セブン&アイHDがリストラ、事業の選択と集中を行っています。とりあえずバーニーズがラオックスに売却です。
ダイエーに君臨した中内功オーナーも高島屋を買収に動いたり、フランスのおしゃれ百貨店・プランタンを日本で展開していました。自分の店が、どうしようもなく野暮ったいことに対してのコンプレックスが根底にあったと思います。ヨーカドーも然りで、ロフト、フランフラン、西武そごう、そしてバーニーズ。
すべて失敗していますが、相乗効果なんてあったものじゃありません。ヨーカドーのテナントとして、入っていたことがありますが、相手先のブランド価値を下げるだけでしかありません。フランフランなんて、セブンから解放され、店舗は削減したものの、身の丈の経営で黒字転換、いきいきしています。
ロフトは、2021年2月期決算公告、売上高815億円、営業赤字21.78億円、経常赤字22.06億円、最終赤字22.74億円。赤ちゃん本舗もコロナで落ち込みから、回復しましたものの黒字はわずかです。少子化が加速していますので先細りです。
ラオックスがバーニーズ・ジャパンを買収
ラオックスHDはバーニーズ・ジャパンの全株式を取得し、子会社化する。高いブランド力とラオックスグループにおけるインバウンド事業のノウハウ等を活用することの相乗効果による、バーニーズ・ジャパンの売り上げ拡大や海外向けEC、貿易輸出等の事業領域の拡大が見込めると、今後の成長ポテンシャルを評価した。5月1日にセブン&アイ・ホールディングスが全株式を譲渡する。金額は非公表。
バーニーズ・ジャパンは1989年に伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス)が米バーニーズ ニューヨークと業務提携し、子会社として設立。翌年に新宿に1号店を構えた。
2006年に住友商事と東京海上キャピタル系の投資会社へ譲渡。2013年にセブン&アイ・ホールディングスが東京海上キャピタル系の投資会社から、15年に住友商事から株式を取得して完全子会社化していた。
23年2月末現在、旗艦店6店舗、アウトレット4店舗のほか、国内ECサイトを運営する。23年2月期(監査前)の売上高は前期比10.0%減の127億1100万円、営業損失は前期の18億5400万円から5億5100万円に縮小していた。
米バーニーズ・ニューヨークは、1923年にバーニー・プレスマンがマンハッタンの7番街17丁目に創業。新進ブランドやデザイナーを多く発掘し、スペシャリティーストア(専門店)として世界的に知られたが、96年に連邦倒産法第11章の適用を申請。2019年に再度破綻し、現在はオーセンティック・ブランズ・グループの傘下にある。
バーニーズ・ニューヨークはかつては憧れの存在でした。日本での展開は1989年、バブル最盛期に、伊勢丹が行います。この時代「スノッブ」という言葉がお洒落ワードとして使われ始めます。特に作家、小説など活字に携わる人達の間ですが。
今での死語なった「スノッブ」。その象徴的な存在がバーニーズでした。お洒落で人とは違う独特のファッション。ニューヨークという言葉に憧れる一定数の人たちにとっては垂涎ものです。先日なくられたミュージシャンの坂本龍一さんも地下のレストランに訪れていたといいます。
バーニーズ・ニューヨークはメンズ・レディースのアパレルやアクセサリー、シューズを中心にテーブルウェアやステーショナリーなども扱う専門店です。通常のショップとは違い、百貨店のような立派な建物にバーニーズニューヨークこだわりのアイテムを多数展開していました。
日本でもバブル期に持て囃されたブランド「ジョルジオ・アルマーニ」を米国で取り扱い(1976)を開始、これが世界最大のメンズストアとなります。知名度が低く、流通が整っていないデザイナーにとっては世に出るきっかけ的なセレクトショップでした。
伊勢丹が誘致する形になりますが、1号店は新宿でした。
この1989年、新宿伊勢丹の周辺では、丸井の大攻勢を仕掛ます。現在は3店舗体制ですが、5店舗とそれに準じた店舗を揃えていきました。(確かサテライト店舗みたいなのがあったと思います)。
悪質金融業者の側面もある丸井は、百貨店としては格下ですが、それでも気に入らなかったのでしょう。若い人たちに支持される丸井に対し、伊勢丹への防波堤の側面があったと言われます。同じエリアでも差別化、棲み分けができる都合の良い存在ではあります。
しかし、2年後、1991年にはバブル崩壊。伊勢丹の経営が悪化して手放すことになります。米国のバーニーズも時代遅れのものとなり、1996年に倒産、店舗は2020年まで所有者が移りつつ、存在していましたが消滅しています。
日本のバーニーズは分離されていますので、伊勢丹から、住友商事&東京海上、セブン&アイと移り、ラオックスが経営に乗り出すことに。セブンが買収した時は、70億円と言われましたが、ラオックスの買収額は非公開ですが、相当、低いものと言われます。
バーニーズ・ジャパンは、赤字を垂れ流しています。
国内に旗艦店6店舗(西武渋谷店、横浜店、銀座店、六本木店、神戸店、福岡店)、アウトレット店(御殿場、軽井沢、神戸、滋賀竜王、木更津)を運営。2023年2月期では売上高127億1100万円(前年141億1600万円)で、営業損益、経損益、純損益はすべて赤字。
ラオックスは、もともとは電気販売店でした。経営が悪化して中華資本のもと中国人観光客の免税店に成り下がります。2009年8月、中国最大手の家電量販店を運営する蘇寧電器の傘下に。社長に就任した羅怡文の方針により、中国人をはじめとする外国人観光客向けの免税店中心の店として再建に成功します。
セブン&アイの方は、ヨーカドーをめぐり、事業整理の圧力を株主から受けていますし、急ぎかったはず。おそらく安値、超お買い得の値段で店舗を購入できたはず。赤字企業ですが、中国人免税店になるのかな?
セブン&アイの方は、日本の小売として10兆円を越えようとしています。
営業利益は30.7%増の5065億円、海外コンビニ事業が好調で、営業収益および利益が過去最高を更新した。海外コンビニ事業は21年5月に買収したスピードウェイの統合効果で、営業収益が70.3%増の8兆8461億円、営業利益は81.2%増の2897億円となった。ガソリン価格の高騰も売上と利益を押し上げた。商品では、利益率の高いオリジナル商品の販売を強化、米国既存店の商品売上高は4.5%増だった。
国内もセブンイレブンは好調ですが、ヨーカドーはテナント売上が伸びたものの、光熱費などの必要コストが上昇で相殺、営業利益は74.8%減の4億円。ぎりぎり黒字を維持。ヨドバシカメラとファンド連合に売却を決めたそごう・西武が自治体の苦言や雇用維持などの面で停滞しています。
買収下手といわれるセブン。残るは、赤ちゃん本舗、ロフト、タワーレコード、ニッセン(通販)などがあります。うまくいってるのは、ヨークベニマル、米国コンビニ「スピードウェイ」くらいです。
物言う株主が圧力を高めるのも理解できるところです。
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