アマゾンプライムでキューブリックの「2001年宇宙の旅」が配信されていたので、ちょっと気になったので、改めて調べてみました。
人と猿を結びつけ、進化論を全否定することは、キリスト教的な価値観ではうけいれがたいことですし、実際、アウストラロピテクスの存在は、認められるまで時間かかりました。中国で発見された北京原人が大きく作用します。
「人の進化は戦争や殺戮が進化の原動力となっている」
戦争を挟んでいる時代背景ですから、人間の暴力性と結びつけ、宗教勢力と対峙するため、過激な主張を織り交ぜる必要があったのか?と個人的には思ったのですが・・・
キューブリックの作品「時計じかけのオレンジ」「フルメタル・ジャケット」などに、このキラーエイプ仮説に強く影響を受けています。この仮説、間違いであり否定されています。人間以外の哺乳類も殺し合いますし、暴力性が人たる基盤ではありません。
冒頭に出てくるアウストラロピテクスが登場。アウストラロピテクスは、ミッシングリンクでした。
ミッシングリンク・ミシングリンク(Missing-link)とは、生物の進化過程を連なる鎖として見た時に、連続性が欠けた部分(間隙)を指し、祖先群と子孫群の間にいるであろう進化の中間期にあたる生物・化石が見つかっていない状況を指す語。
猿から進化する過程で、中間の存在がいるはず。それが「猿人」であるアウストラロピテクスですが、発見は、1924年11月、南アフリカに住んでいた解剖学者、レイモンド・ダートが、スタークフォンテインの洞窟で人間とも猿ともつかない動物の頭蓋骨を発見します。
発見された頭蓋骨に殺されたような傷があったことから、これがキラーエイプ仮説の始まりとなります。他の哺乳類は、殺し合いをすることはない。アウストラロピテクスは、殺すことで、淘汰と発展を促し、競争することで進化した。というもの。暴力によって人たる基盤となしている説です。
キラーエイプ仮説によれば、人類の祖先が強い肉食性であり、それによる大きな攻撃性が他の霊長類とは異なっていたことが人類を他の霊長類とは異なった種として進化させた要因であった。さらにこの攻撃性は人類の本性として残っており、殺人本能となっている。
ロバート・アードリーの『アフリカ創世記』(1961年)で拡張された。この著作が大ベストセラーになり、世間に広まる。アードリーはハリウッドの脚本などを手掛ける作家、科学者ではない。
アウストラロピテクスの発見、キラーエイプ仮説も進化論を否定する宗教勢力から反発を買う。猿と人を結びつける説は宗教的に受け入れがたい。
この新しい考え方は多くの科学者が懐疑的だった。アードリーの「アフリカ創世記」を書かせるきっかけとなるが、師である発見者ダートの擁護的な著作です。
1931年にダートはロンドンに出向き、アウストラロピテクスの正当性を主張した。しかし、北京原人の発見によりダートの発見は話題にされることもなくなってしまった。北京原人は、1921年にスウェーデンの地質学者ユハン・アンデショーンとオットー・ズダンスキーが人類のものと思われる歯の化石を発見。さらに、その後の調査で1929年12月2日、中国の考古学者である裴文中が完全な頭蓋骨を発見した。結果的に合計十数人分の原人の骨が発掘された。
戦争が終わり、1947年に南アフリカで完全な頭骨が発見される。これによりダートの発見した頭骨の化石もアウストラロピテクスであると判断されるようになり、ダートの名誉は回復した。
1940年代後半からダートは再び化石発掘を行うようになり、幾つかの人類化石を発掘した。ダートが発見した猿人は、頑強に火を使ったと信じ、化石にアウストラロピテクス・プロメテウスと名付けられた。
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