豊川信用金庫 JKの雑談で取り付け騒ぎ

社会考察

愛知県・豊川信用金庫事件、50年前に起きた取り付け騒ぎだが、女子高生のなんでもない会話で、大騒ぎなった案件です。

簡単に言うと、女子高生が3人いました。1人は豊川信用金庫に内定しています。

銀行で働くのは「危ないんじゃない?」

これが始まりです。受付業務で銀行強盗の意味ですが、内定していた女子高生は経営が状態が危ないと捉えてしまいます。

親類に話すことで、広まってしまいました。

1973年12月、誤った内容の噂により豊川信用金庫に対する取り付け騒ぎが発生した。

愛知県宝飯郡小坂井町(現・豊川市)を中心に「豊川信用金庫が倒産する」というデマが流れたことから取り付け騒ぎが発生し、2週間で約14億円もの預貯金が引き出され、倒産寸前に。

警察が信用毀損業務妨害の疑いで捜査を行った結果、女子高生3人の雑談をきっかけとした自然発生的な流言が原因であり、犯罪性がないことが判明した。デマがパニックを引き起こすまでの詳細な過程が解明された珍しい事例であるため、心理学や社会学の教材として取り上げられることがある。

1973年12月8日、登校中の国鉄飯田線の列車内で、高校生が、豊川信用金庫に就職が決まった友人の女子高校生に対し「信用金庫は危ないよ」とからかう。この発言は信用金庫の経営状況を指摘したものではなく、「信用金庫(などの金融機関)には強盗が入るため危険」という意味の冗談だった。

彼女は真に受け、その夜、親戚に「信用金庫は危ないのか?」と尋ねた。

具体的な信用金庫の名称は言わなかったものの、豊川信金のことだと自分で判断して同信金本店の近くに住む親戚に「豊川信金は危ないのか?」と電話で問い合わせた。

美容院経営者、居合わせたクリーニング業など「豊川信金は危ないらしい」と伝染する。小坂井町の主婦らの間で豊川信金の噂が話題となり、通りがかりの住民の耳にも入る。女子高生が電車で勘違いしてから、6日という短期間で、噂は「豊川信金は危ない」と断定調になる。

クリーニング業で営む男性の店で電話を借りた人が「120万おろせ」という指示を出す。噂を知らず仕事上の資金だが、これを聞いた人たちが勘違いし喧伝する。タクシー運転手、アマチュア無線愛好家も、噂を広範囲に広めてしまいます。

預金者59人が窓口に殺到し、5000万が引き出される。

銀行は事態の収拾のため、声明を出しますが、これがパニックの引き金を引くことになりまうす。

払い戻し処理の迅速化のための措置が「1万円以下は切り捨てられる」「利子が払えないのはやはり経営がおかしいせいだ」「豊川信金に強制捜査をしている」「理事長が自殺した」などのデマが流れる。

「倒産整理の説明会をしていると聞いた」と問い合わせる者や、整理券を渡されて「こんなものをもらって何になる」と怒鳴る者が現れるなど、事態は深刻化します。

マスコミが報道で沈静化を図ります。日銀も安心させるために大量の現金を人々に見えるように運び込みます。ここまで7日間の出来事です。女子高生の会話から。

デマでは「自殺した理事長」はずの理事長が陣頭指揮を取り、マスコミ、日銀の対応で事態は沈静化します。信用金庫は、全国信用金庫連合会(現:信金中央金庫)ですから、飛び火を恐れ本部が対応します。

大量の現金をカウンターからよく見えるところに置かせたり、「豊川信用金庫には親機関の全国信用金庫連合会がついております。お金がご入用なら、いくら払い戻しても構いません。ご遠慮なくお申し出ください」という張り紙を豊川信用金庫の本支店(十か所)の店頭や店内に出させた。

執拗に説明を求める客には「そんなにご心配なら、大蔵省なり、日銀なりにご自分で聞いてみてください」と言い、東海財務局を電話で呼び出し、実際に確かめてもらった。また、そのやりとりを録音し店内に流させた。

午後3時の閉店時間を過ぎてもまだ残っている客のために「一人でもお客様が残ってる限り、絶対に店を閉めてはならないように。閉めると現金が底をついたと思われるから」と指示した。

女子職員に金庫の中を見せ、こんなにお金があるということを認識させた。そうした女子職員が帰ったあとに近所の人が「本当はどうなの」と尋ねるのは分かり切ったことであったので、その際には「十分あります」と自信をもって言えるようにした。

パニックは収束したが、しばらくは「3人のうわさ話がここまで大きくなるはずはない。裏に組織的な陰謀があり、警察発表は政治的なものだ」などと主張する者もおり、デマはすぐには消滅しなかった。

これは1973年のことです。この年、10月にトイレットペーパー騒動が発生しています。オイルショックによる不景気で社会が不安定で、デマが広まりやすい下地があった。事件の7年前の1966年、小坂井町の隣の豊橋市の金融機関が倒産し、出資者の手元に出資金がほとんど戻ってこないという大きな被害を出した事件が発生していた。

このデマの伝播経路で重要な役割を果たす、クリーニング店の店主もこれで被害を受けている。

「交差ネットワークによる二度聞き効果」の現象といわれます。

狭い地域社会の中で、別々の人から同じ情報を聞くことで信憑性があるものと思い込むが発生すること。

このような人間の性質ともいえる心理効果を利用しているが、広告代理店やPR会社です。インフルエンサーなどは、その最たるもの。利害関係者が宣伝するよりも、受け手の心に響きやすく、これを悪用しているのがステルス・マーケティングです。当事者が言いたいことを、利害関係のなさそうな第三者に言わせることで、ウィンザー効果が得られるわけですが、米国では犯罪です。

ウィンザー効果とは当事者よりも第三者が発信した情報のほうが信頼されやすいという心理効果のことを意味します。

ちょっとした話が、どんどん尾ひれをつけながら広がっていき、否定しても信じてもらえません。検証手段がない話を、自分と利害関係のないところでされると、疑う理由がないので、簡単に信じてしまうことがあります。

一度広まった情報はなかなか訂正できない。当事者がそれを否定しても効果がありません。「悪い話は広がってほしくないだろうから、それは否定するだろう」と思われてしまうので、なかなか信じてもらえない。

この心理効果は、別々の人から同じ噂を聞くと信じやすくなるというものです。SNSなどでフェイクニュースが広まりやすいのは、この心理効果の影響が大きいと言えるでしょう。

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