BALMUDA Phone スマホ事業から撤退

社会考察

ぼったくりスマホとか、ゴミを14万円で販売と揶揄されたスマホ「バルミューダフォン」の販売終了、携帯事業からの撤退をするようです。

バルミューダは5月12日、携帯端末事業を終了すると発表した。「現在の事業環境において総合的に検討した結果、携帯端末事業を終了し、ほかの事業に注力するべきと判断したため」としている。

2021年11月に「BALMUDA Phone」で携帯端末事業に参入。丸みをもたせた特徴的なデザインに加え、スペックと価格のアンバランスさなど大きな話題となった。

BALMUDA Phoneの発表会では、別のデバイスの構想も明かされていたが、約1年半での事業クローズとなった。

なお、今後もBALMUDA Phoneの販売は続ける予定で、ソフトバンクショップ、バルミューダ各店舗、オンラインストアで購入可能。アフターサービスの他、修理は2026年9月末まで受け付けるという。ソフトウェアップデートも、定期的なセキュリティアップデートは23年11月まで、致命的な脆弱性などが見つかった場合は対応を検討するとしている。

京セラが製造し、ソフトバンクの独占販売でした。

現在、2万前後、もしくは無料で新規顧客に配布されているようです。この値段で、サブ機としては文句はないとは思いますが、当初の値段設定が高すぎました。

バルミューダはデザイン性と少し変わった機能、独自の視点を武器に成長をしてきた会社です。

大手の白物家電、総合家電メーカーが、差別化を勘違いして、それ自体が自己目的化し、消費者無視の不毛な技術力競争に突き進んでしまいます。

訳のわからない機能、使わない機能ばかりで値段が高い。デザイン性では欧米はおろかアジア企業にも劣るだささ、デザイン性も伴ったシンプルな単機能で低価格に韓国・中国に敗れ去り、オワコン化するのは必然でした。

アイリスオーヤマのように単機能でジェネリック家電で勝負する企業も出てきている中、スペック主義ではなくデザイン優先の設計思想(Design Philosophy)を掲げているバルミューダには、新しい家電メーカーとしての期待があったのは確かです。

ファブレス企業(自社で生産工場を持たない)ですから限界はあるかと思いますが、アップルもファブレス企業です。デザイン性に特化して14万円の値段設定なら、もうちょっと斬新なものを期待したかったというのが本音です。まぁアマゾンもスマホで大失敗していますから、恥ずかしいことではありません。挑戦と撤退はむしろいいことかもしれません。

スマホは、世界市場向けに量産しないと採算が合わず、日本のメーカーがすでに撤退しています。後発のメーカーが成功するには、ブランド力や他の付加価値で高額でも購入してもらえる、独自性が求められます。BALMUDA Phoneにはオリジナルのアプリを搭載して、デザインで勝負したわけですが、インパクトはなく、むしろ「ぼったくり」と企業イメージを下げてしまうという残念だ商品となってしまいました。

創業者は、寺尾玄。

変わった経歴の持ち主で、高校を中退し、スペイン、イタリア、モロッコなど、地中海沿いを放浪の旅をする。帰国後、プロのシンガーソングライターとして大手レーベルと契約していた。1999年にはロックバンド「Beach Fighters」を結成。グループは解散、音楽の道を諦める。オランダのデザイン誌を見て「自分もやってみたい、自分も負けない」と思い、ものづくりの道を志す。

バルミューダといえば扇風機。2010年に、DC扇風機ブームの先駆けとなる「GreenFan」を発売します。

2015年「BALMUDA The Toaster」発売。20万台を超えるヒット商品になります。水を加えることでパンの食感が変わる、美味しくなるというのが販売文句です、扇風機もそうですが、数千円レベルの商品は3万円以上で販売することで成功を収めています。欧米の家電はおしゃれだけど、高額で耐久性、アフターケアに不安があります、ニッチな市場を取り込みに成功しますが、スマホではそうはいかなかったようです。

スマホ事業は1年半で撤退となるが、決断としては正しいかも。参入したときにはトースターがマスコミから注目を集め、売れに売れていた。勢いに乗ってのものと推測されるが、同時に社外取締役が株式を購入していたとして、インサイダー取引が指摘され問題になった。

社外取締役は、眼鏡チェーンのジンズホールディングスの田中仁社長。スマホ事業参入と好決算の発表1日に前「誤って取得した」と。

利益を得ておらず、役員報酬の全額返納、11月以降5カ月間100%の減給処分を田中社外取締役に下した、が、これは甘すぎると批判が噴出した。勘違いなわけ無いだろ!という感じです。

個性的なプロダクトを作る会社には、信者的なファンが存在します。株式を購入する動機になったり、彼らにとっては、カリスマ性やストーリー性を見出します。

茨城県の田舎農家に生まれ、海外放浪やバンド活動を経て、独学で設計や製造を学んで起業した寺尾社長の姿はアップル創業者のスティーブ・ジョブズ、バンド経験のあたりは、ZOZOの創業者の前澤友作と同じもの見出そうとします。これが甘えにならないといいと思いますが。

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