救急車を呼ぶ場合、日本は無料です。ただ救急診療とか諸々かかります。それでも安いわけですが、アメリカでは救急車を呼ぶだけで高額な請求になります。
アメリカは救急車だけでなく、医療に関するサービスはかなり高額です。支払うことができず、病気になっても断念する人は珍しくありません。大きな違いは、日本のように国民皆保険制度ではありません。保険加入の義務もありません。国民1人ひとりが、民間の医療保険に入って医療を受けています。
自分の健康については、あくまでも自己責任なので、個人で民間の医療保険に加入することを決めなければなりません。自己責任ですから、入らなくてもよいのです。
加入した保険会社によって、保険でカバーできる医療範囲も異なります。ですから、自分で決めなければならない責任が求められることになります。
日本と違い「自分の健康は自分で守らないといけない国」なのです。便利性よりも信頼性が重視されます。よって、自分の責任において信頼できる医師や薬剤師を求めることになるのです。
病気になった場合は、どこの病院でも受診できるわけではありません。基本的に主治医と保険会社が認めた病院にかかることしかできない。これも契約する保険会社によって設定されます。全ては金次第です。
さらに、一般の病院とは別に、眼科と歯科には別の保険を必要とします。週によって違いますが、カリフォルニア州では、学校に入学時に病院と担当主治医の記載、保険の設定も必要になることもあります。
保険未加入者は国民の6人に1人
勤務先の会社が提携している保険会社に加入するのが一般的です。勤務先の会社が毎月の給料から会社が定めた金額を差し引いて、いざというときは会社が負担する。
保険料を負担する企業は、優良企業とされ人気がありますが、負担が重くなっているようです。
スターバックスCEOのハワード・シュルツ氏は『当社の従業員8万人の保険料は、2億ドルを超えコーヒーの原料の総額を上回っている』と語っています。
2005年のデータですが、1世帯当りの医療保険は10,880ドル。医療保険を負担する企業は5年前の69%から60%に減少しており、特に中小企業は負担をしなくなっているという。負担する企業は保険料の74%を支払っており、残りは従業員が負担している。
従業員の負担額も5年前の1,093ドルから今年2,713ドルと、3倍近くに膨れ上がっている。実際には1世帯当りの医療保険は12,000ドルを超えているという声もある。
会社で保険を利用できない人は、個人で民間の保険会社を利用するしかありません。一般的に加入する民間の保険料もかなりの高額です。そのため、持病を持っている人は保険に入れない場合があったり、一般よりも高い額の保険料を課される場合があります。
実際には、アメリカ国民の約6人に1人が保険に加入しておらず、病気になっても「治療を受けられない」という人が多くいるのが現実です。
低所得者にも保険を…改革に乗り出したオバマ
日本のような国民皆保険制度がないアメリカは、低所得者などが十分な医療を受けられない、病気になっても治療を受けられないという不満は当然多くあります。
オバマ前大統領が改革に乗り出しました。それが「オバマケア」です。オバマケアとは「医療保険制度の改革」のことです。2010年に成立した法律、ACA(Affordable Care Act)を、通称「オバマケア」と呼んでいます。
低所得者の方も、保険料の安い公的医療保険に加入できるようにする。保険会社は、どんな人にも(持病や重度の病気を持つ人も)差別なく保険の加入を認める。ただし、保険に入らなかった場合は、確定申告のときに罰金を科す。
というものです。これは日本の国民健康保険とは違い、あくまでも自分の意思での加入ということなる。
このオバマケアには国家予算として、1.1兆ドル(約120兆円)の予算を必要とするとして、共和党を中心とした反対意見も多く、トランプ政権になって見直しが行われました。
『ブレイキング・バッド』(Breaking Bad)
医療費の問題から暴走する先生を描いた「ブレイキング・バッド」。2008年から2013年まで続き、アメリカドラマ史上最高傑作と称されているドラマです。ちょっと暴力的ですが、これが支持され、共感得ると考えると医療問題だけではないと思いますが、闇を感じます。
舞台は2008年のニューメキシコ州アルバカーキ。偉大な成功を遂げるはずだった天才化学者ウォルター・ホワイトは、人生に敗れ、50歳になる現在、心ならずも高校の化学教師の職に就いている。妊娠中の妻、脳性麻痺の息子、多額の住宅ローンを抱え、洗車場のアルバイトを掛け持ちしていても、なお家計にはゆとりがない。
ある日、ステージIIIAの肺癌で余命2~3年と診断され、自身の医療費と家族の経済的安定を確保するために多額の金が必要になる。義弟ハンクや旧友エリオットが費用の援助を買って出るが、あくまで自力で稼ぎたいウォルターはそれらを拒み、代わりにメタンフェタミン(通称メス)の製造・販売に望みをかける。
麻薬取引については何も知らず、元教え子の売人ジェシー・ピンクマンを相棒にして、家族に秘密でビジネスを開始。裏社会での名乗りは 「ハイゼンベルク」。製造拠点はRV(キャンピングカー)。卓越した化学知識と品質へのこだわりによって、彼は世に比類なき高純度のクリスタル・メスを開発する。
増産用の新プロセスで作ったメスは純度はそのままで独特の青い色味を帯び、「ブルーメス」 の名でたちまち市場に君臨する。ビジネスにおいても家庭においても逐次発生する危険なトラブル。
大物ドラッグ・ディーラーとの提携、そして対立。家族を養い守るため、あるいは相棒を守るための必要悪を謳いながら、ウォルターは実際に悪に染まり、要求内容にも実現手段にも益々節度がなくなっていく。
やがてウォルター・ホワイトことハイゼンベルクは押しも押されもせぬ〈麻薬王〉にまでのし上がり、巨万の富を築き上げるが、その過程で為した諸行為および彼自身の人格変化は、愛する家族を、愛する相棒を、償い得ぬほどに害していた。
もし旅行や短期滞在で、アメリカで治療を受けるときクレジットカードの保険が重要となります。必ず確認しましょう。
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