1990年代、パソナの南部靖之、ソフトバンクの孫正義とともにベンチャー三銃士と称された、旅行代理店大手HISの澤田秀雄がつくった格安航空会社。その後、ハウステンボスなども手掛けていました。
1996年に創立した、日本におけるLCC(格安航空会社)の草分け的存在で、1986年から始まった航空輸送業における規制緩和政策による新規参入企業でした。機内サービスを簡素化するなど各種施策により、運賃を大手航空会社の半額以下に抑えたこともあり、同社の平均搭乗率は一時期80%を超えていました。2000年には東証マザーズ、2013年には東証一部に上場します。
しかし大手航空会社も早期予約による割引運賃の導入や、新規参入航空会社が出現したことにより、スカイマークを取り巻く国内航空業界は競争が激化します。
そのような状況でスカイマークは、国際線への本格進出を目指します。2011年には世界最大の旅客機エアバスA380を6機発注しました。日本の航空会社では、はじめてのA380導入ということからニュースにもなりました。
A380の値段は1機あたり300億円以上で、合計すると1,800億円を超える投資となります。さらに、国内線には中型旅客機A330も導入。スカイマークの2011年度の売上は600億円であったことから、身の丈を超える投資だったといえるでしょう。
このような巨額な投資を進めている中、2012年12月に安倍政権が発足。アベノミクスにより円安ドル高政策が打たれます。ドル建てだった機材のリース料や、以前から高騰を続けていた燃料費などの経費がかさみ、2014年には業績が赤字になります。対策として、納入前だったA380については2機を購入延期、4機のキャンセルをエアバス社に申し入れました。
エアバス社は、スカイマークから前払金の約265億円を没収したうえで、700億円以上の違約金を請求します。A330のリース料金に、A380の違約金も加わり、スカイマークのは営業未払金が発生するまでに経営状態が悪化します。
これまでスカイマークは無借金経営を行ってきましたが、これも仇となりました。一般的に経営状況が悪化したときには、まずは貸付金のあるメインバンクが、新たな融資などで資金注入することにより再建を助けることがあります。
スカイマークは、貸付金のあるメインバンクが存在しませんでした。そのため、助けの手を差し伸べる銀行がいなかった。2014年末になるとスカイマークは従業員給与などの運転資金を賄うことすら難しくなり、2015年1月に民事再生手続開始申立を行い、3月には東証一部上場も廃止となりました。そして、当時の社長であった西久保氏は退任します。
スカイマーク再上場、コロナ影響残る中。破綻から約8年
創業時「クレームは受け付けません」と明言していた。それにより「値段は安いけどサービスが不親切」というイメージがつきまとっていました。
全日空傘下のもと、サービスの向上にも注力します。ネスレ日本とコラボして、2016年10月より長距離路線の機内サービスで、ネスカフェやキットカットを提供するなど乗客の満足度を向上させるサービスを展開しました。
CAはこれまで乗客の手荷物収納を手伝いませんでしたが、これを改めます。結果、破綻前は83.4%であった定時運行率が、90%に上昇。これまでの「安かろう悪かろう」というイメージも払拭されました。
わずか1年後に15億円の黒字に転換し、V字回復を果たしました。2015年3月期に113億円の赤字を出して経営破綻しましたが、短期間で追い込まれた経緯があります。
2013年の円安ドル高、燃料費の高騰などの影響で、業績が下降。対策として新しい航空機のリースをキャンセルしますが、逆に高額な違約金を請求されてしまいます。その影響で経営破綻し、民事再生適用となりました。
その後に経営陣が交代。不採算路線からの撤退や搭乗率の向上といった施策により、1年という短期間で回復します。たった数年の経営破綻、経営者のミスが大きかったといえます。
当時の社長・澤田氏は国内航空大手2社に対抗する「第三極」として業績を伸ばした。しかし、格安航空会社(LCC)との競争激化の中で、欧州エアバスの超大型機「A380」に打って出ます。これが致命的になってしまいますが、色々詮索がされています。
米のボーイングの製造には日本の企業がたくさん関わっています。既存の勢力と対立することで、のし上がって企業ですから、政府からの圧力があったのではないか?単なる自滅だと思われますが、再建のごたごたを見ると、そういった噂ができても頷けます。
羽田空港で業界唖然の「事件」スカイマーク「骨抜き」を許す国交省の偏重行政
すったもんだの末に、民事再生手続き中の スカイマークが、実質的に 全日空(ANAHD)の傘下入りをして再建に取り組むことが決まった。対抗馬だった米デルタ航空を主体とする案が生煮えだったことから、他に選択肢がなく、2次破綻を避けるためにやむを得なかったとはいえ、昨秋の行政指導で日本航空(JAL)主導の再建案を潰して選択肢を狭めた国土交通省の行政責任は重大。
最終的に、国民・利用者が路線縮小や運賃高騰といったリスクにさらされる問題も見逃せない。こうしたリスクを顕在化させないためには、まず無責任な発言を連発してスカイマークの再建を迷走させた太田昭宏国交相自らが責任の所在を明確にすべきだろう。
加えて国交省は、ANAHD偏重の航空行政をただちに抜本的に見直す必要がある。ドル箱の羽田空港の発着枠については、ANAHDのピーチ・アビエーションだけに例外的に就航を認めるのではなく、幅広く内外の航空会社へ開放する必要がありそう。
半年以上にわたって迷走したスカイマークの経営再建案づくりが一応の決着を見た途端、羽田空港をめぐって国内外航空関係者が唖然とする“事件”が起きた。ピーチ・アビエーションが、国内LCC(格安航空会社)として初めて羽田空港に就航したのである。路線は台北線で、週6便を運航するという。
実はこれまで国交省は、羽田に就航する国内線の発着枠をANA、JALの2大フルライン航空会社とスカイマークやエアドゥといった新興航空会社に限定し、頑なにLCCには与えてこなかった。深夜・早朝の国際線枠については、この限りではないとしていたが、機材繰りも困難なためLCC各社は関東の拠点を成田空港に置かざるを得ない状況となっていたのだ。
そうした中でピーチが就航した台北便は、羽田着が午前4時45分。そして羽田発が午前5時55分だ。就航当初はともかく、電車もリムジンバスも動いていないこの時間帯の利用客を安定的に確保していくのは、経営的に容易なことではないはずだ。いったいなぜ、こんな悪条件のもとで、あえてピーチは羽田に就航したのか。
航空関係者たちが疑心暗鬼になったのは、スカイネットアジア航空、エアドゥ、スターフライヤーに続いてスカイマークが事実上、ANAHDの傘下に入ったことで、同グループが羽田の発着枠(1日465便)の60%という大きなシェアを押さえることになった意味だ。いくら羽田の発着枠がドル箱といっても、国内便だけでは稼げる路線に限りがある。
そこで、ANAHDは発着枠を国際線に転用しようともくろんでおり、利用者のニーズの存在を示すため、ピーチに就航させてグループとして実績をつくろうとしているのではないか、というのである。
スカイマークを潰した国交省
そもそも今回のスカイマークの経営破綻劇は、過大投資がたたったもの。そこで同社がJALと提携してコードシェア(共同運航)などをテコに売り上げを確保して危機を乗り越えようとしたところ、太田国交相が「第3極の存続」という大義名分を持ち出して、待ったをかけた。
このため再建のメドが立たなくなり、資金繰りの道を閉ざされたスカイマークは民事再生法の適用申請に踏み切らざるを得なかった。これが破綻劇の真相である。
不可解なのは、第3極の存続を目指したはずの国交省が、JALに認めるよりも発着枠シェアの独占が進むANAHDの傘下入りを容認したことだけではない。将来、スカイマークの再独立を促すとしながら、ANAHDが同グループの発券システムの使用をスカイマークに迫っていることを黙認しているのは、さらに不可解といってよいだろう。
というのは、独自システムを放棄してANAHDのシステムを導入すると、スカイマークは顧客情報の管理・蓄積すらできなくなり、自立どころかいわば再上場の資格とでもいうべきガバナンス面での独立すら困難になるとみられるからだ。
国交省のANAHD贔屓は、民主党政権主導で再建を果たしたJALに対する与党の感情的反発が反映されたものとされる。それが事実だとしても、過去2回の羽田空港の発着枠配分における優先的な割り当ての経緯も含めて、国交省の対応は行政にあるまじき特定事業者の優遇行政といわざるを得ない。
確かに、今回のスカイマーク再建劇の大詰めで、米航空機リース会社のイントレピッド・アビエーションが主張した米デルタ航空を主たる支援パートナーとする案は、肝心のポイントがそろって「今後の検討課題」にとどまっており、仮に採用されれば2次破綻のリスクがつきまとうものだった。
加えて、日本の航空市場における第3極の存続や競争環境の維持といったイントレピッドの主張が建前にすぎず、自社の債権保全をもくろんでいるのが透けて見えたことも、同案への信頼を損なったといえる。
太田国交相は第3極の航空会社が消滅することは容認できないと言い続け、潰れなくても済んだはずのスカイマークを破綻に追い込んだ張本人だ。結果としてJALではなくANAHD傘下にスカイマークが入るように誘導したことや、形式的な会社の存続をもってスカイマークの独立性が保たれるとして、現実的にはその独立性が損なわれていく再建策づくりを黙認し続けていることは、航空機の利用者として決して容認できない。
ANAのA380就航で思い起こす「スカイマークの行方」 破綻からの復活
ANAが超巨大機A380をハワイ線に就航させますが、この機材の導入を過去に断念し、ANAの支援を受け経営再建を果たしたのがスカイマーク。そこから業績を伸ばし再上場を狙う同社は、A380就航を遠目に、どのような将来を描くのでしょうか。
A380導入で思い出される「スカイマーク争奪戦」
ANA(全日空)が2019年5月24日(金)、東京(成田)~ハワイ(ホノルル)線にエアバスA380を導入します。ファーストクラスが新設されるほか、エコノミー・プレミアムエコノミークラスの1便あたり座席数は従来の2倍以上になる超大型機の登場で、JAL(日本航空)が優位に立つハワイ路線の競争激化が予想されています。
A380を日本の航空会社で発注したのは、ANAが初めてではありません。実はこの機体は、「スカイマーク争奪戦の残滓」ともいえるものです。
スカイマークはエアバスへA380を6機発注していましたが、経営の悪化にともないキャンセル。2015年1月に民事再生法の適用を申請しました。再建計画を巡ってANAとデルタ航空がせめぎ合い、最終的に同年8月、エアバスなど大口債権者も出席した債権者集会でANAが支援する債権計画案が可決され、当初から過半数シェアの出資をコミットしていた投資ファンドのインテグラル(50.1%)、ANA(16.5%)、日本政策投資銀行など(合計で33.4%)が経営陣を派遣して再建がスタートしたことは、記憶に新しいところです。
ANA自身は否定していますが、同社のA380導入は、債権者集会でエアバスの同意を取り付けるためにスカイマークの発注機材の一部肩代わりを余儀なくされた、というのが日本の航空業界の通説になっています。
新生スカイマークは大型機材A330を全機(リース会社に)返却して、機材をボーイング737に再び統一し、わずか1年2か月で民事再生を終結させることができました。しかし、その過程においてスカイマーク経営陣、特にインテグラルから就任した佐山展生会長とANAとのあいだには、ギクシャクした関係が続いているようにも見えます。
その根源には「スカイマークは大手2社から完全に独立した『第三極』として再生する」という佐山氏の強い意思があり、ANAの国内線旅客システムである「able-D」にシステムを変更することは、実質的に経営の生殺与奪権を握られるとして、当初からANAが経営支援の前提としたコードシェアの実施を拒み続けています。
ミニスカ問題
「キャンペーン服として用意したものが、あまりに評判が沸き立ち、こちらも困惑している。かなり歪んだ解釈をされているのは、非常に残念だ」
3月7日、東京・羽田空港に直結したスカイマークの航空機格納庫。5月末から羽田発着の国内主要3路線で順次導入する、仏エアバス製の「A330」型機のお披露目会見に臨んだスカイマークの西久保愼一社長は、こう漏らした。機体と同時に発表した女性の客室乗務員(CA=キャビン・アテンダント)が着るミニスカートワンピース(ミニスカ)の制服。そこに世間の関心や記者の質問が集中したからだ。
スカイマークはA330が飛ぶ3路線で、半年間限定のミニスカ制服を導入する。A330初就航となる5月31日の羽田-福岡線からスタート。9月には羽田-沖縄線、2015年には羽田-新千歳(札幌)でも始める。
「着たくない人に強制はしていない」
スカイマークは今回の発表に先駆けて、昨年末にフランスのエアバス工場でA330とミニスカ制服を先行公開しており、大きな話題となった。その中心は、A330よりもミニスカ。鮮やかな青一色でひざ上をカットする、華やかなデザインでまとめられた制服がクローズアップされた。スカイマークCAの通常制服は、ポロシャツとズボンという地味で実用的なスタイルのため、ギャップが大きかったという側面もあるかもしれない。
西久保社長は、「目立つように広告の一環として用意した。スカイマークは国内線において38歳までをCAの職務定年としており、若くて元気なスカイマークをアピールしようと思った。各路線半年ずつしか使わないし、ほとんどの路線は今まで(と同じ服装)のサービスを続ける。会社全体で見るとごく一部の便(のキャンペーン)だ」と話す。
ところが、「目立つ」という目的は十分に果たしたものの、見ようによっては大胆でセクシーとも言えるミニスカ制服が、セクハラや保安上などの問題につながるのではないかと、物議を醸す事態になった。
これに対し、西久保社長は「着たくない人には当然強制していない。20年前、JAL(日本航空)が(ボーイング社製のB)747(型機)を初めて入れるときに、ほとんど同じ丈のユニフォームを採用しており、前例はある。保安上も問題はないし、セクハラの問題が起こるとも思っていない」と言う。「場違いな気持ちを呼び起こさないか」という報道陣の問いには、「お客様を侮辱している」と答えた。
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