米中新冷戦 インドが漁夫の利 ひとり高成長

社会考察

成長著しいインド。数年後には日本を抜いて、GDPは世界3位になるのは確実で、米国と揉めている中国を抜く勢いである。世界最大の民主主義の国である故に、西側にとって中国よりもアライアンスが組みやすいだろう。

1962年から揉めている国境紛争、2020年も軍事衝突があった。米国は中国を軍事・経済でも脅威とみなし新たな冷戦が始まっている。中国と米国の喧嘩は、インドにとって風向きが変わりつつある。うまく捉えて中国が担っていたハイテク製造を崩せるかもしれない。

インド人は数学的教育水準が高く、IT人材は世界中にたくさん散らばって、ITテックのCEOにインド系が多い。

ロイター通信が

2020年中印国境紛争

2020年に中華人民共和国とインドの間で起こった国境紛争。1962年の紛争で、大規模な軍事衝突を防ぐ協定ができ、重火器使用を禁止した。そのため殴り合い、投石などで双方20名以上の死者を出したと思われる。中国側はの死者は4人としているが、そんなわけがない。

2020年5月5日から、中国人民解放軍とインド軍は、中国のチベット自治区とインドのラダック地方にまたがるパンゴン湖周辺からシッキム州とチベット自治区の国境までの地域で衝突した。また、実効支配線(LAC)の線に沿ってインド側のラダック東部でも戦闘が発生した。

2020年5月下旬、中華人民共和国はガルワン川流域でのインドによる道路建設に対抗し、インド軍を攻撃した。インド側の情報によると、2020年6月15日から16日の乱闘戦で、インド兵20名が死亡、人民解放軍の兵士43名が死傷したという。

現地メディアの報道では、双方の兵士が捕虜になり、数日後に解放されたとされているが、双方の政府による公式な発表ではこれを否定している。

9月7日、45年ぶりにLAC沿いで発砲が行われ、双方は発砲を非難し合った。インドのメディアはまた、8月30日にインド軍が中国人民解放軍に対して威嚇射撃を行ったと報じている。

2020年6月から7月にかけて、ガルワン、キャム、ゴグラからの部分的撤退が行われ、2021年2月にはパンゴン湖の北岸と南岸からの完全撤退した。2021年8月のゴグラでの離脱後、インドのアナリストはLACがインド軍の哨戒点17A(PP17A)の西に移動したと指摘した。

6月15日のガルワン渓谷での小競り合いの後、インドでは中国製品のボイコット・キャンペーンが一部で始まった。経済面では、中国企業との特定の契約の取り消しや追加の精査が行われ、インドの戦略的市場への中国企業の参入を阻止する呼びかけも行われた。

2020年11月までに、インド政府はアリババ(阿里巴巴)、テンセント(腾讯)、バイドゥ(百度)、シーナ(新浪)、バイトダンス(字节跳动)といった中国企業が開発、運営するアプリを含む200以上の中国製アプリの国内での使用を禁止した。

1962年中印国境紛争

かつての中華民国(共産党政権の以前)と長年イギリス帝国の植民地であった英領インドは、途中にネパール王国とブータンを挟んで長く国境を接していた。

ほぼ全域がヒマラヤ山脈といった山岳地帯であり、正確な地図もなく、詳細な国境は確定されず、あいまいであった。事実上独立しダライラマ政権の統治下にあったチベットには、中華民国の実効支配が及ばなかったこともあり、国境については、1914年のシムラ会談において、中華民国は同意せず、チベットとイギリス間において、マクマホンライン等が取り決められた。

英国が去ったあと、中華民国を台湾に追い出し、1949年に共産党政権の中国(中華人民共和国)が建国。曖昧な境界線となっていたチベットに軍事侵攻をする「チャムドの戦い」。建国したばかりの中国に、主権を認めさせるために北京に交渉人を送るように強力な圧力をかけることであった。チャムド地域はチベット自治区として、中国の支配下に置かれることになる。

インドは中国を国家承認し、最初に大使館を設置した国となった。領土主権の尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の5つからなる「平和五原則」を掲げた。

関係が良好だったが、1956年にチベット動乱が起き、1959年にダライ・ラマ14世のチベット亡命政府がインドに亡命すると中国とインドは、両国の国境の解釈をめぐって対立するようになった。1959年10月にはコンカ・ラ付近で中印両軍兵士による銃撃戦(コンカ・ラ事件)があり、両国間の緊張が高まった。

主にカシミールとその東部地域のアクサイチンおよびラダック・ザンスカール・バルティスターン、ブータンの東側東北辺境地区で激しい戦闘となったが、中国人民解放軍の勝利で終わった。インドの保護国だったシッキム王国では、ナトゥ・ラ峠を挟んだ地域で小競り合いが起き、峠の西側は中国となった。

1950年代後半より表面化した中ソ対立の影響で、ソ連はインドを支援していた。また印パ戦争ではパキスタンを中国が支援しており、中ソ両国の対立が代理戦争という形で色濃く影響していた。この紛争は、インドが核兵器開発を開始するきっかけともなった。

インドだけ高成長

世界が低成長とインフレに直面した中で、人口14億人のインドは高成長を維持している。IMFが予想した2023年のインドの経済成長率は6.1%。世界成長見通しの2.7%や米国の1%、中国の4.4%など主要国の見通しより高い。

2022年、植民統治した英国を抜き、名目GDP基準で世界5位の経済大国になった。10年以内に日本とドイツを抜き世界3位の経済大国になるだろうと予想されている。

巨大な人口の堅固な国内消費がある。インドの人口は今年14億2800万人で中国の14億2600万人を追い越し世界1位になり、2063年には17億人に達する見通し。

通信網拡大によりスマートフォンの普及が爆発的に増加した点もインドの内需成長を牽引した。銀行口座もなかった10億人の金融疎外層がフィンテックを通じて消費に加勢した。

インドは米中対立の局面で利益も得ている。

「脱中国」に出た西側主要企業の代替生産基地に浮上している。アップルは2022年インドで主力製品である「iPhone14」の一部を組み立て始め、2025年までにiPhone生産施設の25%を中国からインドに移す計画。

ロシアのウクライナ侵攻の影響もほとんど受けなかった。対ロシア制裁に参加しなかったインドはロシア産原油を安く調達しているが、この点が物価上昇圧力を低く抑えている。

障壁はカースト制度に代表される人権問題と階級社会。利益を富裕層が独占するなど貧富の格差が深まっている。2022年の世界不平等報告書によると上位10%がインドの全所得の57%を占める。1人当たり国民総所得(GNI)は2021年基準2170㌦で142位。中国の1/5、それだけ低賃金労働者がたくさんいることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社会考察
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました