週刊文春が伝えるところによると揉めているようです。
高級食パン「乃が美」。店舗を運営するFC店6社に対し契約解除を通告し、FCチェーン店側がそれに対して大阪地方裁判所に解除の取り下げを求める仮処分を申し立てるなどトラブルになっている。
乃が美の店舗の大半は「はなれ」と呼ばれるFC店。約200ある店舗のうち、直営店はわずか14。それ以外は全てFC店なのである。 「週刊文春 電子版」は昨年12月1日に配信した オリジナル記事 で、乃が美のFC店ほぼ全店が赤字に陥っており、FCオーナーたちが「このままでは自己破産するしかない」という状況まで追い詰められていることを報じた。
高級食パンブームはこの店が作ったものではない。2013年頃から始まっており、セブンイレブンの高級食パンがブームの草分け的存在となりました。1斤250円とやや高額でありながら、発売4か月で1500万個を売り上げています。
「プチ贅沢志向」を満たし、食パンをギフトに使うといった新たな市場を生み出してています。
セブンイレブンが成功すると並行して、2斤1000円近くする専門店が登場します。大阪の「乃が美(のがみ)」や銀座「セントル ザ・ベーカリー」がブームを後押し。特に「乃が美(のがみ)」は、2017年と2018年にはYahoo!検索大賞の食品部門賞を受賞しています。この辺がブームのピーク。
どこでも買えるわけではないことから、高級食パンは希少価値があるものになっています。食パンを日常品から嗜好品へと変化させることに成功します。
FCオーナーと揉めている全国チェーン展開する「乃が美」は、創業は2013年。セブンイレブンが仕掛たとほぼ同時の立ち上げます。阪上雄司・前社長がパン屋を開業し、そこにアパレルや広告業を手掛けてきた森野博之・会長が出資する形で法人化した。
阪上雄司・前社長は、2022年3月に会社を離れている。現在はお芋スイーツ専門店「高級芋菓子しみず」の経営に乗り出してます。ダイエーを経て、飲食店を経営、その後、2007年に大阪プロレス代表取締役会長に就任。パン職人やパンの専門家でもなんでもなく、地域ローカル経営者といった感じです。出資者の森野博之・会長と対立で追い出されるかたちで社長を辞任しましたが、いちはやく泥舟から逃げ出すセンスは一流かも知れません。
乃が美は2018年に「全国で1日に5万本売れるパン」として話題になり、大ブレイク。2019年には東京の投資ファンド「クレアシオン・キャピタル」におよそ半数の株式を譲渡し、上場を目指すことになったが、この頃から高級食パンブームに翳りが見え始める。そして2020年からのコロナ禍で業績は一気に下降していった。
「乃が美」のロイヤリティは売上の10%と良心的な設定ではありますが、ちゃんとしたフランチャイズとしての機能があるかどうかは少し疑問といわれます。森野氏が会長として率いることになったがて、本部とFC店の間の店舗経営を巡る“溝”が広がっていったといいます。
おそらくブームが去り、上場も難しいことから「店じまい」を考えているかも知れません。流行り廃りがあるのは承知の上で、短期間でガッツリ稼いで、あとは細々とという戦略だと思います。誘いに乗ったFCオーナー側は、売上がないのにロイヤリティを下げろ!と。これも都合がいい話です。
「乃が美」に限らず、いくつか高級食パンブームを牽引したところがありますが、ほぼFCという形を取っています。職人が作るのではなく、マニュアル化して素人でも作れることで短期間で拡大し、一時的な成長に成功しました。短期間で拡大する危うさは、タピオカ、ステーキ、からあげ・・など飲食店ではよく見られる光景ですが、末端を担う者たちはたまりませんが、乗っかった以上は、仕方がないのかも知れません。
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