

効率賃金理論を提唱し、賃金上昇によって労働者の生産性が向上し会社の利益が増すことを示した。1914年のヘンリー・フォードによる賃金上昇がフォード社への志願倍率を高め、社員の質とモチベーションが向上し社の純益を上げたのは効率賃金理論の一例。

「イエレン氏は、とても平易な英語で経済問題を語る才能をもった稀有のひとである。英語があまりにわかりやすいので、大学の授業で使うには学生の英語を読む訓練にならないくらいだ」としている。(根井雅弘『経済を読む』2015年、日本経済評論社)

2008年頃以降のアメリカの経済危機に対し、イエレンは前副議長として、マネタリーベースの大幅な増加による大規模な量的金融緩和政策に参画した。最終的にマネタリーベースは4兆ドルを超えた。この量的金融緩和政策はアメリカの経済を良好に回復させたとして高い評価が見受けられる。

バーナンキやイエレンが率いるFRBは長期にわたる金融緩和により、景気がある程度回復したと見ると、2013年末から月100億ドルずつの量的金融緩和の縮小を開始し、10ヶ月ほどで量的金融緩和によるマネタリーベースの増加は終了すると見られている。バーナンキの退任後、新議長になったイエレンはその方針を踏襲している。

任期後半に、トランプが大統領になり、景気浮揚効果を狙って低金利を続けるイエレン議長を「オバマ大統領の功績を高めるために、利率を低いままにしている」と非難している。オバマ大統領が指名したイエレン議長に「恥を知れ」と発言するほど、過激な批判を強めている。

FRBは政治に関与しないことをイエレン議長が強調し、中央銀行の独立性を断固として守った。イエレン議長はトランプ氏の名を一度も口にすることなく、極めて巧みに反論した。名前を出せば、トランプが仕掛けた罠にはまり、党略的な議論が新たに巻き起こった可能性がある。

トランプ米大統領は、連邦準備制度理事会(FRB)を2014年以降率いてきたイエレン議長の任期を1期だけで終わらせた。2期目の再指名を受けないFRB議長は1979年に退任したウィリアム・ミラー氏以来。ポール・ボルカー、アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキ氏らはいずれも最初に指名した大統領の党とは別の党出身の次の大統領から再指名を受けていた。

再びFRB議長に

2020年11月30日にバイデン次期大統領より財務長官に指名された。上院での人事案審議は超党派で賛成を集め、2021年1月25日に賛成84・反対15票の大差で承認された。翌26日に宣誓して就任した。

ガラスの天井破り続けるイエレン、難局の米財務省を救えるか

ジャネット・イエレンは女性として初めて米連邦準備制度理事会(FRB)の議長に就任した2014年、フォーブスの「世界で最も影響力のある女性100人」ランキングで2位に選ばれた。昨年、再びガラスの天井を打ち破って女性初の米財務長官になったイエレンは、今年のランキングで33位に名を連ねた。

ニューヨーク・ブルックリン生まれで現在76歳のイエレンは、米財務省を取り巻く状況が激変するなかでそのトップを務める。政府債務の膨張、インフレの高止まり、そしてロシアに対する経済制裁によって、安全資産としての米国債の地位に疑問符が付いているのだ。この時期に財務省の舵をとるイエレンには、たんなるテクノクラート以上の役割が求められている。

財務長官に上り詰めれば自動的に政治的に大きな影響力を振るえるようになると思うかもしれないが、そういうわけではない。それどころか、財務長官はかねて債券トレーダーの名誉ポストのようなものとして軽く扱われがちだった。20世紀のほとんどの期間を通じて、歴代の財務長官は、米国債を買ってもらうのに圧力をかけたり裏で取引したりする必要もなかった。

なぜなら、米国の短期国債は世界の金融システムの血液にあたるものだからだ。米国の友好国も敵対国も等しく、米財務省しか売ることのできないこの安定性を買う必要がある。国際的な金融制度を規定しているルールによって、事実上、そうせざるを得なくなっているとも言えるだろう。

なので、財務長官という職は面白みのあるものではなかった。歴代長官の在職期間が短い傾向にあるのもおそらくそのせいだろう。ワシントン・ポストによれば、1981年から2014年までの米財務長官の平均在職期間はわずか2.79年で、全閣僚級ポストのなかで2番目の短さだった。

だが、こうした話はもはや過去のものになりつつある。

米国債は最近、大口の買い手が軒並み購入を減らしている。イエレンが理事や議長として支持した量的緩和政策のもとで大量に買い入れていたFRBもそうだし、外国の政府や中央銀行、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような機関投資家にしてもそうだ。

無理もない。米連邦政府の債務残高の国内総生産(GDP)比は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の発生後、120%超に高まっているからだ。政府債務のGDP比はその国の債務返済能力の目安となる。データの出所によって異なるが、120%超という数字は米国史上最高、もしくは第二次大戦後最高に近い水準だ。
それに比べると深刻度は低くなるものの、インフレも問題だ。物価上昇に応じて資産を増やしていきたい場合、米国債を買うのは悪手になる。インフレが沈静化しない限り、買い手は実質的に損をすることになるからだ。

さらにジョー・バイデン政権は、ウクライナに侵攻したロシアに対する制裁で米国債を「武器化」している。これまでの財務長官も金融制裁の実施を監督したことはあったが、今回のような政策の対応にあたるのはイエレンが初めてだ。

ロシアによる米国債へのアクセスを遮断することで、財務省は非常に安全な資金避難先としての米国債の地位を損なうリスクを負った。その地位はドルを世界の基軸通貨にすることに寄与してきたものでもある。

イエレンが後世評価されるレガシー(遺産)を残せるかは、ロシアに対する制裁を実施しつつ、米国による金融秩序から逃れる口実をほかの国々に与えないようにできるかにかかっている。

こうした事情から、イエレンは最終的に、米国史上最も大きな力を振るった財務長官になるかもしれない。その場合、在職期間も平均より長くなりそうだ。

一方で、米経済の悪化の責任を取らされるかたちで、自身の望むよりも早く退任を余儀なくされる可能性もあるだろう。

glass ceiling(ガラスの天井)
資質、成果にかかわらずマイノリティ、及び女性の組織内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁。

ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの選挙結果の報道の中で「glass ceiling(ガラスの天井)」と呼ばれる言葉が盛んに聞こえてきました。ヒラリー・クリントンが大統領選挙で負けたのも、実はアメリカ社会に根づいている「ガラスの天井」が原因ではないかといった報道がされていました。

当初は、女性のキャリアを阻む障壁のメタファーであったが、現在は男女を問わずマイノリティの地位向上を阻む壁としても用いられるようになった。

ウォールストリート・ジャーナルの1986年3月24日版でマシュー・リブスレー とティモシー・シェルハートによる造語と言われることが多いが、それ以前にもゲイ・ブライアントによる1984年3月のAdweek記事などで利用されている例がある。

 

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