三井住友と大和が合弁を解消 経営学履修ノート。

経済

両者は1999年に大和SMBCを大和と住友が共同で設立。しかし2009910日 合弁の解消を発表した。この経緯は子どものけんかのようでもあるが、合弁解消は両社にとりプラスの要素がない。20095月。三井住友が米シティGから日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の一部(株式債券引受け部門)の買収を決めた。これに合わせて三井住友銀は大和SMBC対する出資比率の引き上げ(現行の4-6から5-5を主張したとされる)を求めた。これを大和側が拒否したとされる。「大和証券Gが出資比率引上げを頑なに拒んだことから、SMFG(三井住友フィナンシャルグループ)は日興コーディアルを自らの手で総合証券に成長させるという道を選んだ」「フルの形になっていない日興コーデのホールセールを自前で整える必要に迫られた」(富所卓也「大和SMBC合弁を解消」『金融財政事情』2009921日号, pp.8-11, esp.,10-11.

合弁解消により三井住友は10月発足の日興コーディアル証券の対法人業務(株式の法人営業・売買・調査部門の欠落 機関投資家向け販売網の不在)に不安を抱えることになった。大和側には顧客離れ(三井住友系企業の離反)が予想される。大和は「独立系になれば利益相反を犯す危険性は薄れるというメリットはあるものの、独立系の雄・野村ホールディングスと真っ向から勝負しなければならない。

顧客に対して、野村との差異が何かを示す必要がある。」(富所卓也、前掲論文、p.10)。大和SMBCにとって「過去10年間にわたり活用してきた三井住友の広範な営業基盤が失われる」(森岡英樹「大和証券SMBCの合弁解消」『エコノミスト』2009922日号, pp.11-12, esp.,12.)。合弁解消は両社にとって得策ではなく、とくに大和は失うものが大きい。

ではなぜ大和は妥協できなかったのか。「大和証券SMBCから上がる収益は、今の大和にとって生命線に他ならない」。その経営権を失うことを大和は恐れたとされている(森岡英樹, 前掲論文, p.11.)しかし大和SMBCの収益が、三井住友系企業による発行業務に依存しているとすれば、大和の戦略は矛盾している。

三井住友から日興コーディアル証券への移動は250人。大和は7月に公募増資約2000億円を実施済みだが、合弁解消に伴う株式を引き取る資金には不足する模様。12月末をめどに大和証券は、三井住友が保有する大和SMBCの株を約2000億円で購入するとされるが、うち1000億円規模を三井住友が融資するとされている。三井住友から大和SMBCに出ている役員社員は三井住友に戻り、合弁は人の面でも解消される。

三井住友と大和、共同出資事業を解消へ=「大和証券SMBC」で交渉決裂

三井住友フィナンシャルグループ(FG)と大和証券グループ本社が、法人向け証券会社「大和証券SMBC」での共同出資事業を解消する方向で検討していることが4日、明らかになった。来週にも発表する。大和SMBCの経営権取得を目指した三井住友に大和が反発し、交渉が決裂。両グループの提携関係は大和SMBC設立から10年で終了する。

大和SMBC1999年に発足し、大和が60%、三井住友が40%の株式を保有している。資本提携解消を受け、大和SMBCは大和の完全子会社として存続する。三井住友は役員と社員を引き揚げ、保有株式のすべてを大和に売却。売却額は約2000億円とみられる。ただ「友好関係は維持する」(関係者)としており、三井住友銀行は引き続き大和の主力銀行となり、取引関係も継続する。三井住友は米金融大手シティグループから法人向けの日興シティグループ証券の一部と個人向けの日興コーディアル証券を買収。日興コーデ内に日興シティの法人向け業務部門を統合し、101を発足させる。 2009-09-12

10年間の提携に終止符!三井住友と大和の同床異夢

三井住友フィナンシャルグループと、大和証券グループ本社が、法人向け証券業務で結んでいた合弁を解消した。直接の引き金となったのは、5月に三井住友が決めた日興コーディアル証券の買収である。10年もの歳月を共に歩んできた両社の同床異夢はなぜ起きたのだろうか。今月初旬以降、大和証券グループ本社の幹部に、三菱UFJフィナンシャル・グループや、みずほフィナンシャルグループの担当者が猛攻勢をかけている。

「今後は、深いお付き合いをさせてください」しかし、そのなかに三井住友フィナンシャルグループの担当者の姿はなかった。なぜなら、大和が三井住友と合弁で設立、運営していた法人向け証券会社「大和証券SMBC」の合弁を解消することが決まったからだ。他の大手行からしてみれば、これまで三井住友に近い大和には手出しできなかっただけに、「絶好のビジネスチャンス」と映っているに違いない。大和に接触しているのは大手行ばかりではない。外資系証券会社も、新たな提携先を提案するために足繁く通っているというのだ。それも1社だけではなく、複数社がさまざまな提携話を持ち込んでいる模様だ。

「話を聞いても現実的なものはまったくなく、すべて断っている」(大和幹部)というが、ここにきて大和が突如、金融各社の垂涎の的として浮上しているのだ。合弁の解消により三井住友は、保有していた大和SMBC株を2000億円程度ですべて大和に売却するほか、派遣していた200人あまりの人員も全員引き揚げる。友好関係は今後も維持するとしているが、合弁から10年目にして大和は再び独立系証券会社の道を歩むことになった。

業界首位狙う三井住友と2位に安住する大和に溝

三井住友と大和は、1999年に合弁した当初から「ねじれの関係」にあった。当時、この提携は総会屋事件や子会社の不良債権問題などによって、資金繰りが悪化した大和を救済する色彩が強かった。にもかかわらず、自前による証券戦略につまずいていた当時の住友銀行(現三井住友)が「時間を買う」として判断を急いだ結果、大和SMBCに対する出資比率を40%に抑え、主導権を大和側に渡してしまった。

すぐさま三井住友は、出資比率の見直しを求めたが後の祭り。それ以降、これまで事あるごとに見直しを打診したものの、大和が首を縦に振ることはなかった。途中、銀行と証券の業務隔壁規制の一部が撤廃され、垣根が低くなったことを受け、三井住友はかなり強硬に迫ったものの、大和の姿勢はかたくなだった。そんな膠着状態が一変したのは、今年5月。三井住友が三大銀行グループの争いに競り勝ち、米シティグループから日興グループを買収、傘下に大手証券を収めることに成功したからだ。

大和との関係で主導権を握ることが10年来の悲願だった三井住友は、日興買収をバネに大和SMBCの出資比率の見直しを始め、親会社の合併まで持ちかけて揺さぶりをかけた。これに対し大和は、三井住友が法人向けの日興シティグループ証券の一部まで手中に収めたことに反発。「(大和SMBCと)業務が重複する。完全な協定違反だ」(大和幹部)と不信感をあらわにした。そもそも、互いの主張が噛み合うはずはなかった。というのも、主導権争いの前に、経営のあり方に関してあまりに大きな認識のずれがあったからだ。

規模こそすべてというDNAを持つ銀行。とりわけその意識が強く、拡大路線をひた走る三井住友は、「三井住友・日興・大和連合でガリバーの野村と伍する存在を目指す」という野心に燃えていた。一方の大和は、証券淘汰の時代を勝ち残ったことで、「野村に勝とうなんて毛頭思っておらず、業界2位で十分。現状のままでいい」(幹部)と、「身の丈に合った経営」が信条だった。

両社のトップ同士が会談したのも1度きり。8月から始まった本格交渉では会うことさえなかった。企画レベルでは、断続的に協議が持たれていたが、落としどころなど見つかるはずもない。「割と早い段階で、まとまらないとの認識を両社共に持ち始め、合弁解消に突き進んでいった」と関係者は明かす。

新たに浮上!?金融再々編の火種

結果的にこの10年間に及ぶ「壮大な実験」(三井住友幹部)は失敗に終わった。その代償は決して小さいとはいえない。「やらなければならないことが増え、これからが大変」三井住友の幹部はこう心配する。

というのも、101日から完全子会社となる日興コーディアル証券には、法人向け部門がM&Aの助言や株式・債券の引き受けといった一部しかない。

法人部門を大和SMBCと統合させ、強化するという当初の目論見が崩れ去った今、自前で構築する必要に迫られているからだ。最大の問題は、自己勘定で株式や債券を売買するトレーディング部門の欠如。「リスク管理上、トレーディング専用のシステムと人材は必須」(業界関係者)だが、自前で構築するには、「早くても3年はかかる」(三井住友関係者)という。

そのため現在、中途採用による人材獲得を進める一方で、「時間を買う」ために、新たな買収も視野に入れ検討を始めている。とはいえ、一筋縄ではいきそうにない。最も早いのは、シティから残りの部分を買収することだが、シティ、ひいては公的資金を注入している米国政府が簡単に納得するとは思えない。外資系証券などの買収も俎上に載せられるが、適切な金額での出物があるとは限らない。大和は、信用補完が問題となる。これまでは三井住友の後ろ楯があったため、大和SMBCの格付けは大和本体より3段階高かった。しかしそれが引き下げられれば資金調達コストは上昇、ひいては業績を圧迫する。

金融庁による水面下の指導もあって、三井住友は今後も信用補完の役割を果たす方針。しかし、すでに98日、格付け会社の米ムーディーズが、大和本体と大和SMBCを一段階ずつ格下げするなど、信用力にかげりが見え始めている。収益源の減少も懸念材料。三井住友からの顧客や案件紹介といった連携による収益は年々減少、現在は、「収益の数パーセントにすぎず、逆に他の銀行グループの案件を扱えるなどメリットのほうが大きい」と大和は主張する。

だが、「10年で足腰が弱っており、これまでどおりの業績を出せるかは疑問」(金融関係者)との声も根強い。確かに大和は、金融危機でも損失が少なく、公募増資も加わって財務基盤は安定している。ただ、将来こうした悪影響が出て業績が悪化すれば、「値段次第では買収することも十分ありうる」と、強い関心を示す大手行幹部もいる。一部には、新たな提携相手にみずほや住友信託銀行などの名前もささやかれるなど、金融再々編の火種となる可能性も残されている。2009914

三井住友を離れた「独立系」大和証券に期待する お互いに譲れない経営哲学とは?

「どちらにも譲れない経営哲学があった」。910日に行われた大和証券グループと三井住友銀行グループの法人向け証券会社における提携解消の発表の会見(両社同日、別々に行った)で、大和証券の鈴木茂晴社長が語った言葉だ。

三井住友銀行としては、さる5月にシティグループから日興コーディアル証券の買収を決めたことでもあり、さらにシティから譲り受ける法人向け証券会社を三井住友銀行の主導の下に同行と大和証券の合弁会社である大和SMBCと統合して、国内首位の野村証券グループを追いかける体制を作ろうとしていたところだった。

推察するに、今回の交渉決裂は、証券戦略の「仕上げをやり損なったような」感触なのではないだろうか。報道によると、大和証券グループと三井住友銀行グループの合弁会社である大和証券SMBCは大和60%、三井住友40%の比率でこれまでやってきたが、今回、この比率を三井住友側が大きくなるように見直したいというのが、三井住友銀行側の強い意向であったが、大和証券側はこれを呑めないとして、交渉が決裂し、大和証券SMBCに関する提携の解消に至ったという。

大和証券SMBCという会社の枠組みが出来たのは山一證券が潰れた後で、日興證券が自らを解体して法人部門をシティグループに売却したような証券業界にとって非常に厳しい時期だった。こうした時期にあって、銀行との資本提携は有効な信用の後ろ盾であった。証券業界は現在再び厳しい時期を迎えているが、サブプライム問題と金融危機の底が見えたかに思われる今の時期なら、単独でもやっていけるのではないかと大和証券側では判断したのではないだろうか。一方、交渉の詳細はあずかり知らぬが、三井住友銀行側としては、他の選択肢も探しつつ、もっと辛抱強く交渉しても良かったのではないかという疑問が湧く。

大和証券SMBCのような会社の株式を40%も持っている状態は大きなチャンスだ。三井住友銀行、特にその一方の前身である旧住友銀行の行風を考えると、今回は「随分あっさりしている」という印象を持った。それだけ「譲れない」ポイントが三井住友の経営陣にもあったのだろう。では、お互いに譲れない哲学とは具体的に何だったのだろうか?

銀行主導はトレンドか、行き詰まりか?

三井住友銀行の奥正之頭取は「世界で銀・証一体化が加速している。両社でフルに協働できる証券会社を保有することが必要」(『日経』911日朝刊)と述べている。一方、大和証券グループ本社の鈴木社長は「銀証融合の弊害が顕在化し、世界は分離にカジを切っている。健全な市場の発展のためには別々でやるのが本来あるべき姿だ」(『読売』911日朝刊)と述べた。両社の発言をよく読むと、これまでの大和証券SMBCの運営に対して両方共が相当に不満であったことが窺われる点でも面白いが、それにしても真反対の現状認識だ。どちらの言い分が正しいのだろうか。

現状認識としては奥頭取の意見が正しいように思うが、見識としては鈴木社長を支持したい。

リーマンショックは、投資銀行、即ち法人向け業務を営む証券会社の資金面での脆弱性を顕在化させた。この点に関しては奥頭取も会見で「(危機は)流動性が大きな問題になっている」と指摘した通りだ。現実に、アメリカを見ると、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーは銀行持ち株会社の形に業態変更してFRBの監視下に入り、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカの軒先に逃げ込んで延命した。今や銀行でも銀行の傘下でもない独立系の証券会社で世界クラスのプレーヤーは日本の野村證券が残るのみと言ってもいいかも知れない。

もともと金融危機の遙か前から、証券会社は資本が薄く、資金力が必要な大型案件では銀行色の強いヨーロッパ系の銀行傘下証券会社に後れを取ることがしばしばあった。また、日本では、バブル崩壊後の株式相場低迷などが証券会社に重くのしかかり、監督当局も証券会社を銀行ほどには大切にしなかったこともあり、メガバンク中心の証券・金融業界再編が進んで来た。業界の趨勢は、奥頭取の指摘通りだといってよい。しかし、銀行主導の証券業務が上手く行ってきたのかというと、これは疑問だ。たとえば、シティバンクは過去何度も証券会社を傘下に入れて育てようとしたが、上手く行かず、今回は主として証券分野の失敗のお蔭で、米政府による実質国有化とも言われる惨状に陥った。スイスの大手銀行であるUBSも、同行内の証券業務でサブプライム関連商品を中心に大きな損失を抱え込んだ。

銀行と証券が一体という姿は「銀行の資金を使って証券業務で大きなリスクを取りたい法人業務担当者やトレーダー」とか「証券業務を傘下に入れて利益を増し大きな報酬を得たいと思う経営者」のような人々にとっては好都合な仕組みなのだが、現実にはあまり上手く行っていない。

国際的な金融業の競争環境や、彼らの政治的影響力を考えると、銀・証をかつてのように再分離することは、現実的には難しそうだ。残念ながら、鈴木社長の言うように世の中が大きく「カジを切った」わけではない。だが、金融機関の報酬制限が難しいとすれば、本来は、銀証を再分離する規制体系の作り直しが、より好ましいように思う。

銀行の証券会社マネジメント力に疑問

奥頭取と鈴木社長の意見の違いは、結局、銀行が主導した銀証融合にあって、銀行が証券会社を上手く経営できるかどうかという一点にかかっている。この点は、特に、日本にあってどうなのだろうか。

奥頭取は残念さを滲ませながら「正直に言うと銀行の顧客基盤は証券よりも分厚い」、「銀行主導がより良い形だ」(共に『朝日』911日朝刊)と述べている。特に、銀行の後ろ盾のない法人向け証券業務は苦しいと考えているようだ。一方、大和証券の鈴木社長は「(大和SMBCは)証券業である我々が主導権をとってきたからこそこれまで成功してきた」と言い、「ローンも市場調達も全部銀行というのでは顧客企業も利便性に欠ける」と述べる。

何でも銀行だと利便性が欠けるというのは、日頃の銀証融合証券会社の売り文句の正反対だから分かりにくいかも知れないが、一つの主体が融資と出資(引き受け)の両方を手掛けると、金融機関と投資家の間で利益の衝突が起こるし、また、顧客企業側から見ても、金融機関が交渉上強くなり過ぎることは問題だ。この指摘は金融の本質を突いている。今後、独立系となる大和証券が顧客にアピールできるポイントの一つだろう。三井住友の顧客基盤と距離が出来ることは痛手だろうが、「お金のことは何でも銀行にやらせろ」というメガバンクの路線に疑問や警戒感を持つ企業経営者は多いはずだ。

過去の実績については、両社に言い分のあるところだろうが、大和SMBCは過去10年、それなりによくやって来たように思う。

これに対して、他の「銀行主導の証券会社」はどうだったか。

旧興銀勢を中心に「投資銀行」に注力してきた、みずほ銀行も、傘下のみずほ証券がサブプライム問題で「損失額だけグローバル・クラスだ」と蔭で言われるような大損を被り、同証券と新光証券の合併にも手間取っている。また、みずほの前身の一つである旧第一勧業銀行が、旧勧角証券に通算数千億円をかけて、結局これを上手く経営することができなかった経緯もある。三菱東京UFJ系はどうか。こちらは、大きな失敗をしていないが、今のところ新銀行の規模に見合った存在感のある証券業務を確立していない。銀行の現経営陣にとって現状は満足ではないだろうし、だからこそ、米国のモルガンスタンレーに対して中途半端な比率ながら出資を決めたのだろう。

今のところ、日本で、銀行主導での証券会社経営の目立った成功例はないのだ。他方、失敗例なら複数ある。

日本の銀行の場合、相手に対する支配欲と人事的な序列意識とが強すぎて、証券マンの信用を得るに至っていないことが、銀行による証券経営が上手く行かない大きな原因だろう。「稼いだ奴にはボーナスを払うよ」と言ってお金を払うとしても、銀行員が「管理する立場」に居座って証券マンを鵜飼いの鵜のように扱うのでは、生身の人間は、ばかばかしくて動かない。減点方式・加点方式と単純に色分けできる訳ではないが、組織が定義した独特の能力に対する相対序列を評価の中心とする日本の銀行のマネジメントと、稼いだ者が偉いというチャンスも込みの結果主義の人物評価が幅を利かす証券会社とでは、共に成果主義を名乗っていても、前者が「陰気な成果主義」、後者が「陽気な成果主義」というくらいに、根本思想からして違う。

また、銀行と証券会社はそもそも仕事の進め方が違う(もちろん背後に理由がある)。乱暴に言わせて貰うと、前者では書類で物事が進行し、後者では口約束で仕事が進む。銀行員は証券マンを「頭の出来が悪い、とんでもなくがさつな人間」だと軽蔑しがちだし、証券マンは植民地に乗り込んできた銀行員を「動きが鈍いくせに、権威主義的で嫌な奴だ」だと思いがちだ。両者の融合は見かけ以上に難しい。

これは、筆者の推測だが、大和証券側の証券マン達の多くは、特に今回の三井住友側の「支配欲」の発現を見て「銀行員に証券会社経営は出来ない。何はともあれ、銀行から独立できたことは良かった」と思っているのではないか。奥頭取、鈴木社長両人の意見の行き着くところを探ると、良い証券ビジネスのためには、「上手く経営できる銀証融合の証券会社」か「資金力・信用力に心配のない顧客基盤の厚い証券会社」を作ることができれば良い、ということだろう。今後、独立系となる大和証券には、手掛けるビジネスや案件によっては、資金力・信用力の課題が出てくるかも知れないが、この点を、証券業としてのリスクを処理するノウハウを進歩させることで克服して行って欲しい。

三井住友銀行側は、「大和は決裂できない」と交渉の状況を見誤ったのだろうか。そうでなければ、たとえば、大和・日興連合証券の経営的主導権を大和証券グループに委ねて実を取るようなやり方もあったかもしれないし、大和と日興を併存させつつ統合の際に主導権を握る戦略など、他のやりようがあったのではないか。筆者としては、こちら側には、少々疑問が残った。蛇足だが、今回、心情的に「いいな」と思ったのは、大和証券グループが大和証券SMBCの株式を買い取る資金を三井住友銀行が融資するという発表だ。両者が、単なるケンカではなく、大人の話し合いの結果別れることと、冷静なビジネス関係を結んでいることが窺われる。2009916

証券業界の再々編を見込む大和証券“筆頭株主”の皮算用

証券大手、大和証券グループ本社の筆頭株主である米ファンドが、大和株のさらなる買い増しを推し進めている。111日、保有比率を10.01%と2ケタの大台に乗せたのは、米投資顧問のハリス・アソシエイツ(本社イリノイ州)が運用する「オークマーク・インターナショナル・ファンド」だ。運用額は約4880億円。そのうち大和株への投資比率は3.2%で2番目に多い(9月末時点)。

ハリスが関東財務局に提出した大量保有報告書によれば、ハリスは20077月に大和株の5%強を保有して以降、同年9月には6.17%の筆頭株主に躍り出ていた。今年3月末時点で第2位株主の三井住友銀行が1.73%であることを鑑みれば、ハリスの保有比率の大きさがわかる。かくも大量に買い進める理由として、ハリスは「最大手の野村證券に比べて、大和は手ガネを使ったリスクの高いビジネスではなく、手数料で稼ぐ堅実経営だから」(ポートフォリオ・マネジャーのロブ・テイラー氏)と説明する。にもかかわらず、現在の株価は320円前後と「割安過ぎる」(同)というわけだ。

だがこうしたハリスの行動には、別の思惑も見え隠れする。大和が近い将来、別の金融機関と資本提携する、あるいは買収される可能性を視野に入れているようなのだ。というのもこのハリスというファンド、かつて業界大手の日興コーディアルグループで不正会計が発覚し、株価が急落したときにも、日興株を7%以上買い占めた過去がある。その後、米シティグループが日興買収を決定した際にうまく売り抜けている。このとき、「簿価1200円前後で、約1700円で売った」(関係者)というから、約350億円の売却益を得たと見られる。

つまり、これに味を占めたハリスは、今度は「大和が業界再編の引き金となり、多額の利益が見込める」と皮算用しているフシがあるのだ。「日本の証券会社の数は依然、経済規模に比して多い。大手5社は、いずれ3社くらいに再編されるのではないか」(同)とハリスが見ている背景には、大和自身の苦境もある。

昨年12月に三井住友銀行との合弁を10年ぶりに解消。銀行の後ろ楯をなくした大和は今年上半期、株式の引受額で前年同期の3位から7位へ転落。「ホールセール(法人部門)が今期も赤字となり、格付がこれ以上下がれば、ビジネスが成立しなくなる」(大和幹部)ところまで追い詰められている。ハリスはあくまで「現時点での見込み」としながらも、大和株の保有期間は「35年」という。ただ、それまでに自力で株価を上げていかなければ、かつての日興の二の舞いとなる可能性もある。まさに大和は、試練のときを迎えている。 20101117

大和証券が「資産純増額」を密かに“水増し”した理由

証券業界で重視される決算情報の一つを、大和証券が2010年度第3四半期から密かに変更し、“水増し”とも取れる数値を開示していることがわかった。この指標は「資産純増額」。投資家が株式や投資信託などを購入した資産導入額から、現金に換金した流出額を差し引いたものだ。この資産純増額が増加すれば、証券会社にとって収益増につながることから大和も重視、第3四半期は729億円の純増という好結果となった。ところがである。この数字、これまでの算定基準で算出すれば、「100億円程度にしかならない」(大和関係者)というのだ。

大和側によれば、第3四半期決算から、「毎月分配型の投資信託の分配金を算入している」という。つまりこの分配金で、600億円強もの“下駄”を履かせたわけだ。その理由について大和側は本誌取材に対し、「他社も算入して開示しているため」と説明。だが、少なくとも証券大手2社、野村證券と日興コーディアル証券は、「含めていない」と明確に否定する。それもそのはずで、分配金は「銀行預金などに換金して貯めておく投資家が多く、再投資に回すケースはまれ」(証券関係者)。つまり、資産純増額を計算するうえでは、むしろマイナス計上すべき項目なのだ。

仮に再投資されたとしても入出金は差し引きゼロで、新たに預かった資産とはいえない。にもかかわらず大和が分配金を算入した背景には、自身の苦境が見え隠れする。最大手・野村は大型IPOや法人分を除いても資産純増額は6000億円程度(関係者)と、じつに10倍もの差が開いているのだ。そのため今回、「見劣りしないよう、苦しまぎれに加算した」(大和関係者)と見られるが、第2四半期もマイナス22億円から535億円のプラスになっているなど、注記すら付さず過去の数値までもすべて書き換えている。だが本来なら、明確な説明があってしかるべきではないか。2011221

事実上の退職勧奨かと波紋 大和証券の「大配置転換」

ベテラン社員たちは、新入社員さながらの座学研修に、約1ヵ月ものあいだ耐えられるか
厳しい環境下でも「クビ切りはしない」「社員に優しい会社」と豪語してきた大和証券グループ本社に衝撃が走っている。71日、この時期としては異例の大規模な配置転換に踏み切り、実質的なリストラに乗り出したからだ。2009年末に三井住友銀行との合弁を解消して以降、大和の経営状況はいかにも厳しい。

同年の公募増資で調達した約1500億円の資本は、赤字続きで113月期にはすべて吹き飛んだ。とりわけ、先行投資を続けるアジア事業で赤字を垂れ流す状況が続く。この現状を打破すべく大和は今年5月、日比野隆司・新社長体制の下、新たな経営ビジョンを策定。収益改善策の一環として、主に管理部門から収益部門へ人員をシフトさせるといった効率化による400億円程度のコスト削減策を打ち出していた。

今回はそれに基づき、約400人の社員を、大和証券(個人向け)の支店営業、大和証券キャピタル・マーケッツ(大和CM、法人向け)の未上場企業営業、そしてアセットマネジメント(資産運用)部門の3収益部門などに配置転換させた。ところが社員たちにとっては、その中身がじつに衝撃的だった。新たに支店に配属された約200人のうち、半数の約100人にも及ぶ社員が、人事部付の「トレーニー(研修生)」なる肩書を与えられたからだ。これら社員の大半は過去に支店経験がある30代後半~40代の次長クラス以上。にもかかわらず、都内の研修所で約1ヵ月にわたって再度、証券用語などの基礎知識を学ぶ“座学”を強いられるというのだ。そのため「ついに事実上の退職勧奨か」と、社内に波紋が広がったというわけだ。

むろん大和側は「社員のクビは切らない」と、こうした観測を強く否定する。だが、当初の狙いに加え、自主退職による“リストラ効果”まで得ようとしているのではないかとの見方は根強い。ただ経営陣にとって悩ましいのは、むしろこうした管理職よりも、「若手の優秀な人材が早くも流出し始めていること」(大和幹部)だ。ある金融業界のヘッドハンターも、「若い転職希望者が大和から殺到している」と明かし、戦力ダウンは必至の状勢だ。それでも改革の手綱を緩めるわけにはいくまい。

目下、大和の最重要課題は投資適格ギリギリの格付けを維持することにある。そのため、「外資勢や国内大手に比べれば、まだ余剰人員を抱えた部署が少なくない」(同)とされる大和CMを中心に、第2弾として今期中にも「600人規模の異動を実施する予定」(同)だという。さらに経営陣は、大和証券と大和CMの統合についても検討しており、上期中にも決断を下す。その過程で再度、“痛み”を伴う改革に着手する可能性もある。大和内に広がる動揺はしばらく落ち着きそうにない。2011715

子会社2社の統合を決意した 大和証券の事情と次なる課題

1999年の分社以降、管理部門の部署数も69部署と1.5倍にまで肥大していた大和は、コスト削減に迫られている
国内証券2位の大和証券グループ本社が、子会社の大和証券(個人向け部門)と大和証券キャピタル・マーケッツ(法人向け部門。以下、大和CM)の2社について、20124月をメドに統合する方針を固めた。背景には、09年末に三井住友フィナンシャルグループとの合弁を解消したことがある。

それまで大和は、三井住友と合弁で10年間にわたりホールセール(法人向け)業務を展開してきた。合弁に際して、ホールセールとリテール(個人向け)を分社化したこともあって、いまや管理部門の人員は10年前に比べ1.5倍にもふくらんでいかにも非効率。もはや別々にしておく理由はないというわけだ。これまで大和は、「再度、どこかと提携することになった場合、ホールセールを残しておくのはメリットがある」(首脳)として統合を見送ってきた。だがじつは、「解消後すぐに検討課題として経営議題には上っていた」(同)という。ただ、ネックとなっていたのが、繰越欠損金とシステム統合の問題だった。

このうち繰越欠損金については、大和CMが赤字のため、統合によって誕生する新会社も税金を支払わなくてすむため、税金逃れを嫌う国税庁に睨まれる可能性が少なからずあった。システムについても、10年にわたり二つのシステムを併存して走らせてきただけに、物理的にもコスト的にも「統合するのは容易ではない」(大和幹部)という事情があったのだ。加えて、子会社2社で役員がほぼ重複なく存在していたという難題も横たわる。統合によって、今後は経営陣自らが役員ポストを減らしていかねばなるまい。ところがここにきて、これ以上、先送りできない事情が出てきた。あと2段階で投機的格付けに陥る大和CMで赤字が続き、「今年の秋以降には格下げされるかもしれない」(大和幹部)との見通しを上回るスピードで格下げとなるリスクが高まっているのだ。

77日、米格付け機関のスタンダード&プアーズ(S&P)が、大和と子会社2社の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。その理由として大きく分けて、高コスト構造と法人向け事業の不振の二つを挙げた。さらに衝撃的だったのは、目下、先行投資を続け収益増を目指しているアジア関連事業について、「将来的な利益貢献につながらない可能性が考えられる」と見なされたことだった。7月には大規模な配置転換によるリストラにも着手、コスト削減に奔走してきた大和。子会社統合によって削減スピードを加速させる構えだが、それと並行して、トップラインである営業収益を伸ばす“秘策”を生み出す必要にも迫られている。201181

大和証券、欧州事業を一部売却 ソウル支店は現法化

大和証券キャピタル・マーケッツは、海外子会社の大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパリミテッドのシンセテック・プライム・ブローカレッジ業務(ヘッジファンド向け業務)の事業をカナダの大手銀行バンク・オブ・ノヴァ・スコシア(BNSグループ)に売却すると、2011121日に発表した。1130日付で譲渡契約を締結した。事業売却により人員を削減する。BNSグループは、傘下の投資銀行を通じて、カナダ、欧州、アメリカやラテンアメリカやアジアの一部にコーポレートバンキング、投資銀行業務を展開する。また一方、同社の大和証券キャピタル・マーケッツ韓国リミテッド(韓国現地法人)は、韓国政府の認可を取得した。これにより、2012年1月初旬に同社のソウル支店を韓国現地法人に事業譲渡し、現地法人として営業する。2011/12/02

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