BUDとM&Msの失敗 社会分断を呼び不買運動に

社会考察

アメリカで一番人気を誇るライトビール「バドライト」の売り上げが急減している。トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルベイニーさんとのコラボが保守派の猛反発よんでいると。

ディラン・マルベイニーさんは人気のあるTikToker。男性から女性に性転換している。男性から女性に変わる自身の性転換プロセスをTikTokで公開し、1000万人以上のフォロワーを獲得している。

2023年4月1日、バドライトから自身の顔をプリントした缶を贈られたことをインスタグラムで公表。TikTokでバドライトのキャンペーンを紹介するインフルエンサーを始める。

Bud Light can with transgender influencer Dylan Mulvaneys face on it.

これに激怒したのが、右派の政治家やミュージシャンのキッド・ロック、トランプ支持者らがSNS上でこれを一斉に批判。バドライト不買運動を始める。

バドワイザーの購買層は保守派の白人男性。不買運動は目に見えて売上を下落につながり、バドワイザーを販売しているアンハイザー・ブッシュ社は謝罪と企画を担当した幹部を停職処分にする。

批判が起こり、バドワイザーは簡単に翻したことで、ディラン・マルベイニーさんを切り捨てることになった。これに怒ったのがLGBTQの支持者たち。

短期的に3割程度売上を落としているようで、これが長期化すると笑えない。保守派の不買運動が起きてから4月29日までの4週間の数字は、バドライトの売上高は17.2%、販売数量は21.4%減少。同時期に競合のクアーズ・ライトとミラー・ライトの売上高はそれぞれ17.3%と19.1%増加した。

アンハイザー・ブッシュ社は世界第3位のビール生産量を誇る。

本社はミズーリ州のセントルイス。2008年にベルギーの多国籍飲料会社インベブにより520億ドルで買収された。インベブはアンハイザー・ブッシュ・インベブと改名し、世界最大のビール会社の誕生となった。アンハイザー・ブッシュは、アンハイザー・ブッシュ・インベブの完全子会社として運営されている。

社会が分断する案件に、企業としては先進的・進歩的に取り繕いたい、今ある顧客と新しい顧客を取り込みたいのは理想的です。が、両方ともそっぽを向かれるという、大失敗とも言えるマーケティングです。

bud light rainbow bottle

 

チョコレートのM&M’sも失敗

米国人に最も親しまれている菓子ブランドの一つ。チョコを中に入れた糖衣錠といったシンプルな作りで子どもから大人まで幅広く愛されている。元々は第二次世界大戦に従軍する兵士向けの菓子だったが、戦後は世界中に広まった。

M&M’sのオーナーであるマース社が、廃止すると宣言する。色別のキャラクター設定が時代にあっていないという理由。国民的行事と言われるスーパーボウルのCMで廃止するのではなく、新しい時代に合わせた色で、再活動します。というマーケティングだった。

これが不評でした。高度な統計学を適用し、多くの判断材料を定量化する手法といいますが、ただ単に社会問題に関心を持つ消費者に表面的に迎合しただけだとみなされたからです。

性別に対する印象を和らげ、同時にキャラクターや商品のリブランディングが試みられます。が、芳しい結果は得られず、どちらかというと後退です。

インクルーシブを企業としては表現したかも知れませんが、いい失敗例となりました。インクルーシブ社会とは、あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う、という社会政策の理念。

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