「睡眠時間を1時間減らす」と糖尿病・ガン遺伝子が活発になることが判明
7時間以下の睡眠を続けると、精神疾患などの病気の発症リスクが上昇することは判明しています。では、平均睡眠時間を増やしたら本当に健康にいい影響が出るのか?という疑問を抱いたBBCが、「毎日の睡眠時間を1時間だけ増減させた場合における健康への影響」を実験して調査しました。
BBCが行った実験は、8人の被験者を2つのグループに分け、1つのグループには毎日7時間30分の睡眠を、もう一方のグループには毎日6時間30分の睡眠を1週間とってもらい、その後2グループの睡眠時間を入れ替えてまた1週間過ごしてもらうというもの。BBCはサリー大学に依頼して、睡眠時間を入れ替えるときと実験終了後の被験者の血液を比べてみて、体にどのような変化が起こったか調査しました。
サリー大学は、特に睡眠による遺伝子への影響について検査を実行、その結果、睡眠時間を1時間増減することによって、約500の遺伝子に影響が出たとのことです。まず、7時間30分から6時間30分に睡眠時間を1時間減らして1週間過ごした被験者の血液では、免疫・ストレス反応、さらには糖尿病やガンに関する遺伝子が活発になっていました。一方6時間30分から7時間30分に睡眠時間を1時間増やした被験者の血液からは、上記とは反対の現象が確認されました。つまり、免疫・ストレス反応・糖尿病・ガンに関係する遺伝子には大きな動きが見られなかったのです。
BBCはオックスフォードにあるラドクリフ病院の「睡眠センター」で、睡眠中の脳波の動きを測定し、睡眠中に脳内で起こっていることについても調査しています。調査を行った睡眠センターのWulff医師によると、人間は睡眠中「深い眠り」を繰り返してますが、脳は「深い眠り」の間、昼間に蓄積された記憶を脳内の他の場所に移動させるため、いつもより忙しく動いており、十分な睡眠をとらなければ移動できなかった記憶が失われてしまうそうです。
脳は、睡眠中「深い眠り」と「Rapid Eye Movement睡眠(REM睡眠)」と呼ばれる状態を繰り返しています。人間の体はREM睡眠時に全く動きませんが、眼球だけは動いているので、Rapid Eye Movement睡眠と名付けられました。REM睡眠は、ノルアドレナリンというストレスに関係する物質が1日で唯一働きを止める時間なので、脳は1日の出来事を処理していますが、精神はリラックスできるそうです。また、睡眠状態から自然に目が覚めるまでの30分間は必ずREM睡眠状態であり、精神的に落ち着いているので、目覚ましなどで無理やり目を覚ますとストレスや不安などを蓄積する可能性があるとのことです。2019.03.10
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