日米のがんの死亡率の推移を見ると、最初はアメリカ人より死亡率が低かったものの、1990年代に逆転し、今では日本人の死亡率のほうが高い。
がん予防のためには野菜の摂取が大切であることを示しています。抗酸化物質やカリウムなどを補給するためにも新鮮な野菜と果物はたっぷり取ることが必要です。
普段の食事内容を変えることで、がんを抑制したり予防したりすることが可能です。
肉食が多く、野菜が少ない人は、身体が“がん体質”になっている可能性があります。野菜の摂取量が減ったことも、日本人の食事の大きな変化。かつてはアメリカ人と比べ、日本人は野菜を多く食べてきたが、1980年代から摂取量が減り、1990年代には逆転。1人あたりの摂取量はアメリカ人のほうが多くなっている。
塩分の多い食事は、胃がんの原因とされています。
高塩分の食事は、胃がんを引き起こします。塩分を過剰に摂取すると、胃の粘膜が荒れます。そこに胃がんの原因となるピロリ菌が増殖して、胃がんのリスクが高まる。日本人の塩分摂取量は1日平均9〜10gと、海外と比べても多い。できれば1日の摂取量が6g前後になるよう、減塩を心がける必要がある。
また、過剰な塩分摂取は細胞のミネラルバランスを崩してしまう。塩の主要な成分であるナトリウムの濃度が高まり、バランスが崩れると細胞の代謝の異常が起きやすくなり、すべてのがんのリスクが高まることがわかっている。
ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は豚などの赤身肉が原料。さらにがんのリスクを高める塩分や食品添加物を多く含むので、避けるべき食べもの。
日本で近年、欧米型のがんである大腸がんや乳がん、前立腺がんなどが増えている背景には、肉類や油脂を多く含む欧米型の食事があります。
血糖値を急上昇させる白砂糖は、がんのリスクを高めます。白米や精製された小麦で作られたパンなどは栄養的には問題ないのですが、酵素が除かれていて代謝しにくい。それぞれ黒砂糖やきび糖、玄米、全粒粉のパンに置きかえるのが望ましい。
油脂は酸化しにくいものを。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は前出のLDLコレステロールを増やし、免疫力を低下させる。
限りなく無塩に近づけること、動物性タンパク質を避ける、新鮮な野菜と果物をたっぷりとることを原則にしています。
がんを予防&改善する5つの抗がん食
- 胚芽が含まれている玄米や全粒粉のパン、豆類、いも類
- 腸内環境を整えて免疫力をアップさせるヨーグルト、海藻、きのこ類
- エネルギー源のクエン酸が豊富なレモンや滋養に富むはちみつ
- 酸化しにくいオレイン酸が含まれるオリーブ油、ごま油、なたね油
- 自然水(ナチュラルミネラルウォーター)
減塩は健康にいいと言われている。本当なのか。医師の大脇幸志郎さんは「アジア人は減塩しても血圧が下がらないというデータがある。そもそも血圧が下がっても病気を予防する効果はあまりない。高血圧者などを除くと、減塩にはほとんど効果がない」という
減塩みそに減塩バターと、塩はとかく悪者扱いされ、塩を減らすのが健康的だと信じられています。厚生労働省も長年にわたって、塩を減らせといいつづけてきました。これは世界共通の事情で、世界保健機関(WHO)からも減塩をすすめるガイドラインが出ています。
それぞれの言い分によると、塩で血圧が上がり、血圧が上がると心筋梗塞こうそくや脳卒中になり、早死にしてしまう。そういうお話になっています。ところがこのお話、よく見るといろんなところがおかしいのです。たとえば、減塩の目標値があまりに厳しいうえに、人によってぜんぜん違っています。
厚生労働省は成人男性で1日7.5g、女性で6.5gとしています。WHOの目標は5gです。
アメリカのデューク大学のウォルター・ケンプナーという人がおおぜいの患者にやらせていた食事療法では、なんと0.35gでした。
じっさいには、日本人は平均で1日10.1gの塩を食べています。日ごろの食事をこれまでとはぜんぜん違うものに置き換えなければ、こうした過激な目標は達成できません。不思議なのが、これほど全世界で塩を減らせ減らせといっていて、日本人は塩をたくさん食べているのに、なぜか日本人が長生きだという事実です。
「塩とカリウムの目標値は同時に達成できない」という矛盾
海外の目標値のほうをくわしく見てみます。2010年のアメリカのガイドラインでは、ナトリウムを2300mg、塩に換算するとおよそ5.8gを目標としています。それはいいのですが、同じガイドラインで、カリウム4700mgが妥当な量としています。カリウムはどちらかといえば血圧を下げるので、多いほうがよいことになっています。そして、塩とカリウムは似たような食品に含まれています。
その結果、塩の目標値とカリウムの目標値は同時に達成できないということを2013年の論文が指摘しました。矛盾を指摘されたためか、現行版ではカリウムの基準値がなくなっています。
WHOの目標値は、いい加減で当てになりません。参考記録程度でしょうか。
アジア人は減塩しても血圧が下がるとはいえません。高血圧の研究のなかでは、人種によって、つまり白人と黒人とアジア人は体が違うので、高血圧治療の効果も違うのではないか、と考えられていた歴史があります。そうした背景から、一部の研究では人種を区別して結果が報告されています。
そしてこの調査でも人種を区別して減塩の効果が解析されました。白人では1日11.8gの塩を4gに減らすことで、上の血圧が1mmHgほど下がっていました。黒人では4mmHgほど下がっていました。
アジア人では1.5mmHgほど、ただし誤差を考えるとじつは上がるのかもしれない、減塩で血圧が上がるのか下がるのかはわからないという結果でした。アジア人が減塩をしても血圧が下がるとはいえないのです。
「塩が体内でどんな作用をしているか」実はよくわかっていない
最近は医学論文をなんでもかんでも「エビデンス」といって都合のいいところだけつまみ食いするのが流行っていますが、この報告は、それまでにあるすべてのエビデンスを集めて統合したものですから、すべてのエビデンスの上位にあたります。
こういうものを出して「減塩で血圧は下がらないんですよ」というと、減塩教徒たちが大挙しておしよせます。減塩したければ勝手にしていればいいのに、暇人だなあと思います。
よくある反応が、「塩にはかくかくしかじかの作用があるからそんなことはありえない」というパターンです。
「減塩で血圧が下がる」論者はわかっていない
塩の生理作用が無数にあるなかで、それらすべての結果として血圧の変化が現れる(というか、現れない)ともいえます。たまたまテレビか何かで見た特定の作用にだけ注目して「だから塩は血圧を上げるはずだ」と思ったとしても、じっさいに血圧は上がらないという事実は動きません。テレビで見た情報をうのみにしてはいけない。
減塩で血圧は下がらないということですが、なぜ血圧を下げたい?
心筋梗塞や脳卒中を防ぎたいからです。これは医学的に証明されています。血圧を下げる薬の試験で、血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中を先送りにできます。
この本では、減塩には意味がないということ主張されていますが、健康な人に限ってのことです。病気リスクを抱えている人やすでに高血圧の人には、減塩は大切なことです。
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