セリア(100円ショップ)株式投資のための企業考察

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業界2位セリア。女性を中心に多くの支持を集めています。SNSなどを通じて新商品が出るたびに情報が拡散され、品切れの人気商品も多い。しかし、そんなセリアの成長にも陰りの兆候が見られています。「100円均一縛り」で苦戦するセリアの厳しい現状と、100円ショップという業態に投資していいのか、見ていきたいと思います。

100円ショップ業界の優等生で、100円の価格ではあり得ないほどの高感度な商品、売場を連発し、業界2位にまで躍進した、セリアの成長性にブレーキがかかっている。

2019年3月期第3四半期決算の売上高1285億900万円(前年同期比6.8%増)は順調だが、営業利益は130億200万円(同0.7%増)とわずかしか増えていない。経常利益も1.0%増、四半期純利益も1.6%増と微増にとどまっている。前年は、売上高10.7%増、営業利益12.6%増、経常利益12.3%増、四半期純利益11.8%増と、2桁の増収増益になっていたのに対して、物足りない

第2四半期決算では、売上高7.0%増に対して、営業利益2.0%減、経常利益1.8%減、四半期純利益1.2%減と、増収減益だったので、盛り返したとの見方もできる。しかし、今期に入って昨年4月から今年1月までの既存店売上高は、10ヶ月のうち6つの月で前年を下回っている。既存店客数と既存店客単価も7つの月で前年を下回っているのである。

ここに来ての既存店の伸び悩みが想像以上に、セリアの業績の足を引っ張っている。第3四半期決算短信によれば、利益が伸びない要因として「人件費率が上昇したことなどにより、売上高に対する比率が0.7ポイント上昇したため」とあり、人件費の上昇が響いている。

ここから下降していくのかな。

株価は、2010年2月26日に120円だったのが、同社の成長に伴いうなぎ登りに上がって、18年1月5日には最高値7210円を付けた。ところがその後急下降し、今年3月1日現在3785円と半値近くとなってしまっている。

セリアは2004年に100円ショップ業界初の「POSシステム」を導入し、06年にはそれを活用した「発注支援システム」を構築。同社ホームページの河合英治社長のあいさつによれば「お客様支持に基づく最適な品揃えとオペレーションの簡素化を実現」した。そのビジネスモデルの象徴として、「Color the days 日常を彩る。」というブランドプロミスを掲げている。

店舗数は、今年1月末現在で、1570店(直営:1521店、FC:49店)となった。
女性をターゲットとして、デザイン性を追求した商品が並び、インテリア、食器、台所用品、ガーデニング用品、収納用品、手芸用品などに強い。半面、食品を扱っていない店舗が多い。

セリア・パトロール人気商品にのみ客が集中する「負の一面」の顕在化

熱心なセリアのファンの中には毎日のように店に行っては、発見したお気に入りの商品をSNSにアップする、“セリア・パトロール”と呼ばれる購買行動を行う、常連客のインフルエンサーが多数存在している。セリア・パトロールによってSNSで拡散された商品は、インスタ映えすることもあり、その情報を見た人が店舗に殺到して売り切れることもしばしばで、欠品となっている商品が増えている。

欠品を出さないことに関しては、セリアが最も注力していることの1つで、取り扱いアイテムを約2万点としている。その中で月間400~600の商品を入れ替えて、常に売場の新鮮さを保っている。

何が人気になるかは、出してみなければわからない。同じアイテムで、ある色、黄色なら黄色ばかりが売れる場合もあり、データベースをメーカーと共有して、補充体制を構築しても、即座にはできない。セリアは顧客などの情報の分析に長け、それを商品に具現化する発想の秀逸さで成長してきたが、突発的に起こるSNS起点の怒涛の如き集中的購買行動は、いくら分析してもどうなるものでもない。

非正規社員比率95%超の衝撃

セリアの問題として、欠品の多さと共に接客が良くないことだ。人件費を削るため究極まで人員を減らしているため、店員がレジ打ちと品出しに追われ、どうしても顧客への対応が疎かになってしまう。商品知識が乏しい店員が多い。

セリアは実は、日本の上場企業の中でも、際立って非正規社員の比率が高い会社だ。東洋経済オンラインの2018年3月27日付「「非正社員の多い」トップ500ランキング」によれば、セリアの非正規社員数は8192人で122位にランクインしている。注目すべきは、非正規社員比率の95.38%である。正社員は5%に満たない。これは堂々の500社中1位。

つまり、日本の名だたる上場企業は数あれど、セリアほど極度に非正規社員ばかり働かせている企業は、他に存在していない。日本一、非正規社員率の高い会社に。ちなみに、5年前比非正社員率に対して、40.13%も非正規率が高まっており、現場から顕著に正社員比率が低下している。セリアに限らず、100円ショップの非正規社員比率は高く、ワッツは85.71%、キャンドゥが84.90%となっている。

「ダイソー」の大創産業は非上場のため非公表であるが、セリアよりもっと非正規社員率が高い可能性がある。同社ホームページによれば従業員数21185人。従業員(正社員)は350人程度となっており、350人以外が非正規とすれば20835人である。それで正しければなんと98%が非正規、ということになる。

いかにもアルバイトが多そうな外食の非正規社員比率は、日本マクドナルドホールディングスが84.21%、「すき家」などのゼンショー・ホールディングスで84.42%、「ガスト」などのすかいらーくで87.25%、吉野家ホールディングスは78.72%、松屋フーズ85.41%である。

セリアの非正規社員率の高さ異常レベルです。高感度のおしゃれな商品を販売していながら、典型的な格差社会の貧困ビジネスと化している。

まとめ

これから、人手不足、賃金高騰が拍車がかかると言われており、100円という縛りから業態転換でもしないと業績が上がることは難しい、と思われます。ただ景気後退がある場合、強いジャンルには違いはなく、下がりきったから買おうかな。

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