欧米では「チーズを食べると悪夢を見る」と言われる。しかし、2015年に発表された論文では、チーズを食べると悪夢が引き起こされることを示唆する証拠は見つかりませんでした。不穏だったり鮮明だったりする夢は何を食べたかではなく、衝動食いや食べ過ぎ、ダイエットなどに関連していたとのこと。
深夜の高カロリーのおやつは、チーズであろうとなかろうと悪夢をみやすくなるようです。
これは、欧米を中心に世界各地に浸透している噂です。近年の研究(British Cheese Board, 2005)では、ブルーチーズを食べると鮮明な夢を、チェダーチーズを食べると有名人の夢を見やすくなることが報告されています。60年前の事例ですが、1964年に悪夢に苛まれていた患者が、毎晩チーズを食べる習慣をやめたところ、悪夢から解放された話があります。
しかし、チーズが悪夢の原因である証拠はありませんし、反対に、この噂が間違っていると断定できる科学的データもありません。
チーズなどの乳製品に含まれる「ラクトース」が原因とも
心理的な影響が大きかったり、睡眠パターンの乱れることで悪夢を引き寄せるわけですが、科学的な説明として、チーズのラクトース(乳糖)含有量の高さをあげています。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする。乳糖不耐性と呼ばれるものです。
「乳糖不耐」とは、小腸の消化酵素「ラクターゼ」が足りなかったり、その働きが弱かったりすることで、牛乳や乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)を分解できない状態のことを指します。
乳糖が小腸で分解されずに大腸まで移動すると、腸内細菌と相互作用してガスを発生させたり、下痢などの腹部症状を引き起こしたりします1)。ちなみに、牛乳に対するアレルギーとは別のものです。
乳児のラクターゼ量は高く、母乳やミルクを消化できますが、離乳後にはラクターゼ量がだんだん減少し、乳糖が消化できなくなっていきます。世界人口の75%が、特に成人期にラクターゼ活性の低下を経験していると言われています。
乳糖不耐の人口割合は、一般的にアフリカ・南米系で60~100%、アジア系においては80~100%と高く、北西欧系では10%程度と低くなっており、民族によって大きく差があります。 日本人も高い割合で乳糖不耐の人がいますが、牛乳を飲んで腹痛や下痢などを起こす人は、成人の25%程度。お腹の不調が起こるか起こらないかには個人差があります。
乳糖耐性のない人が影響を受けた可能性は十分にあります。が???
乳糖が、下痢や鼓腸(こちょう、ガスが腸内に異常に溜まる症状)を引き起こし、質の良い睡眠を妨げ、悪夢に繋がっていると考えられています。
しかし、乳製品が睡眠を阻害するという説は、乳糖耐性を持つ人には当てはまりません。むしろ、就寝前のホットミルクが睡眠の質を高めるという研究結果が報告されているほど。
1974年から2019年の間に実施された研究では、バランスのとれた食生活の一環として、牛乳を含む乳製品が睡眠の質を向上させる可能性が示唆されています。
体温上昇で睡眠が乱れ、悪夢を誘発する可能性
イギリスの睡眠専門家であるニール・スタンレー(Neil Stanley)氏は、次のように述べます。
「良質な睡眠を得るためには、就寝時に深部体温(体内部の温度)を1度ほど下げておく必要があります。しかし、夜遅くに脂肪や糖分を摂りすぎると、体がその分のカロリーを消費しなければならず、熱を発生させます。
日中はカロリーをスムーズに燃焼しますが、夜になると体がその作業をしたがらなくなる。寝る前にチーズを食べることで余計な熱が発生し、深部体温が上がって、睡眠が阻害されるというのです。
睡眠学では、夜中に目が覚める回数が多いほど、見たばかりの夢を鮮明に想起しやすくなることが分かっています。さらに、頻繁に目が覚めるのは睡眠の質が悪い証拠ですから、それに伴って、夢の内容も自然と不吉で不安を煽るものとなりやすいのです。
ただチーズではなくとも、甘いものを食べれば深部の体温は上がります。チーズが悪夢という引き寄せる根拠としては成り立ちません。
睡眠を向上するということで、話題になった「ヤクルト1000」。ヤクルト1000が他と違うのは乳酸菌 シロタ株の密度が圧倒的に高いこと。 1mlあたり10億個と高密度な点が、睡眠の質向上やストレス緩和という機能に関係しているという。乳酸菌シロタ株には、腸内環境を改善する機能があリ、腸内環境が睡眠と関係していると言われます。
他にも果物キウイ、さくらんぼに含まれる「幸せホルモン」セロトニンが、質の良い睡眠を促すことで、知られています。
チーズと悪夢の関係性は、正直わからない。乳製品とも、ビタミンB6不足、腸内環境、体温・・どれも???です。悪夢が続けて見るとよくないと言われますし、続くようなら一つずつ原因、思い当たる事柄を除去するしかありません。
変な夢を見るチーズ・スティルトン
イギリス産のブルーチーズ「スティルトン」。変な夢を見ることで知られています。
噂とかではなく、2005年に、ブリティッシュチーズボード(英国チーズ委員会)も、食べたチーズの種類で見る夢が変わると公式に発表しています。
就寝30分前に20gのチーズを食べるという実験を行ったところ、「スティルトン」を食べた場合、男性の75%、女性の85%が奇妙な夢を見たという。広告代理店のマーケティングの匂いもしますが・・
このチーズは日本でも売られています。紀伊国屋、成城石井、ナショナル麻布と言ったお洒落スーパーには必ず売っていますし、ワインをそれなりに販売しているところだと高確率でおいてあります。
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