フードデリバリーサービス「出前館」と“法人業務委託”契約を結んでいる会社の経営者が、配達員への給与を払わず海外に逃げようとしたところ、多数の外国人配達員らに取り囲まれ、警察を巻き込んでの大騒動となった。
動画がSNSに拡散されて騒ぎになっている。
場所は、新宿歌舞伎町交番前。給料未払いの外国人労働者は、話し合いを求めて詰め寄るが、経営者は警察車両の中に保護されている状態、阻止する警察との間で激しい言い争いになったようです。
コロナ禍において、社会的インフラとして貢献したフードデリバリーだが、「Uber Eats」「Wolt」などの海外勢による日本市場への進出もあり、とくに出前館とUber Eatsはトップシェアを激しく争う形になっている。
競争は激しく、2022年には「foodpanda」や「DiDi Food」、さらに「楽天ぐるなびデリバリー」が相次いでサービス終了、市場淘汰も激しい業界です。
出前館は、2015年の年間売上高が37億円だったのが、2022年には473億円となるなど、コロナ禍の恩恵をうけ、売り上げを拡大していった。
大量の注文をさばくため、自前のアルバイトを雇用し管理するのにはコストがかかる。そもそも、出前館は発足当時から配達を代行業者にアウトソージングをしていました。新聞配達の従業員が主ですが、それがUber Eatsなどの競合業者との人員獲得競争で、自前で対抗するようになりました。
その役割を果たしたのが代行業者、業務委託による雇用コストをさけられます、いわばなんの保証も発生しない不法滞在、不法就労者を都合よく利用すれば、元締めの中にも悪質な輩も出てくるのは必然です。配達業を多くしているベトナム人のコミュニティーの中では、出前館の法人業務委託は悪質という噂は以前からあったようです。
出前館法人HYT(ハヤテ)の外国人報酬持ち逃げ事件だが、最初のこの警察官の対応の悪さ(笑)
こいつが暴動の引き金というか、外国人の導火線に火を付けた感あるな。 pic.twitter.com/BMQxAGYkc1— にゃが🥩🔥🏖️🇺🇦 (@UNDERCOVER_RS) July 21, 2023
出前館はコロナ禍で業績を伸ばしたものの、宣伝広告費にくわえ配達員の業務委託費、利用者向けアプリへの投資費用などが嵩み、5期連続の最終赤字はまちがいないところ。
資本金を1億円に減らして税制上の「中小企業」として再スタートを切ることを公表していた出前館、2023年8月期第3四半期の決算を発表した。赤字幅は縮小し、累計の営業損失は107億4600万円(前年同期は296億円6200万円)、純損失は106億6900万円(前年同期は295億3600万円)だった。
広告宣伝費は、前年同期の38億9200万円から17億8800万円まで落としている。ほかにも配達直営拠点を閉鎖し、コールセンター拠点を集約するなど固定費の削減にも努めたという。
この企業を創業したのは、花蜜幸伸(はなみつこうしん)。
映画『ザ・インターネット(1996年作品)』サンドラブロックがパソコンでピザの宅配をネットで注文するシーンから影響を受けたといいます。意外にもネット注文は存在せず、1999年、29歳で世界初世界初のネット宅配サイト『出前館』が誕生。
ピザーラの創業者もスピルバーグの映画からヒントを得ていますが、既存のものそのまま真似していますから、少しハードルが高いことを成し遂げたと言えます。創造性はともかく決断力は一番だったようです。
花蜜幸伸さんは、高校卒業後1991年、21歳の時にバイク便の事業を始め、1999年9月9日、大阪市住之江区に仲間4人と資本金1億円で夢の街創造委員会㈱を設立した。
2000年10月にデリバリー総合サイト「出前館」をオープン。2014年3月にタメコ㈱と資本・業務提携し、2016年10月にLINE㈱と資本業務提携、2016年12月には朝日新聞社と資本業務提携を結ぶ。
花蜜幸伸さんは、新規事業を軌道に載せマスコミからも注目され、タワマン生活などの、ありがちな栄華を極めていましたが、躓きが訪れます。
2013年、株主総会での発言権を得るためと、夢の街創造委員会の株価が安すぎることに不満を持ち、借金と信用取引を使い15%の株式を市場から購入。
株価は2013年3月の260円から2013年12月は850円に上昇。株を買い集めることを止めたら、2014年4月から株価が下落し始め、1190円を下回ると追加保証金が発生するため、限界の3倍まで信用取引を使い、累計30億円分の株式を購入して株価を買い支えた。
資金が不足していたので、外資系ファンドが10万株買うという話に2014年5月30日に乗った。しかし、これは外資系ファンドに欺されていた。外資系ファンドは契約日の終値の7%引きで購入するという契約だったため、終値が付く20分前に空売りをかけて相場操縦で終値を吊り下げ、株を受け取ったらそれを相殺すると必ず儲けることができた。
株価は一気に7%下落したが、花蜜幸伸は欺されていることに気づかなかった。翌営業日の2014年6月2日に再度この外資系ファンドに株を売り、外資系ファンドが即日、株を空売りしたため、株価が5%下落。追加保証金が払えないため、2014年6月4日に信用取引で買った250万株はすべて強制決済され、株価は1日で26%下落し、10億円の負債を背負う。
2014年6月に特別顧問を辞任。2015年の取り調べの際に外資系ファンドに欺されたことを調査官から知らされるが、外資系ファンドの行為は合法として扱われた。
金融商品取引違反(相場操縦)容疑で、有罪判決を受ける。2018年10月に懲役3年、罰金2000万円、追徴金約1億2900万円で4年間の執行猶予つき有罪判決が確定した。内部の経営権を巡る争いなどがあったといいます。
出前館の経営から去った後は、2008年12月に経営者団体『一般社団法人 日本元気丸』を設立。代表理事となった。現在、ペットビジネスに携わっている。岩手県滝沢市にある『ペットの里』に動物病院、貸し農場、カフェ、公園、キャンプ場を設立。
創業者・花蜜幸伸が去ってからは、中村利江が2020年まで経営を引き継ぐ。NTTドコモ、Amazon.co.jp、LINE、朝日新聞社等、様々なアライアンスを実現、又、薩摩恵比寿堂など複数の企業のM&Aを行うなどして、出前館を時価総額2500億円を超える企業に育てた。
2020年にLINEの傘下に。ヤフーの傘下としてアスクルなどの配達部門となっている。
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